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http://syun-kin-shou2008.com/ 9月27日(土)よりシアターイメージフォーラムにてモーニング&レイトショー 全国順次公開 原作:谷崎潤一郎 脚本:小林弘利 監督:金田 敬 制作・配給:ビデオプランニング (C)2008春琴抄Partners
盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いた、谷崎潤一郎の短編小説「春琴抄」。過去幾度となく、その時代の名俳優・女優によって映画化されてきたが、1976(昭和51)年の三浦友和&山口百恵以来、32年ぶり6度目の映画化が実現。2008年版の主演として、その名を残すことになったのは映画『海猿』、NHK土曜時代劇「オトコマエ!」で人気爆発の注目株・斎藤工さん。耽美で究極ともいえる愛の物語をいかに演じたのか。作品に込めた思いや撮影の裏側など話を聞いた。 --谷崎潤一郎の『春琴抄』が原作で、過去に何度も映画化・舞台化されていることへのプレッシャーは? 斎藤 「あ〜、目を突く話ね」と皆さんが言われますよね。実は、この映画については、金田敬監督も僕も、何度か断ったことがあったんです。今やるべきじゃないとか、どこかみんなのタイミングが合わなくて。それが、何か不思議な力が働いたかのように、引き寄せられて、2008年版『春琴抄』が完成したって感じですね。 今作は・・・、傍から見たら異常ともいえる2人に感情移入できなくてもいいんです(笑)。沢木ルカちゃんが演じる奉公人・テルという第三者の目線から春琴と佐助の関係性を描いているので。テルは、2人のことが何となくわかっているんだけど、すべては理解できない、観客にもっとも近い目線で淡々と語っています。僕としては、無表情、無感情で演じました。それは徹底してやりました。「目を突く」ことすらも素直に受け入れられる、それが日常の男。言葉遣いや所作のひとつひとつを、なるべく淡々と普通に演じることを心がけました。佐助という男の人生のほんの一瞬の日常を切り取ったものにしたいと。 --佐助役を演じる上で、何か特別に準備したことはありましたか? 斎藤 浪花弁と三味線を特訓しました。三味線は、上手に演奏するための練習というより、いかに上手に弾いているように見せるか。姿勢や三味線を弾く手の動きなどを練習しました。プロの三味線奏者が見て違和感がないように演じようと思いました。その時代に生きていた人間になり切らないと伝わらない、と常々思っているので。 --斎藤さんは、春琴と佐助の関係性をどう思いますか? 斎藤 原作は、短いストーリーの中に、いろいろなものが凝縮していますよね。和製ロミオとジュリエットみたいな要素もあって、シェイクスピアと決定的に違うのは、男が秘めて秘めて、耐えて耐えて、感情を表に出さないというところ。単なるマゾヒズムをつきぬけて、日本人特有の不器用さというか、距離感、即行動に出ない、日本ならではの男女の愛の形があるように思いました。舞台が明治初期だから浮き出て見えるけど、現代にはこういう関係性の男女が少なくないですよね。女性のほうが強くて、尽くす男みたいな(笑)。 --斎藤さんは、愛する人のためにどこまで身を捧げることができますか? 斎藤 100%は無理ですね。僕は残念ながら、佐助みたいにはなれない。僕は目を突けないですよ。目を突いた振りをしちゃうタイプだと思う、たぶん(笑)。でもね、佐助ほど、自分のエゴを貫いた人もいないと思うんですよ。春琴を愛しているというより、春琴を愛している自分がすべてなんじゃないかぁ。 --映画のチラシには「原作にほれ込んだ」と書いてありましたが。 斎藤 この作品を谷崎潤一郎は、妻に目隠しをして下の世話をしながら書いたと聞いて、それはすごいなって思いましたね。そんなにまでして、作品に執着するなんて。そんな谷崎の執念みたいなものって、役者の役づくりにも似ているなぁって思って、すごく共感できたんです。でも、谷崎と奥さんはものすごく一生懸命なのに、傍から見るとやっぱり異常ですよね。たしかに『春琴抄』の2人にリンクしている。 ちなみに、奥さんは、新聞広告で公募したって話で、素敵すぎます!それに応募して、結婚した夏子夫人というのも、ユニークだと思いますが(笑)。作品のたびに実験台にされて大変だったでしょうが、谷崎自身はとても純粋な男だったんじゃないかと、僕は思って、彼の文学というか、彼自身に興味を持ちましたね。 --何事も探求するタイプですか? 斎藤そうかもしれないですね。映画もルーツをたどって観るのが好きだったりしますね。子供の頃から父の影響で、よく映画を見ていたのですが、高校生の頃、タランティーノ監督の作品の話を父にしたら、「タランティーノのルーツは深作欣二だ」と言って、『仁義なき戦い』のビデオを借りて来てくれたことがあったんです。それを見たらすごくハマってしまって。映画ってそうやって見るのも面白いなと思って。成瀬巳喜男や鈴木清順とか、日本の映画の黄金期が、世界の映画にいかに影響を与えたかということを、ひもといていくのが生き甲斐になってしまって、年間300本くらい映画を見ていた時期もありましたね。 --いまや映画専門誌で連載を持つほど、映画のとりこですね。 斎藤 映画が一番後世まで残ると思うんですよ。僕の孫の、そのまた孫の代になる頃、世界はどうなっているかわからないけれど、映画作品は残っている可能性が高いと思うし。それに、日本でメキシコ映画やインド映画が見られるように、映画は国も超えて行きますからね。だからというわけでないのですが、『春琴抄』のような文学作品こそ、映画館で浸ってほしいですね。明治時代にタイムスリップしたかのように、日本人のDNAが懐かしさを感じるんじゃないかなぁ。 監督と初めてお会いした時に、「10代の人が見て、その場でそうだよねって理解できる話ではない。『春琴抄』を見た後、何年か経って、その間にいろいろな経験を積み、ふとした瞬間に『今ならあの2人のことが少しわかる』みたいな思い出し方、残り方する作品にしたい」という話をしていて、もともと消化不良を狙って作っているので、いい意味で胃もたれしてほしいですね(笑)。 衣装協力 シャツ \15,750/SEMBL スウェードベスト \60,900/TALKING ABOUT THE ABSTRACTION コーデュロイパンツ \17,640/ORAQLE harajuku “0”
斎藤 工 SAITOH TAKUMI 俳優 1982年8月22日生まれ。東京都出身。高校生の頃からファッション雑誌、ファッションショーなどモデルとして活動。2001年『時の香り〜リメンバー・ミー』で俳優デビュー。2004年映画『海猿』、2005〜2006年ミュージカル『テニスの王子様』で人気が加速。2008年NHK土曜時代劇『オトコマエ!』の主演をきっかけに海外作品からのオファーも続出中。10月1日スタートのドラマ『親孝行プレイ』(毎日放送)にもレギュラー出演。雑誌『映画秘宝』にて「映画じかけのオレンチ」を連載中。 公式HP:http://saitoh-takumi.jp/
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