2025-03-29
ミケランジェロやラファエロらの芸術家達を援助したメディチ家の下で、ルネッサンス文化が花開いたフィレンツェ。その町でメディチ家のライバル一族だったのがピッティ家です。
壮大なルネッサンス宮殿として残る「ピッティ宮殿」は、その一族のルーカ・ピッティによって15世紀に建設が始まり、16世紀にはメディチ家の居城となり、増改築が繰り返された宮殿。現在、歴代居住者たちの膨大なコレクションが展示されています。
フィレンツェの町中を流れるアルノ川の南に広がる広大な敷地にそびえるのが「ピッティ宮殿」。ピッティ宮殿自体の敷地と背後のボーボリ庭園の敷地と大きく二つの部分に分かれます。
宮殿は、フィレンツェで力のあったメディチ家のライバル一族ピッティ家のルーカ・ピッティが建設したものです。ドゥオーモのクーポラを手掛けたブルネッレスキの設計によって15世紀に建設が着工されたもののルーカ・ピッティの死によってピッティ家が没落し、16世紀半ばに入りメディチ家に買い取られ、その居城となりました。
その後も増改築が繰り返され、19世紀の初めには、メディチ家の莫大なコレクションを公開する美術館が開設。19世紀後半のイタリア統一後には、初代国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の王宮となり、現在、美術館・博物館として歴代居住者たちの莫大なコレクションが収蔵されています。
宮殿の南側には、広さ45,000平米のボーボリ庭園が広がります。フィレンツェ市内で最も広大な緑地エリアで、コジモ1世の依頼でトリーポロが1549年に設計したイタリア式庭園です。
緩やかな傾斜のある庭園内には、著名な芸術家たちが手掛けた彫像をはじめ噴水、オブジェなどが設置されており、野外美術館を思わせる装いです。階段状の観客席がある17世紀に造られた円形劇場の中央に建つオベリスクは、エジプトのルクソールから運ばれた紀元前1500年頃のものです。
お時間が許せば、ボーボリ庭園の麓にあるマダマ洞窟へも足を延ばしてください。1553年〜1555年にかけてコジモ1世の妻のために建てられ、コジモ2世の妻にちなんで名づけられた洞窟で、壁には大理石の柱と動物のレリーフ、水盤が設置されています。
宮殿内に入って最初に入るのは「白の間」。メディチ家時代には、現在のタペストリーの間の控えの部屋として重要な来客を迎えるために造られ、後には応接室となりました。
特注のガラスでできた鏡とシャンデリア、ヴェネツィアモザイクの床、壁面や天井に施された真っ白な豪華なスタッコ装飾の美しいお部屋に迎えられて、この後の見学が楽しみになります。
宮殿内の目玉となるのは「パラティーナ美術館」。メディチ家のフェルディナンド2世によって造られた美術館で、フィレンツェではウフィツィ美術館に次ぐ展示規模を誇り、ラファエロやカラヴァッジョ、ティツィアーノなど、ルネッサンス時代を代表する画家達の名作がずらりと並ぶ展示室がいくつもつながります。
写真は大公妃のための部屋が続くヴォルテッラーノの区画にある最初の部屋。この区画には1600年代のフィレンツェのヴォルテッラーノの天井画があることからこう呼ばれます。中央の彫刻作品はエミリオ・ゾッキの作品で、少年時代のミケランジェロがマスクを彫っている様子です。
続く館内には歴代トスカーナ公が収集した貴重なコレクションが展示されており、写真の「ヴィーナスの間」をはじめ「ヘラクレスの間」「フローラの間」といった神々の名に由来した展示室など、約30室にわたり見事な絵画や彫刻が展示されています。
パラティーナ美術館の第15室となる「プロメテウスの間」にあるのは、フィリッポ・リッピ作の『聖母子と聖母の物語』(1452年)。ほかにもボッティチェッリ作『美しきシモネッタ』(1485年)をはじめ、シニョレッリ、ポントルモ、ピエロ・ディ・コジモなどの作品も掲げられています。
どの部屋も豪華な装飾が施された室内と、壁いっぱいに並ぶ名作の数々に圧倒されっぱなしです。
第25室「イリアスの間」や第26室「サトゥルヌスの間」などに展示されているラファエロ作品や、第29室「アポロの間」に展示されているティツィアーノ作品は、美術史上においても優れた名作ばかりです。
パラティーナ美術館の上の階にある近代美術館にも名作がズラリ。主に1700年代〜第二次世界大戦中までの作品が収蔵されており、ヴィクトル・ユーゴー像がどっしりと構えるお部屋も。全部を見て回るには相当の体力が必要となります。
展示作品のみならず、建物自体の装飾も目を瞠るものばかり。こちらの展示室の天井全面には緻密で美しい格間装飾が施されています。
またコルトーナがピッティ宮殿内に描いた最初の作品がある「ストーブの間」などのように、壁面いっぱいに描かれたフレスコ画や出入り口上部の装飾などもついつい見惚れてしまいます。
さらに天井全面に描かれたフレスコ画とその周りを埋め尽くす豪華な装飾。どの部屋でも首が痛くなってしまうまでうっとり見惚れてしまう眩さです。
パラティーナ美術館と隣接する形で、宮殿の右翼側を占めるエリアが「君主の居室」。歴代トスカーナ大公の住居や、サヴァイオ家の王宮として使用されていたところです。
豪華な装飾の壁面や天井、美しい装飾の家具に眩しいばかりのシャンデリアなどで飾られた居室やホール、それにふさわしい絵画や彫刻の数々が見られます。特に「王座の間」とも呼ばれる部屋は、サヴァイオ家によって調達された玉座や天蓋で飾られていて豪華さはダントツです。また、写真は植物模様の絹の壁布の色から「緑の間」と呼ばれる部屋で、天蓋付きベッドやソファの豪華さが際立ちます。
豪華な部屋が続く中に一角だけ落ち着いた雰囲気の部屋があるのも見逃せません。
ここはナポレオンのバスルーム。華やかさはありませんがスタッコ装飾に漆喰のレリーフ、壁面の大理石像、色合いの違った大理石が組み合わされた床など手の込んだ造りの浴室です。通路途中のちょっと地味な場所なので、ついつい通り過ぎてしまいそうになりますのでご注意を。
銀器博物館と呼ばれていた宝物庫には歴代君主の宝物がずらりと並びます。また陶磁器博物館、衣装博物館、ロシアイコン博物館、礼拝堂などもあって見応え大ありな館内となっており、最低半日は必要な展示内容です。丁寧に見たい場合は一日がかりとなる観光スポットですので、どうぞ時間の余裕を見てご訪問くださいね。
住所:Piazza de’Pitti,1,50125 Firenze FI
電話番号:+39-055-294883
開館時間:8:15〜18:30(パラティーナ美術館 8:00〜19:00)
休館日:月曜日
2025年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
ピッティ宮殿(外部リンク)
https://www.uffizi.it/palazzo-pitti
フィレンツェ「ドゥオーモ広場」魅力あふれる観光スポット5選
https://www.travel.co.jp/guide/article/48843/
パラティーナ美術館(外部リンク)
https://www.uffizi.it/palazzo-pitti/galleria-palatina
フィレンツェ「オテル アドラー カヴァリエリ」抜群の気配りで居心地満点
https://www.travel.co.jp/guide/article/48823/
フィレンツェ「ホテル・ミア・カーラ&スパ」家庭的でメニュー豊富な朝食
https://www.travel.co.jp/guide/article/48822/
【トラベルjp・ナビゲーター】
Hiroko Oji
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