もう何年も続いている片づけブーム。書店に行くと、収納テクニックや収納アイディア、物の捨て方や減らし方についての本が、驚くほどたくさん並んでいます。
身の回りに物が溢れ、物との付き合い方まで考えなくてはならない、物質的に豊かな時代に生きている私たち。そんななかで多くの人が求めているのが、
「スッキリした暮らし」のはずです。
暮らしは生きているから、物は出ていて当たり前「スッキリした部屋」と聞いて、何を思い浮かべますか? おそらく雑誌に出てくるインテリア写真やハウスメーカーのモデルルームのような、「物があまり出ていない、きちんとした空間」をイメージする人がほとんどだと思います。
でも、ちょっと考えてみてください。インテリア写真の「物が出ていない」というのは、見せるために整えられた、静止した状態です。いっぽうで実際の暮らしは、物を使うことで成り立っていて、常に動いています。「物が出ている」というのは、一見散らかっているように見えますが、じつは当たり前のこと。逆に完璧に片づいた状態が続くことは、
人が生活していないのと同じです。
子どもがおもちゃを散らかして遊んでいるときがNGで、箱にきちんと片づけられているときがOK、ということではないはずです。おもちゃが出ているのは、子どもが元気に遊んでいるから。大切なのは、いつもすっきり片づいたモデルルームのような家で生活することではなく、
物とともに心地よく暮らすことなのです。