香りよく、みずみずしい青梅が店先に並ぶこの季節。旬の梅を手にできるのは1年のうちでもこの時期だけとあって、かつてはどこの家でも梅干しや梅漬け、梅酒などの保存食を手づくりする
「梅しごと」が行なわれていました。
季節感あふれる昔ながらの梅しごとは、豊かな食生活を送るための大切な年中行事でもあります。このような日本独自の食卓の文化を、今の時代、これからの時代へとつないでいく活動を行なっているのが、料理伝承家・hanaさんが主宰する
『食卓をつなぐ会』です。
梅雨どきの趣きのある鎌倉の一軒家にて会が主催する、
「梅しごとワークショップ」に参加してきました。
梅酒のベースは好みのアルコールでまずは小さなカップに入った梅酒を4つ試飲。それぞれ色も味わいも美味しさも異なるのは、ベースのお酒が違うため。梅酒づくりには一般的に
ホワイトリカーを使用しますが、
日本酒、ブランデー、焼酎、泡盛や
ジン、ラムや
ウォッカでも作ることができるのだそうです。
気をつけなくてはならないのは、アルコール度数。度数が低いと発酵して腐りやすくなってしまうため、
35度以上のものを使うのがポイント。飲みやすさを求めるなら、ベースには
ホワイトリカーか、糖度の高い
ブランデーを選ぶとよいそうです。
隠し味で梅酒に個性をプラスさらにホワイトリカーをベースに、
緑茶、紅茶、ハーブ、ジャスミンティで隠し味をつけた梅酒も試飲しましたが、どれもほのかに口に残る風味がたまらなく美味。なかでもハーブ、ジャスミンティの個性的な味わいに驚きました。
「
日本酒ベースの梅酒には
緑茶や
ほうじ茶、
ブランデーベースには
紅茶や
黒糖を組み合わせるのがおすすめです」とhanaさん。隠し味のつけ方は、
お茶パックに茶葉などを入れて
ひと晩〜1日ほど浸け、取り出すだけ。これで梅酒のテイストが変わってくるのだそうです。梅酒って奥が深いですね。
ちなみに梅酒に多く含まれる
クエン酸は、レモンの15倍、梅干しの6倍と言われています。クエン酸は
疲労回復に役立つだけでなく、血液をサラサラにして血流をよくし、唾液の分泌を促して
食欲を増進させる働きがあるそうです。
また、梅酒に含まれるピクリン酸は胃腸の働きを活発にし、
便秘解消にもつながります。さらに梅がもつ抗菌力により、口から入った菌による下痢も防いでくれるそう。
「ただし、梅は生で食べると毒。お酒に漬けることで毒が中和され、まったりした旨みになります」