2025-05-13
奈良県斑鳩町の「藤ノ木古墳(ふじのきこふん)」といえば、現在、国宝に指定されている数々の埋葬品が出土した古墳として、その名を知る人も多いのではないでしょうか。しかし、その藤ノ木古墳が、どのような形で現存しているかをご存知の方は少ないはず。今回は古代史ブームの一翼を担った藤ノ木古墳とその関連施設である斑鳩文化財センターを紹介し、古代史の謎に迫ってみましょう。
金銅製の馬具や装身具類、刀剣類など、現在は国宝に指定されているきらびやかな副葬品が多数出土したことで全国的に知られる「藤ノ木古墳」は、奈良県斑鳩町にある古墳。世界遺産となっている法隆寺の西方に位置しています。
現在は所在地の字名をとって「藤ノ木古墳」と呼ばれていますが、古文書類では「ミササキ」あるいは「陵山」と呼ばれており、藤ノ木古墳が天皇あるいは皇族クラスの人物を埋葬した陵墓であると見なされていたことがうかがえます。事実、研究者のあいだでは石室内に置かれていた石棺のなかに眠っている2人の被葬者として、蘇我馬子に暗殺された穴穂部皇子(あなほべのみこ)や宣化天皇の皇子とされる宅部皇子(やかべのみこ)、崇峻天皇といった人物が推定されています。
発掘調査の結果、藤ノ木古墳は直径50メートルを超える大型の円墳で、その築造年代はまもなく7世紀に入ろうかとする6世紀後半から末期にかけてと考えられています。以前は墳丘に樹木も生い茂っていましたが、近年の整備により、ご覧のように、古墳の形がはっきりわかるようになりました。
墳丘の周囲も整備されています。したがって、墳丘のまわりをぐるりと一周することも可能です。藤ノ木古墳の全体像をさまさまな角度から眺められるのは、有難いですね。
かつて石室へつながる道(羨道)があった部分は舗装され、ガラス窓越しに石室の内部を覗くことができます。扉の前に立つと、人感センサーが反応して、一時的に石室内の照明が点灯する仕掛けです。未盗掘の石室が発見され、その内部からおびただしい副葬品が出土したことで知られる藤ノ木古墳。窓越しではありますが、その内部をうかがえるとは、古墳好きにはたまらないですね。
ちなみに、毎年春と秋には、石室内の一般公開もおこなわれています。そのときには、事前の申し込みなしで内部まで立ち入ることができます。
2025年春期石室特別公開
日時:5月24日(土)・25日(日)午前10時〜午後4時
定員:各時間帯(30分ごと)に50名
窓越しに石室内をのぞくと、ご覧のとおりです。石棺に塗られていた朱の一部もご確認いただけます。
藤ノ木古墳を訪れたら、石室内もぜひ覗いてみてください。
<藤ノ木古墳の基本情報>
住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺西2-1-1795
アクセス:奈良交通バス「法隆寺参道」より徒歩約10分
藤ノ木古墳から南に数百メートルのところに、藤ノ木古墳についてのガイダンス施設というべき「斑鳩文化財センター(いかるがぶんかざいせんたー)」があります。藤ノ木古墳についてより詳しく学びたい方は、斑鳩文化財センターも訪れてみましょう。
館内に入ると、ご覧のような通路を経て展示室へと入りますが、壁に描かれた巨石のデザインが藤ノ木古墳の内部の羨道を模しており、さながら石室内に足を踏み入れるかのような錯覚にとらわれますよ。
館内では、開封当時の石棺の内部の様子を再現した実物大のレプリカが展示されています。石棺には2人の男性ががおさめられていたことが判明していますが、なぜ、2人の被葬者を一つの石棺に埋葬しなければならなかったのか、謎が謎を呼びます。
彼らはいったい何者なのか。その写真や推定復元図をもとに、ご自身で藤ノ木古墳の謎に挑んでみてください。
藤ノ木古墳ら出土した副葬品のレプリカも多数展示されています。写真は金銅製の鞍金具ですが、レプリカといえど、侮るなかれ。きわめて精巧に復元されており、素人目には本物かレプリカかの見分けがつかないほど。
こんな素晴らしいものが埋葬されていたのかと驚かれるのではないでしょうか。
こちらは金銅製の靴。その飾りの多さに圧倒されますね。
藤ノ木古墳出土の副葬品といえば、豪華な金銅製の製品ばかりに目が向けられますが、ほかにも須恵器などの出土物も数多く展示されています。
<斑鳩文化財センターの基本情報>
住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺西1-11-14
電話番号:0745-70-1200
開館時間:午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:水曜日(水曜日が休日の場合や特別展開催中は開館)・年末年始
入館料:無料
アクセス:奈良交通バス「法隆寺参道」より徒歩約5分
藤ノ木古墳の魅力、おわかりいただけたでしょうか。上でも紹介したように、法隆寺からのアクセスも快適。藤ノ木古墳を見学し、古代史の謎に迫ってみてください。
2025年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
史跡藤ノ木古墳―斑鳩町ホームページ(外部リンク)
http://www.town.ikaruga.nara.jp/0000000045.html
【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司
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