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静謐の時が流れる東京「武蔵陵墓地」大正・昭和二代の天皇陵を訪ねる

2021-06-24

高尾駅から程近い所にあるのが、大正天皇ご夫妻、昭和天皇ご夫妻の陵墓、武蔵陵墓地。最初に大正天皇陵が造営され、その後昭和天皇陵が造営される迄は多摩御陵と称されていたため、現在でも多摩御陵は通称として良く使われています。
高尾駅からは甲州街道のイチョウ並木、そして参道に入るとケヤキ並木、陵墓地内は荘厳な杉並木が続き、陵墓へと向かいます。静謐な時が流れる武蔵陵墓地についてご紹介します。

高尾駅から甲州街道のイチョウ並木を辿って参道入口へ

写真:大竹 進

武蔵陵墓地への最寄り駅はJR中央線または京王線の高尾駅で、その北口がスタート地点。この風格ある社寺風の北口駅舎は、関東の駅百選にも選定されているものですが、元々は大正天皇の大喪列車の始発駅として新宿御苑に設置された仮設駅舎を移築したものです。
多くの駅が高架化などに伴って現代的なデザインの駅舎に変わりつつある中、貴重な存在ですね。
駅を出ると数十m先に甲州街道が東西に走っており、武蔵陵墓地へは甲州街道を東へ進みます。

写真:大竹 進

甲州街道には高尾駅前から八王子市内の追分交差点付近まで約4kmにわたり見事なイチョウ並木があります。これは大正天皇の御陵造営を記念して1929年(昭和4年)に植えられたもの。
新緑の春、黄葉の秋、それぞれに美しい並木道ですが、毎年秋には「いちょう祭り」が開催されています。この道をイチョウを眺めながら暫く進んで行きましょう。

写真:大竹 進

高尾駅から甲州街道のイチョウ並木を約1.2km程行くと「多摩御陵参道」の碑が見えて来ます。武蔵陵墓地が正式名称ですが、多摩御陵の方が馴染みがある人が多いかも知れません。
ここからは甲州街道のイチョウから変わってケヤキの並木道が始まります。

ケヤキ並木の参道と南浅川

写真:大竹 進

参道を200m程行くと多摩川の支流である南浅川に架かる南浅川橋を渡ります。御陵の参道に架かる橋らしく、重厚感のある造りになっています。

写真:大竹 進

南浅川橋からは上流左手に高尾山が眺められ、川の両岸には桜並木が続いていて、春には満開の桜を楽しむ事が出来ます。参道と南浅川の間には綾南公園が広がり、両側の土手の遊歩道とともに散策にもお薦めです。

写真:大竹 進

南浅川橋を渡ると参道は緩く左側にカーブして行きます。この高くそびえ緑あふれるケヤキ並木は実に見事で、歩いていて気分が爽快になる事間違いありません。
やがて正面奥に陵墓地が見えて来ます。

いよいよ武蔵陵墓地へ

写真:大竹 進

ケヤキ並木の参道を過ぎるといよいよ陵墓地へ。正門を抜けると広場があり、その先に総門が設けられ、陵墓地内の案内板が置かれています。

写真:大竹 進

総門を入ってすぐ右手に、木々に囲まれた池があります。カメが日向ぼっこをしていたり、シラサギやアオサギが佇んでいる姿には癒されます。
参道へ向かう前にちょっと立ち寄ってみるのも良いですね。

写真:大竹 進

陵墓地内の表参道は玉砂利が敷き詰められ、歩を進める度にジャリッ、ジャリッという音が心地良く響き、身が引き締まります。高く伸び手入れの行き届いた北山杉の並木が続く参道は優雅にカーブし、静謐の時が流れています。
この様な中を心静かに歩むのは気持ちの良いものですね。

大正天皇陵と貞明皇后陵

写真:大竹 進

総門から表参道を通り約490m先に1926年(大正15年)に崩御された第123代の大正天皇陵があります。陵名は多摩陵(たまのみささぎ)。陵墓の形は上部が円形、下部が方形の上円下方墳で、上円は直径16.5m、高さは10.6m、下部は一片27mの正方形です。
鳥居の向こう、数十段の階段の上に築かれた陵墓は威厳を持って静かに佇んでいます。

写真:大竹 進

武蔵陵墓地の4つの陵墓は全てこの上円下方墳という形態ですが、大正天皇陵が最も高い位置に基壇が設けられ、墳丘もほぼ半球状に造られています。

写真:大竹 進

大正天皇陵の東隣に貞明(ていめい)皇后陵があります。1951年(昭和26年)に崩御されました。陵名は多摩東陵(たまのひがしのみささぎ)です。
陵の構成は一般拝所に段が設けられていない所以外は大正天皇陵とほぼ同じです。

昭和天皇陵と香淳皇后陵

写真:大竹 進

大正天皇陵と貞明皇后陵の北東方向に1989年(昭和64年)に崩御された第124代の昭和天皇陵があります。陵名は武蔵野陵(むさしののみささぎ)。
陵の形態は大正天皇陵と同じく上円部2段、下方部3段の上円下方墳ですが、一般拝所に段は無く、上円部の丸みが緩やかで、大正天皇陵と比べると威圧感の少ない造りになっています。

写真:大竹 進

昭和天皇は歴代天皇の中で最も在位期間が長く、また最も長寿(87歳)であった天皇です。平成を過ぎ令和となった現在でも、在りし日の昭和天皇のお姿は多くの人の心に残されているのではないでしょうか。

写真:大竹 進

昭和天皇陵の南東側に香淳(こうじゅん)皇后陵があります。2000年(平成12年)に崩御されました。陵名は武蔵野東陵(むさしののひがしのみささぎ)。陵の構成は貞明皇后陵とほぼ同じですが、基壇迄の高さが低くなっています。
武蔵陵墓地はいつも静寂に包まれ、静謐の時が流れている心地良い空間の広がる心の落ち着く場所です。高尾駅からも程近く、ご紹介した様にイチョウ並木、ケヤキ並木、杉並木という3種類の素敵な並木道を楽しむ事も出来ます。
かつては京王電鉄が御陵線としてここまで路線を延ばしており、土日には新宿から多摩御陵まで直通の電車が運行される程人気の場所でもありました。陵墓参拝の後は南浅川沿いの遊歩道を散策したり、甲州街道と南浅川の間を通る旧甲州街道に残る黒板塀の町家を眺めながら、高尾駅へ戻るのも良いですね。
こんな魅力ある武蔵陵墓地にあなたも訪れてみませんか。

武蔵陵墓地の基本情報

住所:東京都八王子市長房町1833
電話番号:042-661-0023(宮内庁書陵部多摩陵墓監区事務所)
アクセス:京王線またはJR高尾駅北口から徒歩約20分
参拝時間:9:00〜16:00(通年参拝可)
2021年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
武蔵陵墓地|八王子市公式ホームページ(外部リンク)
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kankobunka/003/001/p005203.html

【トラベルjp・ナビゲーター】
大竹 進

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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