シルバニアをエヴァ初号機が寝かしつけ “育児あるある”を描いたコマ撮り動画に共感の声

　シルバニア人形を子ども、エヴァ初号機のフィギュアを親に見立てて、育児に関するさまざまな“あるある現象”をコマ撮り動画にして投稿しているTwitterアカウントが話題になっている。投稿主は阿部靖子さん（@yakko_8）で、Netflixで公開されているアニメ『リラックマとカオルさん』にも参加しているコマ撮りアニメーターだ。寝かしつけの大変さや育児に体力を奪われるさま、ぐずる子どもをなだめる姿などを見事に表現し、多くの共感の声を集めている。こういった動画を作ろうと思ったきっかけや、シルバニアに感じる魅力などについて話を聞いた。

――コマ撮りアニメーターとして活躍され、Twitterでもコマ撮り動画を投稿されていますが、なかでもシルバニア人形をエヴァの初号機が寝かしつける動画には大きな反響がありました。そのことについてはどのように感じていますか？

阿部靖子エヴァとシルバニアのシリーズは、自分では“育児あるある”だと思って撮ってはいなかったんです。他の家庭や保育園の中のことは外から見えないので、「こんなことやっているのって自分だけかも」「こんな行動をするの我が子だけかなぁ」と、不安になることがありました。そういった行動をコマ撮りにして投稿してみたら、本当に多くの方に「あるある」「うちもこうだった」と言ってもらえて、驚くとともに「うちだけじゃなかった！」と安心できました。また、育児をしてない方にも「笑った」「育児って大変なんだな」「おつかれさま」と言ってもらえて、私自身が本当に救われる思いです。

――そもそもなぜシルバニアと初号機を使おうと思ったのでしょうか？

阿部靖子初号機を使ったのは、しょうもない理由で申し訳ないのですが…「コマ撮りで何か作品を作りたいなぁ」と考えていたときに、たまたま近所のリサイクルショップで初号機の稼働フィギュアが安く売っていたんです。昔、アニメーターの先輩にいただいたシルバニアと並べたら、サイズ感が親子のように見えたので、思いつくまま撮ってみたという感じでした。

――シルバニアと初号機のコマ撮り動画には、どれくらいの制作時間がかかるのですか？

阿部靖子ひと作品5〜6時間くらいです。娘が保育園に行っている間に、セッティングをして撮影をして片付けなければならないので、大急ぎでやっています。

――着想はどういったときに生まれていますか？

阿部靖子子どもと関わっていく日々の中で、ときどき自分を客観的に見て、「子どもと出会う前は、自分がこんな行動をするなんて夢にも思わなかった」という瞬間がよくあるんです。そういった、ある意味“異様な自分”を発見したら、それをネタにしようと思っています。

――阿部さんご自身の思いが反映されている、特にお気に入りの作品を教えてください。

阿部靖子全部お気に入りなのですが、思い入れが強いという意味では、「授乳初期・後期」ですね。授乳って幸せなイメージがありますけど、実際やってみるとこんなにしんどいのかと…。その当時の悩みや感情が入っていますし、「きっと他にも同じように悩んでいる人がいるはずだ、その人たちに届けたい」と強く思って作った作品でした。

――阿部さんが考える「シルバニアの魅力」は、どういったところにありますか？

阿部靖子シルバニアは稼働域が少ないので、エヴァよりずっと簡単な動きしかできないのですが、それを補ってあまりある可愛さと存在感があります。凝ったことをしなくても、ほんの少し動くだけでもうすごく可愛いんですよね。

――見ているだけで可愛いですもんね。

阿部靖子それと、プレーンな存在というか、誰もが「うちの子にそっくり」と思わせてくれるようなシンプルな表情がいいですよね。エヴァもそうですが、本当に人形の魅力のおかげで作品が成立していると思います。

――今後は、シルバニアを通してどういったコマ撮り動画を制作していきたいと考えていますか？

阿部靖子最近は忙しくてなかなか更新できていませんが、まだまだやりたいネタがたくさんあるので、育児シリーズをゆっくり作っていきたいなと思っています。いつか自分で見返したときに、娘と過ごした日々の良い思い出になればいいなと思っています。