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「保育園落ちた日本死ね!」から待機児童は変化したの? ママパパはどうやって保育園を選べばいい?【専門家が解説】

2022.03.31

2016年、「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが話題となり、「保活」に苦しむママたちの実情が浮き彫りになりました。あれから、待機児童の数は変化があったのでしょうか。また、ママやパパはどうやって保育園を選んだらよいのでしょうか? 「児童福祉」や「子育て支援」に詳しい、阪教育大学教育学部教授・小崎恭弘先生に、ポイントを解説していただきます。

保育園のイメージ

「待機児童」は本当に減ったの? その理由は?

多くの地域で、待機児童の数が減っています。ピーク時は2万人以上いた待機児童が、なぜ減少したのでしょう。また、それはどんな取り組みの結果なのでしょうか。

「待機児童数は2017(平成29年)年がピークで、2万6000人。そこから毎年徐々に減っていて、2021年(令和3年)には5600人までに減少しました。驚くほど減った理由はいくつかあります。一つは少子化です。厚生労働省の公表によると、2021年の出生数は84万人でした。第1次ベビーブームの最高出生数が270万人、第2次ベビーブームが200万人でしたから、ピーク時の30〜40%程度になった出生数が影響しているでしょう。

保育所関連資料

二つ目の理由は、子どもを預かる施設と定員が増えたことが挙げられます。2015年(平成27年)から2021年(令和3年)にかけて、保育施設は約9900件増加しました。これは、認定こども園と、定員19人以下の「小規模保育」などの地域型保育事業が大幅に増えたことの成果でしょう。

保育所関連資料

そして、コロナ禍も影響しているでしょう。保育園への預け控えや、働くこと事態が難しいケースが増えたのだろうと推測されます」(小崎先生)

保育施設は増えた…でもまだまだ解決すべき課題も!

保育施設は増えたけれど、保育士不足は解消されたのでしょうか。利用者側からは見えにくい、保育士を取り巻く現状・課題について聞きました。

保育士不足はどうなった?「とくに都市部を中心に、依然として保育士不足が続いています。保育士の数を確保できず、子どもの定員を増やせない施設もありますし、経験の浅い管理者も増えています。小規模保育施設などは、施設によって有資格者の基準が違うところもあり、それらの改善は今後の課題でしょう。配慮の必要な子どもの対応や、医療ケア児に関しては、保育士だけでなく看護師不足の問題もあるため、まだまだ難しい課題が残っている状況です」(小崎先生)

保育士の賃金などの労働条件は改善されている?「保育士の賃金については国や自治体がさまざまな取り組みをおこなっており、少しずつ改善しています。2012年(平成24年)度との比較による保育士の処遇は、図のように、2013年(平成25年)度に約3%上がり、その後も毎年上昇しています。2017年(平成29年)度には処遇改善制度によって、保育士の経験やスキルに応じた役職と、処遇改善手当が支給されるようになりました。とはいえ、これらの処遇改善だけでは、保育士不足がすぐに解消されるとは思えません。休憩時間が取りづらい、サービス残業が日常化してしまっていて残業手当が支払われないなど、働く環境・体制の問題も課題として残っています」(小崎先生)

処遇改善資料

保育士のスキルアップってどうなっているの?「保育士のスキルアップに関しては、2017年(平成29年)度より、全国統一で、厚生労働省が新しい研修制度を創設しました。これは『保育士等(民間)のキャリアアップ研修』と呼ばれ、専門性の確保と処遇改善の二つを軸に、保育士の更なる質の向上を目指しているものです。子どもの発達に応じた保育や、食育・アレルギー、障害児保育、安全対策、保護者支援など、保育現場におけるさまざまな課題を体系的に学び、専門知識を深めます。さらにこれにくわえて、それぞれの施設で独自の園内研修が取り組まれている点も、現在注目されています」(小崎先生)

保育所関連資料

保育施設の安全対策って大丈夫?「保育施設の安全対策に関しては、先にも述べたキャリアアップ研修内でも『D保険衛生・安全対策』という分野を設けていますし、保育士自身も意識を向けている人が多いです。また、月に1度の避難訓練の義務づけによって、子どもの安全確保にも努めています。食物アレルギーなどは、厚生労働省などが細かいマニュアル・チェックリストを作っているので、それらの意識改善や体制整備はかなり進んでいます。施設内で事故があった際は、再発防止のため、厚生労働省などでマニュアルが作られ研修が実施されてきました。そのためか、10数名で推移していた死亡件数が、令和2年は最少の5名 と減少しています」(小崎先生)

ママパパはどうやって保育園を選べばいい?

保育施設が増え、施設の種類もバラエティが豊かになっています。英語やリトミックなどに力を入れているところも。ママやパパは数ある保育施設の中から、何を基準に保育園を選べばいいのでしょうか。見逃してはいけないポイントは3つあると小崎先生は言います。

「私が考える、保育園を選ぶ際のポイントは下記の3つです。

・保育士やスタッフの雰囲気が良い・保護者への発信や説明が丁寧・清潔感のある環境構成

これらは見学時や説明会などで必ず確認してほしいポイントです。厚生労働省が「よい保育施設の選び方 十か条(※)」を提示しているので、そちらを参考にするのもよいでしょう。

また、このほかにも、ママとパパの2人が、どういう保育を求めているのかということを一度考えてみることも大切です。それは、言い換えれば親の思いでもあります。食へのこだわりがある、語学に力を入れたい、独自の取り組みに興味がある、宗教的な考えを優先したい、小規模でアットホームな環境がいい、さまざまな年齢で一緒に過ごす異年齢保育がいい、自然に触れられる環境がいい、など。2人で話し合って、親の思いを明らかにしましょう。

子どもの個性とその保育園の特徴が合っているかも着目してください。保育所を選んだり入所したりするとき、子どもは0〜1歳であることが多いと思いますが、元気いっぱいで体を動かすのが好きな子、のんびりしておっとりした子など、小さいなりに子どもの個性もあるでしょう。子どもの個性と保育園の特徴が合っているかもチェックしましょう。

そして物理的な制約の調整も忘れずに。通いやすさや、働き方によっては預けられる時間の問題もあるでしょう。理想的な保育園があっても、自宅や職場から遠く離れていたら、そこに通うのは現実的ではないはず。とくに、雨の日の送り迎えはベビーカー、自転車、抱っこ、いずれで登園するにしても大変になります。100点を求めつつも、70点くらいで折り合いをつけることも大切です」(小崎先生)

※「よい保育施設の選び方 十か条」(厚生労働省家庭局保育課)

パパも保育園や教育に目を向けて

「待機児童や保育士不足の問題などは、まだまだ残された課題が多いです。でも、徐々にですが改善されているのも事実。また、保育園が増えて入りやすくなった面はありますが、それで保育園選びがラクになったわけではありません。選択肢が増えた分、そこで迷うのは当然のこと。保育園のことはママに任せがちですが、パパも積極的に保育園のことや、子どもの能力についても目を向けましょう」(小崎先生)

取材・文/早田佳代

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提供元:ベビーカレンダー

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