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慶州市の世界遺産「良洞村」で朝鮮王朝時代にタイムスリップ!

2022-11-09

過去、繰り返し戦火に見舞われてきた朝鮮半島において、朝鮮王朝時代の人々がどのような暮らしを送っていたかを知ることのできる村落は決して多くはありません。それだけに、慶尚北道の慶州市郊外に位置する「良洞村」はいまから600年ほど前の中世の面影を残す集落としてきわめて高い価値があり、現在、世界文化遺産にも登録されています。今回は韓国有数の民俗村である「良洞村」をご紹介しましょう。

伝統的な「両班」の村である「良洞村」

写真:乾口 達司

「良洞村(ヤンドンマウル)」は、慶尚北道慶州市の江東面にある民俗村。朝鮮王朝時代(1392年〜1897年)の伝統的な家屋を数多く残していることにより、村全体が国家民俗文化財に指定されています。そして、その価値が認められ、2010年には、安東市にある河回村とともに、ユネスコの世界遺産にも登録されました。
良洞村がかつて繰り返された戦火に巻き込まれず、朝鮮王朝時代の面影を現在まで残していることは、本当に奇跡的なこと。たとえば、朝鮮半島全土が戦場となった朝鮮戦争時には、集落のすぐ近くでいわゆる「杞渓・安康の戦い」(1950年8月)が繰り広げられながら、大きな被害を受けませんでした。良洞村がいかに大切に守られてきたか、そのことからもおわかりいただけるでしょう。

写真:乾口 達司

集落は杞渓川へと流れ込む小川を中軸に、低い丘陵地帯に沿う形で広がっています。現在も150戸ほどの家屋が建ち並んでいます。
ちなみに、良洞村は「両班」の村として知られています。両班とは、朝鮮王朝時代、王につかえた官人などの支配階級のこと。「両班」の名は文官(文班)と武官(武班)とが王の両脇に居並んでいたことに由来します。良洞村は両班の月城孫氏と驪江李氏が代々暮らしてきた同族村であり、それゆえに、朝鮮王朝時代には、当時を代表する賢人として知られていた学者の李彦迪をはじめ、多くの著名な人物を輩出しています。

文化財クラスが目白押し!さまざまな伝統家屋

写真:乾口 達司

集落のなかを歩くと、さまざまな伝統家屋を目にすることができます。たとえば、こちらの建造物は「香壇」。先ほど紹介した李彦迪が年老いた母親の看病をするために建てた家屋で、「宝物第412号」に指定されています。

写真:乾口 達司

こちらは「無忝堂」。李彦迪の父親が暮らした家屋で、やはり「宝物第411号」に指定されています。

写真:乾口 達司

写真の「東湖亭」は、香壇や無忝堂とはまた異なった造りの家屋で、ご覧のように、板戸を水平に跳ねあげ、明かりをとる「蔀(しとみ)」がしつらえられています。
それぞれの建物の違いを確かめながら見てまわるのも楽しいでしょう。

じっくり見よう!家屋の意匠

写真:乾口 達司

伝統家屋は、細部の意匠に目を凝らすと、その魅力が増します。
たとえば、こちらは先ほどご紹介した無忝堂の屋内の様子を撮影した一枚ですが、天井の木組みが剥き出しになっていることにお気づきになるはず。その簡素な作りからは、当時の彼らの質素な暮らし向きが見て取れます。
その一方、組み合わさっている部材はその一本一本が実にたくましく、繊細な職業であるというイメージが先行しがちな学者ゆかりの建造物とは思えない豪壮さ。その点に無忝堂の魅力があります。

写真:乾口 達司

もちろん、豪壮さだけが、良洞村の伝統家屋の特徴ではありません。
こちらは「函虚楼」の縁側にしつらえられた意匠。その曲線の連続が何とも優美な印象を与えてくれますね。

写真:乾口 達司

集落をめぐると、写真のような設備をあちらこちらで目にします。これはいったい何!?実はこれは「オンドル」の一部なのです。
オンドルは朝鮮半島から中国東北部にみられる床下暖房装置のこと。竈の煙を家屋の床下に流し込み、部屋全体を床下からあたためる仕組みとなっています。
写真は床下に充満する煙やガスを外部へと逃すための煙筒。冬場は氷点下になることも多い朝鮮半島ならではの暖房装置ゆえ、ぜひ、お目逃しなく。

実際に人が暮らしている!生活空間としての良洞村

写真:乾口 達司

季節によっては、野菜類が軒下に吊るされている光景を目にすることもあるでしょう。もちろん、野菜類は食用目的に天日干しにされているのです。
そうなんです。もうお気づきかと思いますが、良洞村は伝統家屋だけが建ち並んでいるだけの民俗村ではなく、実際にいまでもそこで住民の方々が日常生活を送っている世界遺産なのです。朝鮮王朝以来の伝統家屋に、当たり前のように人が暮らしていること。その点にこそ良洞村ならではの魅力があります。
したがって、見学中、住民の方と出くわす機会も多いはず。その際は挨拶を心掛け、ご迷惑になるような行為は慎みましょう。

写真:乾口 達司

こちらでは藁で結われた「メジュ」(味噌玉)が吊るされています。メジュは大豆をおもな原料とする朝鮮半島の伝統的な調味料で、テンジャンやカンジャンのもととなるもの。
ご覧のような形で、一月以上にわたって天日干しをしているあいだに、藁に付着したカビがメジュにのり移り、それが独特の風味をもたらします。

写真:乾口 達司

庭には、たくさんの甕が並べられています。もちろん、こちらも単なる飾りではありません。甕にはキムチがつけられていたり、自家製のお酒が入れられたりしています。良洞村の住民の方々の日常の暮らしが感じられる光景です。

おこわ定食とマッコリを堪能!村内食堂の風景

写真:乾口 達司

集落は丘陵沿いに大きく広がっているため、隅から隅まで歩くと、相当な時間を要します。したがって、歩きまわっているあいだにお腹もすいてきます。しかし、世界遺産の村に食事をとるところなんてあるの?と思う方もいらっしゃるでしょう。ご心配は無用。集落には食堂もいくつかあるので、気軽に立ち寄りましょう。
お店によっては、名物のおこわ定食をいただくことができます。村で採れた蓮の葉をほどくと、なかから蒸されてアツアツのおこわが現れます。画面左上のやかんに入っているのは、自家製のマッコリ。歩き疲れたら、おこわ定食とマッコリでお腹を満たしてみてはいかがでしょうか。

写真:乾口 達司

雰囲気のある鄙びた家屋で食事をすると、良洞村にやってきたことを実感しますよ。
良洞村がいかに貴重な伝統家屋を多く残す村であるか、おわかりいただけたでしょうか。慶州市の中心部からは北に20キロ余り離れてはいますが、中心部からはバスも出ているため、日帰りで楽しむことのできる距離にあります。良洞村で朝鮮王朝時代にタイムスリップした気分を味わってみてはいかがでしょうか。

良洞村の基本情報

住所:大韓民国慶尚北道慶州市江東面良洞村
電話番号:+82-54-762-2630
アクセス:慶州市中心部よりバスで約50分
2022年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
良洞村(外部リンク)
http://yangdong.invil.org/index.html

【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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