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奈良「東院庭園」は忠実に再現された古代の絶景庭園

2023-08-01

「東院庭園(とういんていえん)」は、1998年に平城宮内に復元された東西約80メートル南北約100メートルの規模を持つ池泉式庭園です。平安時代以降に発展する日本庭園の原型として大変貴重な場所であり、2010年には特別名勝に指定されています。東院庭園は自由に散策を楽しめる平城宮跡内にあって様々な見どころを持っているので、ぜひ足を運んでみてください。

奈良時代の中心地として機能した平城宮

写真:島塚 渓

奈良時代、日本の中心地であった平常宮には、政治を行う「大極殿(だいこくでん)」や正門にあたる「朱雀門(すざくもん)」など大規模な建築物が次々に整備されます。中国の長安をモデルに碁盤の目のように区画が分けられ、東西約1.3キロ、南北約1キロの敷地を有する平城宮は、古代日本の首都としての機能を有していました。

写真:島塚 渓

延暦3年(784年)に長岡京への遷都が行われると、平城宮はしだいに農地に転用され、閑散とした場所になっていきます。江戸時代後期に本格的な研究が開始されるまで、平城宮跡は約1000年にわたり歴史の彼方に忘れられた存在となっていました。
現代では平城宮の跡地は特別史跡として整備が進み、朱雀門や奈良時代前半の政治の中心施設である第一次極楽殿などが復元され、かつての栄華を十分に感じるスポットとなっています。

蘇った古代の庭園

写真:島塚 渓

平城宮の南東端にある東院庭園は奈良時代の庭園を復元した施設で、日本で庭園が発展する経緯を伺える貴重なスポットです。1967年に行われた発掘調査により庭園の遺構が発見され、この場所が『続日本紀』に記載された東院にあたることから東院庭園と名付けられました。

写真:島塚 渓

東院庭園は宴会や儀式の場として活用され、池に張り出して建つ切妻屋根の正殿は迎賓館のような役割を担っていたと考えられています。周囲を縁側によって囲まれた正殿は庭園を見渡せる絶好の位置に配置され、池の東岸と橋で繋がれています。建物を復元する際には地下に残っている遺構を傷つけないために、40センチメートルほど盛土が行われ徹底的な保護が行われています。

写真:島塚 渓

東院庭園は、中国や朝鮮半島の様式を踏襲し大陸的な雰囲気を持った前期庭園と、池や川などの自然の美しさを重視し日本的な雰囲気を備えつつある後期庭園の2つに分けられると考えられています。
前期の庭園では水際を直線的に切り取っていたのに対し、後期になると入り江や出島が設けられ、波打ち際を曲線的にして浜の雰囲気を演出した柔らかい造りになっています。

奈良時代の雰囲気を忠実に再現した庭園

写真:島塚 渓

現在復元されている庭園の遺構は基本的に地下に安置されていますが、一部は保護処理のうえ実物が展示されています。
例えば、池の北側には「仮山」と呼ばれる石で表現した人工的な山があり、奈良時代の石組みを活用した展示となっています。時代が下ると石を使った庭園の表現は一般的になりますが、東院庭園ではその成立期にあたる貴重な石組みを見ることができます。

写真:島塚 渓

庭園内の植物は、発掘調査により確認された花粉や種子を中心に再現されてます。発掘調査で採取された植物はアカマツ、ヒノキ、ウメ、モモなどで、この結果をもとに『万葉集』や『懐風藻』などの資料に記載されている植物を加えて園内の植栽が選定されています。
また、植物の配置は平安時代の『年中行事絵巻』をはじめとする絵画資料を参考に決定されており、後の時代の庭園と比べると華美な印象を与えない控えめな構成となっています。

東院庭園の基本情報

住所:奈良市佐紀町
アクセス:近鉄大和西大寺駅より徒歩30分
開園時間:9時〜16時30分(入場は16時まで)
入場料:無料
2023年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
奈良県公式観光サイト東院庭園ページ(外部リンク)
http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/03history/05garden/01north_area/heijokyotointeien/
平城宮跡資料館(外部リンク)
https://www.nabunken.go.jp/heijo/museum/index.html

【トラベルjp・ナビゲーター】
島塚 渓

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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