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SNSで「#うちのこかわいい」、愛好家は10万人「スーパードルフィー」20年の哲学

2019-03-07 eltha

 SNSで「#うちのこかわいい」というタグとともに投稿されているドールがある。京都の企業・株式会社ボークスが手掛ける、カスタマイズドール「スーパードルフィー(以下、SD)」だ。「ドール」と「フィギュア」を掛け合わせた質感のSDは、1999年の発売から今年で20周年。ドール企画室の重田茜理さんにSDの歩みや人気コラボの狙い、そして多くの“オーナー”に愛され続ける理由を聞いた。

『ベルばら』『若草物語』コラボも話題 スーパードルフィーフォトギャラリー

  • スーパードルフィー『若草物語』(中原淳一)モデル  (C)JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA
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  • スーパードルフィー『ベルサイユのばら』(池田理代子)モデル (C)Ikeda Riyoko Production
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  • スーパードルフィー「ピンクハウス」モデル
  • スーパードルフィー
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男性向けホビーメーカーが開発 好みのメイクができる「完成度の高い未完成品」

 SDを手掛けるボークスは、京都に本社を構えるホビーメーカー。1972年に創業し、主に男性向けのプラモデルやフィギュアを作っていたが、1990年代後半から女性向けのドール事業も開始する。

 「1998年に、身長27cmの小さなお人形『ドルフィー(ドール+フィギュア)』を発売。そのカスタマイズ性や可動性の高さから予想を超える男性からの人気をいただくようになりました。そこで、より女性のお客様に受け入れていただきやすく、サイズや造形、素材などを大幅に変更した『スーパードルフィー』を開発、1999年に発売しました」(重田さん)

 従来のドールにフィギュアの美しさを加え、優れた関節構造でいろいろなポージングが可能なSD。コンセプトは「完成度の高い未完成品」として販売されており、購入者が自分好みにメイクをするなど完成させていけるようになっている。さらに、対象年齢を15歳以上に設定し、大人向けに数々のタブーをなくしたのも大きな特徴だ。
 「子どもがお人形遊びをする時には“髪の毛をひっぱったり、切ったりしてはいけない”や“お顔は汚しちゃいけない”と教えられます。そうして大人になった方々がSDと出会い、幼い頃にできなかった遊び方を自由に楽しまれています」(同上)

 造形したパーツの原型を使って型を作り複製し、最終仕上げとなるお顔は、メイクアーティスト達が一つ一つ筆やエアブラシを使ってメイクをするこだわりぬかれた製品は、全て京都の自社工場・工房で手作り。注文から届くまでに2カ月かかるそうだが、その当初の狙い通り多くの女性からの支持を獲得。SDにハマる女性は、年々増え続けている。

フルチョイスで「もうひとりのわたし」を具現化 SNS発信で“自己表現”

 その人気の理由のひとつに、SDの顔立ちを自身で決められる「フルチョイスシステム」がある。サイズや髪型、髪色だけでなく、顔立ちやメイクなど様々なパーツを自分で選ぶことが可能だ。

 個人の好みが大きいため顔立ちに流行はないそうだが、ボディサイズへの要望が多く、時代とともに変化。発売当初は57cmのみだったが、現在は27cmから66cm近くまで、20種類以上のボディを選べるようになっている。単なるサイズ分けではなく、幼い子どもから大人になる手前までの姿を、その時期の大きさによって分けているのも、同社のこだわりのひとつだろう。

 「この20年間で、メイク技術の進化によって過去にできなかった表現ができるようになり、ご依頼内容が多様化しています」(重田さん)
 SNSが浸透し、近年は自分のSDをお披露目するスタイルにも変化が。「#うちのこかわいい」のタグで自慢のドールを撮影した写真の投稿が多くのあり、SDの“オーナー”同士の交流が盛んにおこなわれている。もちろん、投稿をきっかけにSDを知る人も多い。

 一方で、SD自体はSNSやネット上で楽しむ非現実的な存在ではなく、「リアルな世界で楽しみたい」という声が多いと重田さんは言う。「オーナー様にとってSDは“ご自身が非現実的なものに変身した結果”ではなく、ご自身の分身“もうひとりのわたし”。ご自身と同様に別人格をもった大切な存在に感じていただいているのだと思います」

 季節に合わせたファッションアイテムが販売されたり、SD専用のビューティーサロンでメンテナンス&エステができたりと、“もうひとりのわたし”をリアルに楽しめる点も、多くの人を惹きつける要素だろう。

コラボレーション多数、海外人気も 日本の文化として発展

 さらに、キャラクターやブランドとのコラボレーションも人気だ。『ベルサイユのばら』や『ブラック・ジャック』などの他、2016年に製作され話題になったのが『若草物語』の登場人物である“ジョー”と“ベス”。さらに今年は、ファッションブランド「ピンクハウス」とのコラボも予定されている。

 「SDがピンクハウスのお洋服を身につけるだけでなく、同デザインで人間サイズの洋服の発売も企画されるなど、新しい客層、ファン層へのアプローチとして企画されています。新しいお客様にもご注目をいただけると嬉しいです」(重田さん)
 さまざまなアプローチで進化を続けるSDは、海外からの反響も大きい。アメリカには直営の販売店、韓国には代理店を構えてはいるが、来日して店舗やイベントに足を運ぶユーザーも多いそう。

 「SDのイベントに合わせて家族旅行を計画される方もおり、国や文化を超えてSDのコンセプトを理解し愛してくださっている証しだと実感します。また、近年では海外のイベントに出店してほしいというご要望も多数いただくようになりました。国内での業務が多忙なためご期待に添うことは難しいのが現状ですが、大変有り難いと思っています」(同上)
 20年の歳月をかけて世界へと広がり、現在は約10万人の会員を誇るSD。「京都発祥の文化のひとつとして、世界中の皆様に楽しんでいただければ」と重田さんは話す。個人のオーダーに合わせ、世界にたったひとつの“もうひとりの自分”を具現化できる喜びは、国境を越えて広がり続ける可能性を持っているはずだ。

Infomation

スーパードルフィーのせかい Super Dollfie(R) 20th Anniversary
はじめまして☆スーパードルフィーフルチョイスハンドブック2018
はじめまして☆スーパードルフィー メイクレッスン 2018年 改訂版
はじめましてスーパードルフィー☆入門書
こまめのスーパードルフィーちょこっとカスタムレッスン Vol.1
創作造形 (C) ボークス・造形村」(C) 1998-2019 VOLKS INC. All rights are reserved.
スーパードルフィー(R) はボークス社の登録商標であり、その全ての権利を所有しています。
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