日本には四季や旬があり、季節や人生の節目ごとに「行事」があります。食卓には、それらを通じて受け継がれてきた「文化」があります。
多忙な日々の中で忘れてしまいがちな
「ニッポンの食卓文化」を、食卓をつなぐ会の料理伝承家hanaが、シンプルなレシピにしてご紹介します。今回は
七夕と素麺のおはなし。
五色の短冊は、習い事の上達を願った「願掛け」幼い頃はワクワク楽しみだった
七夕、いまはどうでしょう? また、そもそもどんな由来があるかご存知でしょうか。七夕は五節句のひとつで、平安時代に宮中行事として行われるようになりました。元々は日本の神事であった
「棚機(たなばた)」という禊の行事と、
織り姫と彦星の伝説、中国の「乞巧奠(きっこうでん)」という風習があわさってできたもののようです。
織り姫と彦星の伝説は、みなさんもご存じの通りですが、織り姫(琴座のベガ)は裁縫の仕事を、彦星(鷲座のアルタイル)は牽牛星という農業の仕事を司る星と考えられていました。この2つの星は、旧暦7月7日に最も光輝いているように見えることから、中国ではこの日を一年に一度の巡り会いの日と考え、この伝説が生まれました。(夏の大三角形)
乞巧奠(きっこうでん)とは中国で行われた行事で、織り姫にあやかって
機織りや
裁縫が上達するようにと、お祈りをする風習が生まれました。針や裁縫道具を供えて上達を願うのですが、やがて
芸事や書道などの上達を願うようになったといわれています。
これらのはなしが日本に伝わって、七夕行事が行われるようになり、宮中ではこの時期の旬のもの、桃、梨、瓜、茄子、大豆、アワビなどを供えて星を眺めるようになりました。また里芋の葉にたまった夜露を
天の川のしずくと考えて、その水で
墨をとかし、神聖な梶の葉に歌を書いて願いごとをしました。それが江戸時代に庶民の間に伝わり、人々は野菜や果物を供えて歌を詠み、
習い事の上達を願って書いた
短冊を笹竹につるして、
手習い事の願掛けとして星に祈るようになったのです。
五色の
短冊は
五行説にあてはめた
五色で、青(緑)、紅、黄、白、黒(紫)をあらわし、
この世のすべて、という意味になっています。七夕飾りは「吹き流し」「網」「折り鶴」「神衣」「巾着」「くずかご」などが主なもので、6日の夕方には飾り付け、翌日7日の夜にははずします。