2023-09-08
佐伯さえ(27)は、大手印刷会社で営業としてバリバリ働くキャリアウーマンで、母とふたり暮らし。母子家庭で育ったさえには、2つ下の妹・りな(25)がいました。りなとは不仲で音信不通でしたが、ある日突然、「子どもを出産した」と連絡が届きます。約6年ぶり再会するりなは、整形して“量産型”の見た目に変貌。しばらく、さえと母が暮らす家で同居することになりました。産後1か月が経ったころ、娘のキキちゃんを置いて夜な夜なボーイズバーに行くようになったりな。ある日、さえとの小競り合いをきっかけに家を飛び出し、母とさえがキキちゃんのお世話をするなか、母親であるりなはボーイズバーに通い詰めていたのです。子どもの父親・たけひこと「認知しない代わりに養育費は月40万円」と約束していたいりな。しかし、ボーイズバーで散財していることや、“妊娠や出産はお金目当て”というような内容をSNSに書き込んでいたことをたけひこに知られ、養育費を4万円に引き下げられます。
遊ぶお金にあてていた養育費が底をつき、焦ったりなは1週間ぶりに帰宅。母に泣きつきますが、母は「真面目に子育てして、仕事を見つけなさい」とりなを突き放しました。
「真面目に働くなんて無理!」と取り乱すりな。そんな娘に、「キキはひとりじゃ生きていけないの。もし邪魔だと思うなら……この場で手放しなさい」と母は容赦なく伝えました。
母の言葉に、「…………嫌! 手放さない! 私の子だもん! 私が育てる!」と泣きながら訴えるりな。わが子と離ればなれになることを実感すると、我に返ったよう。
その様子に、「どうしようもない妹……。でも、よかったね、キキ」と安堵するさえですが……。
さえと母が住む家に戻り、かかりきりでキキちゃんのお世話に励むようになったりな。
相変わらず不仲な状態が続いていたさえとりなですが、大きなトラブルはなく、平穏に過ごしていました。
壮絶な出来事が落ち着き、友だちに近況を話すさえ。母とりな、キキちゃんのために家を引き渡そうかと考えるほど、さえなりに家族を支えながら生きていく覚悟でいました。
「まぁでも、妹さんが改心してよかったね」
話を聞いていたさえの友だちも安堵した様子。ふたりで「今日はパーッと飲もう」と盛り上がっていると、母から電話がかかってきました。
「さえ……りながいないの……キキはひとりで寝てて……」
「すぐ帰る!」
母からの電話に、お店を飛び出し、急いで家に向かうさえ。
「あのバカ! 改心したと思ったのに……」
りなの裏切りに顔を歪ませ、ショックを隠しきれないさえが家に着くと、りなからの置き手紙を見つけます。
“ごめんなさい。キキをお願いします”
「あいつ……キキのこと捨ててった……」
手紙の内容に、さえはがくぜんとするのでした。
お目当ての男性に会うため、ボーイズバーに通い詰めていたりな。そんなりなにとって、子育てに専念する日々は、耐えられなかったのでしょうか……。
わが子を置いて家を出ることは、通常では考えられない行動。りなにどのような思いがあったのかはわかりませんが、愛情深い母とさえのもと、キキちゃんが笑顔で生活できることを願うばかりです。
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