2024-07-24
いまでは廃線となった鉄道路線は全国各地にあるとはいえ、当時の路線跡が整備され、数多くの遺構が残されているところは珍しいといえるでしょう。兵庫県三木市の三木駅と加古川市の厄神駅とを結んでいた「三木鉄道三木線」は、そのような廃線の一つ。かつて列車の走行していた上を歩きながら往時をしのぶのに、打ってつけの路線跡です。今回は旧三木駅を出発し、旧厄神駅までの6キロあまりの廃線をたどる旅に出てみましょう。
「三木鉄道三木線(みきてつどうみきせん)」は、第三セクター方式で運営されていた三木鉄道株式会社の鉄道路線。兵庫県三木市の「三木駅」と加古川市の「厄神駅」とのあいだ、約6.6キロメートルを結んでいた鉄道路線です。開業は1916年(大正5)にまでさかのぼりますが、やがて赤字路線に転落。2008年(平成20)4月1日、廃線となりました。
廃線後は鉄道施設の撤去が推し進められましたが、三木市側では廃線の跡地を積極的に活用する計画が練られ、2018年には、「別所ゆめ街道」の名称のもと、かつての路線が遊歩道・サイクリングロードとして生まれ変わる一方、代表的な旧駅舎については、その保存や復元整備がはかられました。
写真は三木市側の出発駅となっていた旧三木駅の駅舎。現在は「三木鉄道ふれあい館」として保存・活用されています。
三木鉄道ふれあい館の入館は、無料。旧三木鉄道をめぐる際は、まず立ち寄りましょう。
館内には、三木鉄道ゆかりの品が複数展示されています。当時、三木鉄道を走行していた列車の写真なども展示されており、往時をしのぶのに格好のスポットです。
当時、車輌に取りつけられていたプレート類も展示されています。
鉄道ファンにはたまらない施設ですね。
三木鉄道ふれあい館の西側にあるこちらの建物は、駐輪場として利用されています。しかし、当時は貨物取扱場として使われていたもので、屋根や骨組みは当時のまま。
古来、金物業で栄えた三木の地には、数多くの物資が往来しました。貨物集積場はその三木の地の繁栄を示したものでもあり、貴重な遺構です。
三木鉄道ふれあい館の周辺は、鉄道公園として整備されており、三木鉄道時代に使われていた信号機や車止めなどのほか、遊具も充実しています。
三木鉄道記念公園からは、西へと遊歩道がのびています。
兵庫県道20号加古川三田線と並行する形で敷設されているこの遊歩道は、三木鉄道の路線跡の上に敷かれたもの。三木鉄道公園を出発し、旧厄神駅(現在のJR厄神駅)を目指しましょう。
<三木鉄道記念公園の基本情報>
住所:兵庫県三木市福井2-12-42
アクセス:神戸電鉄「三木駅」より徒歩約5分
三木鉄道には、東側の始発駅となる三木駅、西側の始発駅となる厄神駅とあいだに、高木駅・別所駅・西這田駅・石野駅・下石野駅・宗佐駅・国包駅と、計9つの駅が存在しました。
駅の多くは撤去されましたが、写真の別所駅とその2駅西側の石田駅では、ご覧のような形で駅舎の復元がなされています。当時のレールや枕木などが一部残されているのは、嬉しいですね。
西へと向かうと、道路と交差するポイントには、ご覧のような鉄柵も見られます。これは踏切の痕跡です。
かと思えば、河川を越える箇所では、当時の橋台も見られます。
<旧別所駅の基本情報>
住所:兵庫県三木市別所町東這田43-6
アクセス:神戸電鉄「三木駅」より徒歩約20分
三木市内を西へと進んだ路線跡はやがて加古川市内に入ります。行政区画が違っていることもあり、加古川市側では線路や駅舎等の撤去は完了しているものの、三木市のような保存整備ははかられておらず、写真のような状態で残されています。
写真はかつての宗佐駅付近を撮影した一枚。きれいに整備された三木市側とはまた違った廃線の様子が見られるのも、三木線の特徴です。
旧宗佐駅から数百メートル西には、当時の橋台の遺構が見られます。
<旧宗佐駅の基本情報>
住所:兵庫県加古川市八幡町宗佐
アクセス:JR厄神駅より徒歩約20分
中世、当地をおさめた加古源左衛門美宗の館があったとされる「国包構居跡」(現在の常観寺)の近くには、当時の標識も残されています。
こちらの標識は線路の勾配を示したものであり、「L」は「Level」の略。すなわち、勾配が水平であることを示しています。
<国包構居跡(現在の常観寺)の基本情報>
住所:兵庫県加古川市八幡町848
アクセス:JR厄神駅より徒歩約15分
国包構居跡を横切った路線跡は、民家のあいだをぬうようにして、旧厄神駅へと向かっていました。
旧三木鉄道は、やがて、JR加古川線と並行するようになります。写真手前の草地が三木線の跡。向こう側がJR加古川線です。
旧厄神駅は、JR加古川線の厄神駅と共同使用されていました。
JR厄神駅の橋上から眺めると、手前に向かって進入してくる三木線の痕跡が現在でも明瞭にうかがえます。
<旧厄神駅(現在のJR厄神駅)の基本情報>
住所:兵庫県加古川市上荘町国包
アクセス:JR加古川駅より加古川線で約10分
三木鉄道三木線がいかに廃線めぐりの魅力をそなえた路線跡であるか、おわかりいただけたでしょうか。数多くの遺構が残されているため、廃線をたどるには打ってつけの路線跡です。旧三木鉄道三木線をめぐり、乗客を乗せて活躍していた当時の様子に思いを馳せてみてください。
2024年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
三木鉄道跡地遊歩道 別所ゆめ街道(外部リンク)
https://bessho-yumekaido.com/
【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司
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