2021-04-22
奈良市の「氷室神社(ひむろじんじゃ)」といえば、境内に咲き誇るしだれ桜でその名を知る方も多いでしょう。しかし、しだれ桜だけが氷室神社の魅力ではありません。毎年5月1日には、全国の製氷・販売業者が商売の繁盛を願って集う「献氷祭」がもよおされ、「氷」の祭礼にふさわしく、お魚が封じられた大きな氷柱もお目見えします。今回は全国的にも珍しい氷室神社の「献氷祭」をご紹介しましょう。
「氷室神社」は奈良県奈良市にある神社で、奈良公園に隣接する地に鎮座しています。
氷室神社の創建は、奈良時代。710年(和銅3)、元明天皇の勅命により、真冬に作られた氷を宮中に献上する制度(献氷)がはじめられました。氷室神社は、その名の通り、献上用の氷を備蓄する「氷室」にちなんでおり、860年(貞観2)、現在の地に奉遷されています。氷を宮中に献上する制度は平安時代に入ると廃止されますが、近代以降も「氷」にちなんだ事業をおこなう個人や団体より篤く信仰されています。
そのことは大阪府の凍氷商組合氷室講によって奉納された写真の石燈籠からもうかがえます。
毎年5月1日にとりおこなわれる「献氷祭」は、全国から製氷・販売業者が参列し、業績の向上を祈願する祭礼。
かき氷をはじめ、氷が本格的に販売されるこの時期にとりおこなわれるという点に、献氷祭ならではの特色があります。
写真は本殿前を撮影したもの。よく目を凝らすと、一対の大きな氷柱が奉納されています。しかも、なかではお魚まで泳いでいるではありませんか!
これはいったい何!?
氷柱は京都市東山区の製氷会社「荒川氷室」が製造し、大阪氷卸協同組合・大阪府氷雪販売業生活衛生同業組合・大阪府冷凍事業協会が奉納したもの。
氷柱のなかに閉じ込められているのは鯉と鯛ですが、あたかも氷柱のなかを鯉や鯛が泳いでいるように演出されている点は、さすが氷のお祭りだけのことがありますね。
しかし、こんな光景、ほかでは滅多にお目にかかれません。
献氷祭にちなみ、境内にはほかにも氷柱が点在しています。
たとえば、こちらは季節の草花が内部に閉じ込められた氷柱。本殿前に奉納された鯉鯛氷柱のインパクトが強烈で、どうしてもそちらに目を向けてしまいがちですが、こちらの氷柱もお見逃しなく。
こちらの氷柱も、見ているだけで涼しい気分が味わえますね。
「氷みくじ」というおみくじもいただけます。
受付でいただいたおみくじを氷の上に置くと、文字が浮かびあがるという仕組み。氷室神社ならではのおみくじゆえ、ぜひ、ひいてみましょう。
氷室神社には、かつて南都流の舞楽が伝承されていました。その伝統を受け継ぎ、献氷祭では、南都晃耀会および南都流舞楽伝承会の方々による舞楽も奉納されます。
写真は「納曽利(なそり)」という演目。龍が天に昇っていくさまを表しています。
奈良でも舞楽を間近で見られるのは、春日大社若宮社の祭礼である「おん祭り」と、氷室神社でとりおこなわれる献氷祭などの祭礼のときのみ。
ぜひ、この機会にご覧ください。
境内では、かき氷の頒布もおこなわれます。かき氷をいただきながら祭礼を拝観すると、よりいっそう涼しく感じられること、請け合いです。
氷室神社の献氷祭、いかがでしたか?ゴールデンウィークの真只中にとりおこなわれる祭礼でありながら、混雑するほどのこともないため、祭礼の数々をゆっくりご覧いただけます。初夏の一日、氷室神社の献氷祭を拝観し、涼しい気分を味わってください。
2024年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司
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