葛粉(くずこ)、といえば、スーパーでは見かけるものの、あまり買わない食材の一つかもしれません。葛粉は葛の根から取り出されたデンプン質で、白い粉状の食材です。水とまぜて加熱するとトロミがつくので、羊羹などの和菓子やお料理のあんなどに使われています。
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生産量が多くないためお値段は少々高め。なので一般的なレシピでのトロミづけには通常片栗粉やコーンスターチが使われています。しかし、葛には大きな特長が。
葛はトロミがつけられるだけでなく「薬効」(薬としての効能)があることが認められており、現在では健康に役立つイソフラボンを含むことでも注目されています。
■漢方薬としての葛葛の根を乾燥させたものは「葛根(かっこん)」と呼ばれ、漢方の生薬として認められています。そう、風邪薬「葛根湯」の原料はまさにこの「葛」。発熱や悪寒を和らげ、発汗を促す効能で長く薬として重宝されています。
■抗酸化作用を持つ成分も!イソフラボンは抗酸化作用を持つポリフェノールの一種で、女性ホルモンと似た作用を持つと言われています。「大豆イソフラボン」と言えば、みなさんも一度は聞いたことがあることでしょう。
イソフラボンは骨粗しょう症や更年期障害など女性に多い悩みに作用すると言われており、若々しい体の維持に期待が集まる成分の一つです。
大豆以外あまり注目されていませんでしたが、葛にもイソフラボンが含まれているんですね。
■葛を日常に取り入れるには片栗粉を葛に置き換えて、トロミづけに使うことができます。葛のトロミは穏やかなので、分量は片栗粉の2倍から3倍を目安に調節してください。
より多めに摂取したい場合には、中華丼など、主食のあんかけに使用してみるのもひとつの方法です。
また、トロミを利用してお菓子も作れます。加熱で固さを調節していくので簡単に作れますよ。
■葛粉たっぷり! 簡単ミルクプリン初めての方にも作りやすい葛粉のミルクプリンです。
レシピ制作:料理家 崎野晴子
<材料 2人分>※仕上がり量200cc程度
A
牛乳 150cc
生クリーム 50cc
葛粉 12g
砂糖 6g
ベリー類(ラズベリー、ブルーベリーなど)適量
<作り方>1、牛乳と生クリームを合わせる(A)。小鍋に葛粉を入れ、(A)を3回に分けながら葛粉に注いで混ぜ、葛粉を溶かす。砂糖を加え、ひとまぜする。
2 1 を強めの弱火にかける。スパチュラで鍋底いっぱいに8 の字を書くように静かに混ぜ、湯気が立ってきたら弱火にする。徐々にスパチュラが重たくなり、トロミがついてきたら、火から下ろしザルで濾す。
3、型に流し入れ、粗熱を取って冷蔵庫で冷やす。お好みのベリーをのせる。
冷めると固さが増すので、2 では少しゆるめにしておくのがポイントです。
お好みで牛乳と生クリームの割合を変えたり、豆乳にするなどいろいろなアレンジも楽しめますよ。
(崎野晴子)