ホーム 旅行&おでかけ > ブルゴーニュ公国の都「ディジョン」で 歴史と美食の街散策

ブルゴーニュ公国の都「ディジョン」で 歴史と美食の街散策

2023-05-24

かつてフランス王よりも広く豊かな領土を持っていたブルゴーニュ公。その公国の首都だった「ディジョン」には、芸術、文化の中心として栄えた面影が現在も濃く残っています。
数百メートル四方の旧市街にブルゴーニュ公宮殿やいくつもの教会が集中しており、観光するのにも便利。しかもこの街はブルゴーニュワイン街道の玄関口で、フランスでも「美食の街」として知られています。
フランス観光はパリだけにあらず!です。

中世の建物が現在も並び建つ旧市街

写真:万葉 りえ

フランスで親しまれているスパイスが香る「パン・デビス」。料理なら「エスカルゴ」に、牛肉の赤ワイン煮込み「ブフ・ブルギニヨン」など郷土料理も嬉しい美食の街「ディジョン」。
それだけでも心そそられますが、さらにここはブルゴーニュ公国の首都として栄えた歴史をもち、見ごたえある宮殿や教会等が現存します。

写真:万葉 りえ

また17〜18世紀に建てられた建物の間に中世の建物も見られます。こちらの建物は窓の装飾も歴史を感じさせますが、屋根もブルゴーニュの伝統的なもの。このように素敵な建物がこじんまりとしたエリアに集まって観光しやすいというのもこの街の魅力。
そんな歴史と美食の街ディジョンを巡ってみましょう。

写真:万葉 りえ

まずご紹介するのは18世紀に建てられたポルト・ギヨーム(ギヨーム門)です。パリの凱旋門を小さくしたようなこの門。少しシンプルな造りですが、広場にどっしりとそびえています。
この広場のディジョン駅方向に市民の憩いの場「ダルシ―公園」があり、公園とは反対方向にディジョンのメインストリート「リベルテ通り」が延びています。商店も多く宮殿前へとつながっている通りなので、まずはこの通りを押さえておきましょう。
<ポルト・ギヨームの基本情報>
住所:13 Pl. Darcy, 21000 Dijon
アクセス:ディジョン駅より約300m

2世紀の伝道者を祀るサン・ベニーニュ大聖堂

写真:万葉 りえ

ポルト・ギヨームから南方向に向かう通りに少し入れば、ご覧のサン・ベニーニュ大聖堂が建っています。
サン・ベニーニュとは、このディジョンで殉教したと伝わる2世紀のギリシャ人伝道者のこと。その聖人の墓を510年頃に地下聖堂(クリプト)に祀り、その上部に教会を建てていったのがこの大聖堂の始まりです。

写真:万葉 りえ

廃墟になりかけたこともありましたが、990年に修道院長に任命されたギヨーム・ド・ヴォルピアーノが修道院教会の再建に着手します。
現在の建物は、4代目の教会堂が1271年の火災で崩落したことから、1280年からゴシック様式で再建されたもの。外観では、こちらも屋根にブルゴーニュ独特の文様が入っています。

写真:万葉 りえ

1792年にはディジョン教区の大聖堂となり、側廊の先にも祭壇が設けられている大きな教会です。宗教施設なので内部では静かに見学していきましょう。
フランスの歴史的建造物の指定も受けていて、まだ発掘中の部分もありますが、地下聖堂も残っています。見学できる場合は、古代を思わせるような8本の柱が特徴的な円形空間や、サンベニーニュの墓石に施された美しい装飾もご覧ください。
<サンベニーニュ大聖堂の基本情報>
住所:Pl. Saint Benigne, 21000 Dijon
アクセス:ポルト・ギヨームより約200m

壮麗なブルゴーニュ公宮殿とリベラシオン広場

写真:万葉 りえ

リベルテ通りを東に進めば、左手に大きな建物が見えてきます。それが写真の旧ブルゴーニュ公宮殿。14〜15世紀のブルゴーニュ公国時代に建てられたもので、現在は市の施設等が入っています。東側には博物館が入っており、多くの所蔵品がブルゴーニュ公国の首都だった頃の繁栄を伝えてくれます。

写真:万葉 りえ

その宮殿の前で大きな半円を描いているのがリベラシオン広場です。ここはフランスで最も美しいといわれている広場の一つで、このように一枚の写真には入りきれないほどの広さ。
周りの建物にはレストランも入っています。柔らかなクリーム色で統一された宮殿と広場。テラス席でお茶をしながら眺めるのもお勧めです。

写真:万葉 りえ

ブルゴーニュ公宮殿は、1682年にベルサイユ宮殿の設計者が増改築を行って今の姿になっています。宮殿の1階には北側にあるフォルジュ通りへつながる部分もあり、そこから見られるのがこちら。豪華な造りの一端もご覧ください。
<ブルゴーニュ公宮殿の基本情報>
住所:1 Rue Rameau, 21000 Dijon
アクセス:ポルト・ギヨームから約500m

外観のガーゴイルが特徴的なディジョンのノートルダム教会

写真:万葉 りえ

そしてこちらが宮殿の北側に建つノートルダム教会です。教会内に入る前に見ていただきたいのが写真の左側に写るファサード(建物正面)部分。突き出したように装飾が並ぶ、特徴ある外観をしています。
これはガーゴイルとよばれるグロテスクな像で、魔除けもかねて屋根の雨水を地上に落とす樋口になっています。ガーゴイルが教会に設置されることは珍しくないのですが、このように並べられるのはかなり稀(まれ)。様相が異なる怪物が全部で51体設置されています。

写真:万葉 りえ

中に入れば、ゴシック様式でつくられた高い天井の空間が待っています。完成は1250年で、非常に古い聖母像も伝わっています。
ここには初代ブルゴーニュ公のフィリップ豪胆王が遠征から持ち帰ったという仕掛け時計や、ディジョンで唯一の13世紀のステンドグラスも残っています。

写真:万葉 りえ

<ノートルダム・ド・ディジョン教会の基本情報>
住所:2 Place Notre Dame, 21000 Dijon
アクセス:旧ブルゴーニュ公宮殿の北側(フォルジュ通り側) ポルト・ギヨームから約500m

フクロウとともにブルゴーニュの美食も味わおう

写真:万葉 りえ

この街では道にフクロウのプレートがはめ込まれていて、それをたどっていくとディジョン市内の22の見所をたどることができるようになっています。ただしこのコースは時間がかかるので、多くの方にはリベルテ通りを中心とした散策が良いでしょう。
でも「なぜフクロウなのか?」と思いますよね。その答えがこちら。ノートルダム教会の裏手にある「幸せのフクロウ」。これにふれると幸せになると伝えられているのです。

写真:万葉 りえ

さて、古代エジプトが起源とされるマスタード。ギリシャやローマでは治療薬にもなっており、やがてフランスにもたらされ修道士が栽培するようになりました。当時はすり潰したものを未発酵のワインに混ぜたスタイルだったようです。そして、今日私たちが使っているタイプのマスタードが生まれたのが、このディジョンです。
そこで訪れて欲しいのがリベルテ通りにあるマスタードの老舗「マイユ」本店。瓶に貼られた「1747」という数字が歴史を伝えます。スタンダードな味はもちろん、ハーブやカシス入りなど日本では手に入りにくい物もあります。世界的にも有名な「ディジョンマスタード」。ワインやワインビネガーの風味が豊かで、使えば料理をランクアップさせます。
<MAILLE(マイユ)の基本情報>
住所:32 Rue de la Liberte, 21000 Dijon
アクセス:ポルト・ギヨームから約200m

写真:万葉 りえ

そしてこちらの可愛い木組みの店は1796年創業のパン・デビスの有名店「ムロ&プティジャン」のシュエット通り店です。
パン・デビスとはフランス語で香辛料のパンという意味で、ブルゴーニュからアルザスにかけての伝統的なパン。起源にはいくつか説がありますが、蜂蜜のガレットに感動したフィリップ3世が452年にコルトレイクという町から職人を連れ帰ってきてディジョンに広まったといいます。
蜂蜜を使っているのが特徴で、香辛料は店によって違います。フルーツが使われたものなどもあり、こちらの店では伝統的な配合のパンが提供されます。
<MULOT&PETITJEAN(ムロ&プティジャン)の基本情報>
住所:1 Rue de la Chouette, 21000 Dijon

ワインがもたらした恵みを ディジョンで

世界的に有名なワインの産地ブルゴーニュ。ここではローマ時代からぶどうが栽培され、6世紀にはすでに高品質のワインをつくっていました。なぜなら、ワインは「キリストが流した犠牲の血」。聖なるものとして、ワインづくりは当時の知識層だった修道士(修道院)の大事な仕事だったのです。
そんな修道士達によってつくられてきたワイン。15世紀にフランス王国領となってからは、宮廷でもブルゴーニュワインは大人気でした。ルイ15世の寵姫として権勢をもっていたポンパドール夫人と争ってまで手に入れたコンティ公のぶどう畑は、あの有名な「ロマネ・コンティ」を生み出します。
街が栄え、マスタードや美味しい郷土料理が生まれてきたのもワインがあればこそ。そんなブルゴーニュの中心都市ディジョン。ぜひ街歩きや世界遺産のワイン街道巡りを楽しんでください。
2023年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
フランスの美しい村「シャトーシャロン」は 天空のワインとチーズの村
https://www.travel.co.jp/guide/article/47483/
「イビス・ディジョン・サントル・クレマンソー」は歴史あるブルゴーニュのカジュアルホテル
https://www.travel.co.jp/guide/article/47470/

【トラベルjp・ナビゲーター】
万葉 りえ

関連記事

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

Facebook

あなたにおすすめの記事

P R
お悩み調査実施中! アンケートモニター登録はコチラ

eltha(エルザ by オリコンニュース)

ページトップへ