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素晴らしい内装で溢れる歴史あるライデン「ピータース教会」

2023-11-16

オランダ最古の大学がある南ホラント州のライデンは、画家レンブラントの生地であり、日本博物館「シーボルトハウス」があることでも知られています。
この町の中心となる教会が後期ゴシック様式の「ピータース教会」。その起源は11世紀前まで遡る歴史ある教会で、素晴らしい内装で溢れています。12世紀、オランダ伯爵の礼拝堂として奉献された後、何度も修復が繰り返され、今日イベント会場としても利用されています。

煉瓦造りでどっしりとした外観のピータース教会

写真:Hiroko Oji

オランダの南ホラント州にあるライデンは、オランダ最古の大学のある都市として知られています。その大学の南に隣接する国立植物園の東に聳えるのがピータース教会。煉瓦造りのどっしりした建物です。
1100年頃この場所に建っていたホラント伯爵の伯爵礼拝堂が、1121年に聖ペテロ・聖パウロに捧げられたのが起源となりました。やがて、より大きな建物が必要になり、新しい教会が建設され、1350年頃には塔が建てられました。塔の高さは約70メートル。1390年からは約180年間にわたって改築・増築され、やがて塔は崩壊してしまい、火薬災害や世界大戦を経て改修工事が行われ、現在の姿にいたっています。

写真:Hiroko Oji

建物は1971年に教会としては廃止されましたが、1976年には民間財団に移管され、1978年〜1982年にかけて行われた大規模な修復以来、この教会は様々なイベントに貸し出されてきました。
火薬災害後、2001年から2010年にかけて、最大かつ最も広範囲に及ぶ修復が行われ、2011年より最初の中世の教会の建物であるピータース教会として、イベント会場に対するグリーンキー(※)の「ゴールド」カテゴリーに認定されて人々に開放されています。
※グリーンキーは環境教育財団(FEE)の一部で、観光・レジャー産業における持続可能性を促進し、環境への影響を軽減することを目的とする団体です。

写真:Hiroko Oji

教会に入るには、まず併設のカフェのカウンターで入場料を支払うシステムです。現金は受け付けてくれません。見学後はこのカフェでゆったり余韻を楽しむのにもちょうど良いスペースになっています。

白を基調とした教会の内装

写真:Hiroko Oji

煉瓦の壁面と白い大理石の列柱・アーチが並ぶ教会内は、厳かな空気に満ちています。
主祭壇に向かう身廊の中ほどにあるのは1450年頃の聖歌隊席を仕切る屏風。オランダ最古の聖歌隊屏風です。もともとは、ロゼットが赤と青に塗られ低いパネルは青に金色の星が描かれたりという鮮やかな多色のものだったのですが、現在は木製の落ち着いた色合い。またルネッサンス様式の八角形の響板がある木製の説教壇は1532年、ピーテル・コルネリスによって造られたものです。

写真:Hiroko Oji

側廊の天井はヤシの木が広がるような美しいヴォールトになっており、身廊との境の柱や煉瓦の壁には、オランダきっての医学者や画家、ピューリタンの指導者などの名が刻まれたいくつもの記念碑が掲げられています。

写真:Hiroko Oji

教会につきもののステンドグラス。1807年の火薬災害で、すべてのステンドグラスが失われましたが、20世紀に入って再びステンドグラスが設置されたのが写真のもの。
これは、1940年主祭壇背後に設置されたマルニクスの窓(※)に飾られる、作家・外交官・学者であったオラニエ公ウィリアムの顧問とオラニエ公のウィリアム王子に捧げられたステンドグラスです。
※マルニクスは16世紀の有名な政治家で、彼の生誕400周年を記念してこの窓が1940年に設置されました。

豪華な装飾のパイプオルガン

写真:Hiroko Oji

主祭壇の反対側にあるパイプオルガンは、1446年頃、オルガン製作者ヤコブ・ファン・ビルステインによって西のファサードに建てられ、そのうちの約100本のパイプは現在も鳴り響く世界最古のオルガンパイプの一つとなっています。

写真:Hiroko Oji

1512年に教会の塔が倒壊した後、オルガンは1518年に修道院によって修復されました。1541年と1583年1585年には大改修が行われたのち1625年にヤン・ヤコブシュ・ヴァン・リンによって全く新しいものが造られました。
1639年、オルガンの改修がヴァン・ハーガーベーア父子によって開始されその後も何度も改修が繰り返され新たなロマンティックサウンドの理想を求め、パイプ数は約3500本までにもなりました。1994年と1998年にも大規模な修復と再建が行われ17世紀の状態に戻され、現在、オランダ最大のオルガンとして知られています。

写真:Hiroko Oji

南側の回廊のこちらのパイプオルガンは、トーマス・ヒル・オルガン。1883年にイギリスの有名なオルガン製作者トーマス・ヒルによって造られ、ほぼオリジナルの状態を保っています。
メインの正面と身廊の側面にコンソール(キーボード)があります。この場所は、音の面で最も適した場所であるだけでなく、聖歌隊のオルガンが1733年に置かれた同じ場所という歴史的な理由もあるのです。

溢れる素晴らしい装飾

写真:Hiroko Oji

南壁面の西寄りに掲げられているのが、画家ルーカス・ヴァン・ライデンの「最後の審判」という三連祭壇画(複製)です。
聖書のヨハネの黙示録の一節で、左側では天国、右側では地獄、中央の翼にはペテロパウロが描かれており、初期オランダ・ルネサンスの最も重要な作品のひとつとなっています。

写真:Hiroko Oji

大学の多くの教授や著名人はこの教会に埋葬されるので、霊廟アカデミウムと呼ばれることもあります。
南側の側翼廊にあるこのモニュメントはアントニー・ワッペロン作。有名な教授であり医師だったヘルマン・ブールハーフェの葬儀記念碑です。この他、円周率の小数点以下第35位まで計算した数学者ルドルフ・ファン・クーレンの墓碑などもあります。

写真:Hiroko Oji

北翼廊の側廊にあるのは、ヨハネス・ファン・デン・ケルホーヴェの墓。彫刻家ロンバウト・フェルフルストの作品です。

聖歌隊や各種ギルドの銘板に紋章の数々

写真:Hiroko Oji

聖歌隊屏風の背後にある銘板は、もともと十字架上のキリストとマリア、その下に使徒ヨハネが描かれていました。宗教改革後、十戒の銘板に代わり、反対側には主の晩餐の制度に関する聖書の一節が書かれました。灰緑色のペンキと金箔が使われましたが、19世紀には白黒で塗りつぶされた後、長い間その姿を消していました。しかし、十戒の銘板は1985年に復元されて元の位置に戻され、現在に至っています。

写真:Hiroko Oji

また、靴屋・鍛冶屋・仕立て屋・織り手・大工などの各種ギルドの木製のギルド板も飾られています。それぞれのギルドにふさわしい聖書のテキストとともに、仕事に関わる道具や製品をモチーフにしたデザインが施されています。

写真:Hiroko Oji

さらに美しいデザインの紋章もギルドごとにデザインされていて、色使いや形の違いを見比べるのも面白いひと時です。
外観はどっしりとしていて厳格な雰囲気を持つピータース教会は、様々なイベントやコンサートに利用されることが多い教会ですが、一歩足を踏み入れて見れば、様々な観点から見る芸術的な素晴らしい内装に溢れています。ぜひご自分の目でその素晴らしさを実感してくださいね。

ピータース教会の基本情報

住所:Kloksteeg 16,2311 SL Leiden
電話番号:+31-71-512-4319
開場時間:11:00〜18:00
休館日:月曜日
2023年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
ピータース教会(外部リンク)
https://www.pieterskerk.com/
日本のタイムカプセル!オランダ・ライデン「シーボルトハウス」
https://www.travel.co.jp/guide/article/48074/
オランダの古都ライデンにある風車博物館「デ・ファルク」
https://www.travel.co.jp/guide/article/48097/

【トラベルjp・ナビゲーター】
Hiroko Oji

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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