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きっかけは美人コン!トルコ「トロイの木馬」の舞台はこんなところ

2021-07-21

幼い頃に聞かされた「トロイの木馬」の昔話を、実在だと信じたシュリーマンの物語。その奇跡の発掘話を知っている方も多いでしょう。その舞台がトルコのエーゲ海側にあるトロイ遺跡です。戦争が起きたきっかけは、なんと美人コンテスト!
そしてここは、トロイ戦争の時代だけでなく、紀元前3000年頃から紀元後5世紀頃まで人々が暮らしていた場所。ぜひロマンあるこの古代都市へ行ってみましょう。

びっくり!トルコのハンパない古さ

写真:万葉 りえ

日本の約2倍の広さを持つトルコ。地図を見てもらえば、中央あたりにコンヤという地名が見つかるでしょう。その近郊にあるチャタル・ホユック遺跡では8800年前という、世界最古の集落跡が見つかっています。
また、トルコのエーゲ海側では、紀元前10世紀ごろから海を挟んだギリシャから人々がやってきて植民都市を作るようになりました。トルコ第三の大都市イズミールの南にはアルテミス神殿を中心に栄えていたエフェス、北にはペルガモン王国の王都だったベルガマの遺跡があり、どちらも世界遺産になっています。

写真:万葉 りえ

そしてドイツ人のシュリーマンによって発掘されたトロイも、同じくエーゲ海よりの場所にあります。
エーゲ海地方は、トルコ国内でも地形が美しいといわれている場所。波が打ち寄せる海岸線やオリーブの果樹園などが目を楽しませてくれるでしょう。トロイ遺跡も昔は海の近くにあった都市でした。長い年月が経過し、川が土砂を運んだため、現在遺跡の周りにはこのように牧歌的な風景が広がります。

トロイといえばやっぱり木馬

写真:万葉 りえ

先ほど話に出た都市、イズミールの原型ができたのが、紀元前30世紀といわれています。紀元前10世紀頃にはスミルナと呼ばれ大変栄え、この時期にホメロスが住んでいたと伝わっています。
ホメロスとは、トロイ戦争を題材にした古代ギリシャの叙事詩「イーリアス」を描いた人物。この物語を幼いころに父から聞かされたドイツ人のシュリーマンは、この物語を実在だと信じ、トロイを見つけて発掘しようと志を立てたのです。

写真:万葉 りえ

貿易商として莫大な富を蓄えたシュリーマンが、古代ギリシャの研究を続けて目を付けたのがヒサルルクの丘でした。ここで発掘を始めたのが1871年。現在は整備されて、遺跡内は一方通行で見学できるようになっています。
まず、入り口近くにあるのが、トロイ戦争の逸話にちなんで作られたこの木馬です。内部に入ることもできるので、混んでなければ上にあがり、景色を眺めたり、戦争時に木馬に潜んでいた兵士たちの様子を想像してみるのもいいかもしれません。

美人コンテストの買収が招いたトロイ戦争

写真:万葉 りえ

見学は頑丈な城壁から始まり、約1時間ほどで周れます。この遺跡では長く栄えた町が重なっており、一番古いのは初期青銅器時代の小さな集落で紀元前3000年頃のもの。そして、ローマ帝国によって作られた町が紀元後5世紀末の地震によって放棄されるまでの、9つの市に分けられています。
その中でトロイ戦争の時代と考えられているのがY【6】市(紀元前1280年頃〜)と呼ばれる層で、城門や城壁が発掘されています。
いくつもあるギリシャ神話のお話。その中にぺレウスと海の女神テティスが結婚する話が出てきます。その祝宴に呼ばれなかった不和の神のエリス。腹いせに「一番美しい方へ」と書いたりんごを投げ込みます。すると、ゼウスの妻ヘラ、アフロディテ、アテナが「一番美しいのは自分」だと主張をはじめたのでした。

写真:万葉 りえ

その審判に選ばれたのがトロイの王子パリス。でも、このコンテスト、それぞれの女神がパリスを買収工作しようとします。そしてパリスは「ギリシャ最高の美人を与える」と約束したアフロディテを勝者としたのでした。
その後アフロディテの計らいでパリスがスパルタ王の美しい妃ヘレネを奪い去ったことから、大軍がトロイに攻め寄せてきます。しかし10年経っても決着がつかないまま。そこでスパルタ側は作戦を変更。アテネの神に捧げた巨大な木馬を置いて、引き上げたように見せかけたのでした。そして、トロイ側が戦利品として木馬を城内に引き入れたことから、中に潜んでいた兵が出てきてトロイは滅びの道へ…。
ご覧のように休憩ができる見晴らしの良い場所もあります。ギリシャ神話の神々もたくさん登場し、実在とは思いにくい物語。史実だと疑わなかったシュリーマンの執念がなかったら、この景色は今も土の中かもしれません。

シュリーマンが発掘したのはもっと古い時代の財宝だった

写真:万葉 りえ

こちらはU【2】市の時代のもので、西暦にすれば紀元前2800年頃からになります。この時期にトロイは最初の繁栄を迎えます。
実は、シュリーマンが発掘したのはトロイ戦争の時代の層ではなく、こちらの層。しかし、ここから黄金の首飾りや盃などが出てきて衝撃が広がったのでした。出てきた財宝をシュリーマンはトロイ王プリアモスの宝だと考え、それを妻に身につけさせて写真まで残しています。
地上部分はなくなっていますが、城門や傾斜路があった城塞都市。遺跡近くに再現図も掲示されています。見比べれば、きっと往時を想像しやすいでしょう。

5000年の眠りから覚めた人類の興亡史

写真:万葉 りえ

見学路の後半でご覧いただけるのが、トロイ戦争の時代より後のZ【7】市から使われていた聖域です。神殿や動物がいけにえとしてささげられた際の台座などが残っています。
トロイ戦争の時代は、エーゲ海をこえてギリシャの植民地があちこちに作られていたころと重なります。ですから、トロイ戦争の物語は、そんな植民地化の様子を象徴的に描いたものではないかと言われています。
ギリシャが覇をとなえた時代が去れば、次にやってきたのはさらに西のローマの勢力。\【9】市の遺跡では、ローマ帝国が築いた円形劇場などがよく残っています。

写真:万葉 りえ

ミュージアムショップもあり、中ではこの地らしいお土産品も売っています。きっと遺跡の見学後はのども乾いているはず。ショップも前では、トルコでよく見かける搾りたてジュースも味わえます。
ここに人類が足跡を刻んでから約5000年。幾つもの勢力が入れ替わった跡が、シュリーマンに起こされるまで牧草地の中で眠っていたのです。そんな積み重なった時を感じに、ぜひトロイの地を訪問してみてください。

トロイの基本情報

住所:17100 Kalafat/Canakkale Merkez/Çanakkale, トルコ
電話番号:+902862176740 チャナッカレ観光案内所
※もっと詳しく知りたい方は、2018年にオープンしたトロイ博物館へ行ってみるのもお勧めです。
2021年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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トルコ政府観光局(外部リンク)
http://www.tourismturkey.jp/

【トラベルjp・ナビゲーター】
万葉 りえ

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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