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「抜けた髪は生えるまで約3ヵ月かかる」抜け毛が増える秋、薄毛対策を専門医に聞く

2023-09-15 eltha

 秋は抜け毛が多くなる季節と言われており、普段よりも抜け毛が多く心配になる人もいるでしょう。なかには、FAGA(女性男性型脱毛症)で悩んでいる人や、ヘアアートメイクを考えている人もいるでしょう。本記事では、秋に抜け毛が多くなる理由や対策方法を始め、FAGAやヘアアートメイクについて専門医の共立美容外科・遠山貴之さんが紹介します。

8月後半から10月は抜け毛が多くなる傾向にある

 頭髪の抜け毛が増える季節は、個々の体調や生活環境などにより異なるため、一概には言えませんが、毛髪の成長サイクルが季節に影響を受ける可能性があります。特に晩夏から初秋にかけて(8月後半から10月)は、抜け毛が多くなる傾向があると言われてtいます。

 秋に抜け毛が多くなる理由としては、髪の毛の生え変わりのサイクル(毛周期)に関係しています。この毛周期とは、髪の毛が生えて抜け落ち、その後また生える循環のことです。一般的には、男性で3〜5年間、女性で4〜6年間で一巡すると言われています。

成長期は髪の毛が伸びている時期で、全体の8割程度がこの段階にあります。退行期は髪の成長が止まり始める時期で、10〜14日程度続きます。休止期は毛根が縮小し、抜けるのを待つ時期で、約10%にあたる1万本がこの段階にあります。抜けてから次の成長期に入るまで、3ヵ月ほどの期間を要します。

 髪の毛は、成長期・退行期・休止期の3つの段階を繰り返して生え変わっていますが、このサイクルは季節や体調などに影響を受けます。特に、春から夏にかけて紫外線や暑さなどでダメージを受けた髪の毛は、秋になって退行期や休止期に入りやすくなり、抜け落ちる量が増えます。また、乾燥する季節でもあるため、頭皮の水分や油分が減少し、髪の毛の栄養不足や刺激によっても抜け毛が増える可能性があります。

 秋の抜け毛対策としては、以下のようなことが挙げられます。

(1)紫外線対策:春から夏にかけて重要となる紫外線対策は、秋でも引き続き行うことが必要です。紫外線は髪の毛や頭皮にダメージを与え、退行期や休止期を早める原因となります。帽子や日傘を使ったり、UVカット効果のあるシャンプーやトリートメントを使ったりすることで予防につながります。

(2)乾燥対策:秋は乾燥する季節でもあるため、頭皮環境を清潔に保つことも重要です。適切な頻度や方法でシャンプーを行い、頭皮用化粧水や美容液などで保湿することで乾燥を防ぎます。また、室内の湿度を50%前後に保ち、頭皮が乾燥しないよう注意します。

(3)生活習慣の改善:生活習慣の乱れは自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こし、抜け毛の原因につながります。睡眠不足やストレス、喫煙や飲酒などは避け、規則正しい生活を心がけることが大切です。また、栄養バランスの良い食事を摂り、タンパク質やビタミン類、ミネラル類など髪の毛の生成に必要な栄養素を補給することも重要です。

健全なヘアを維持するホルモンは20代後半をピークに減少

 近年は、男性だけでなく、FAGA(女性男性型脱毛症)の治療を行うクリニックも増えています。女性の薄毛の一種で、ヘアサイクルの乱れによって引き起こされます。FAGAになると、成長期が短くなったり、休止期が長くなったりして、髪の毛が細く弱くなります。その結果、全体的に髪が薄くなっていきます。主な理由としては、「加齢に伴うホルモンバランスの乱れ」「遺伝」「生活習慣」などが挙げられます。

 加齢に伴うホルモンバランスの乱れは、女性ホルモンの分泌量が減少することで、相対的に男性ホルモンの働きが強まることです。男性ホルモンは、ヘアサイクルを短くする作用があります。特に、女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、健全なヘアサイクルを維持するために重要な役割を果たしていますが、その分泌量は20代後半をピークに減少し始めます。

 また近親者に薄毛の人がいる場合、その性質を引き継いでいる可能性があります。実際に遺伝が薄毛に影響することは医学的にも報告されています。さらに、食生活や睡眠不足、喫煙や飲酒、ストレスなど、生活習慣がFAGAの進行を早める要因になります。これらは全身の血行不良や栄養不足、成長ホルモンの分泌低下などを引き起こし、髪の毛の健康を損ないます。

 主な治療方法は以下です。

(1)外用薬:頭皮に塗ることで発毛効果や脱毛予防効果をもたらす薬剤です。最も一般的なものはミノキシジルという成分で、1%や2%の濃度で使用されます。

(2)内用薬:飲むことでホルモンバランスを整えたり血流を改善したりする薬剤です。女性の場合はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモン補充剤が処方されることが多いです。

(3)メソセラピー:頭皮に微量の注射をすることで毛包に栄養を与えたり血行を促進したりする施術です。ビタミンやミネラルなどの成分が注入されます。

 これらの治療方法は、症状や原因によって適切なものが異なります。また、効果が現れるまでには時間がかかることもあります。FAGAの治療を検討されている方は、専門のクリニックでカウンセリングを受けて、自分に合った治療法を選ぶことをおすすめします。

「一定数はいますが、まだまだ男性のご相談が多い印象です。治療としては、外用薬・内服・注射が挙げられます。事前に防ぐというよりは、気になられたら早めの治療に越したことはないので、専門医に相談しましょう」(遠山貴之さん)

毛髪が薄い部分を目立たなくするヘアアートメイク、額を狭く見せる小顔効果も

 最近注目されているのは、「ヘアアートメイク」です。頭皮に色素を入れることで、毛髪があるように見せる施術で生え際や頭頂部などの毛髪が薄い部分を目立たなくすることができます。

 メリットは、ヘアラインを拡張して額を狭く見せることで、顔全体も小さく見えます。ヘアラインに色素を入れることで、髪の毛が増えたように見え、老化した印象を軽減できます。ヘアラインが綺麗に整うことで、前髪を上げたり、オールバックにしたりといった髪型にも挑戦できるようになります。また、シャドウなどの化粧品と違って、アートメイクは水や摩擦に強いため、メイク直しの心配もありません。

 デメリットは、ターンオーバーで徐々に色が薄くなりますが、完全に消えることはありません。除去するには除去剤やレーザーを使った治療が必要で、手間や費用がかかります。また、髪の毛そのものを増やすわけではないため、施術後におでこが後退してしまうと、不自然な印象になってしまうこともあります。

 アートメイクは頭皮に針で色素を入れる施術のため、痛みを感じる人もいます。施術前に麻酔クリームを塗ったり、施術者の技術や針の種類によっても痛みの度合いが変わりますが、完全に痛みをなくすことはできません。また、頭皮が赤くなったり、かさぶたができるなどのダウンタイムがあります。これらは自然に治りますが、施術後1週間程度は入浴やヘアカラーなどを控える必要があります。これらデメリットや注意点もしっかり理解しておきましょう。

「よくご相談にこられるのは、前頭部(M字)の毛が薄いところにヘアアートメイクを入れたい方がいます。海外では昔から注目されていましたが、日本ではここ1〜2年ではないでしょうか。自己判断ではなく、まずは医療機関に相談してみると良いでしょう」(遠山貴之さん)

 秋は毛周期により抜け毛が多くなる季節ですが、紫外線対策や乾燥対策、生活習慣の改善など、日常生活でも注意が必要です。ただし、急激な抜け毛など、気になる点があるようでしたら、専門医に相談しましょう。
共立美容外科・遠山貴之さん(日本美容外科学会認定専門医/麻酔科専門医)

監修者 共立美容外科・遠山貴之さん(日本美容外科学会認定専門医/麻酔科専門医)

1997年、順天堂大学医学部卒業。1997年、順天堂大学医学部付属病院・麻酔科に入局。2006年、共立美容外科・歯科に入局。2020年、共立美容グループ・総括副院長に就任。

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