卵なし、玉ねぎなしでもおいしいハンバーグができる料理の理論。
卵や玉ねぎを何の目的でハンバーグに入れるのか、その代用は可能かから始まる料理の科学を駆使した手抜き方法です。
※ハンバーグ
ハンバーグといえば「ジューシー」が正義の昨今、本当にシューシー=ハンバーグの一番の美味しさなのでしょうか。
さわけんはハンバーグの美味しさは適度な固さと味付けの方が重要だと考えます。なぜならジューシーの正体は油か水分な訳です。
割ったハンバーグから肉汁という名の水分や脂がドバッと出てきたら、テレビ的にはおいしさが分かりやすく表現できて「いい絵」なのです。
演者さんもジューシーでおいしー! とか言っていればいいので簡単に成立します。でも家庭料理にまでジューシー至上主義が広がるのは問題です。
お店の場合は焼きたてでハンバーグの中で離水した水分や溶け出た脂が内部の空洞に溜まった状態でアツアツで出てきます。だから切ったらドバッと出て噛んだらジュワっな訳です。
これを家で作り出すには焼きたてジュージューで食卓に出せばいいのです。でもみんななかなか来ないし、お父さんだけ帰りが遅かったりもします。そんな中、ジューシーを目指すのは得策ではないのではないでしょうか。
というわけで、今回のハンバーグはジューシーを捨て、好みの柔らかさと簡単さで勝負します! ハンバーグを作るときに一番大変なことは玉ねぎのみじん切りと炒めて冷ます手間です。これが省けたらいいな〜>ところで玉ねぎを入れるとどんな効果があるのか?
玉ねぎは炒めると甘みがでます。よーく炒めると香ばしい味がして複雑な味になります。バターを使って炒めるとバターのコクと風味が追加されます。
でもハンバーグに入れる玉ねぎはそれほど多くないので効果もそこそこです。効果がそこそこなら玉ねぎでなくても、少しの甘みと複雑な甘みがある物で代用できるのでは?というわけでいろいろ考えた結果、オイスターソースを使います。
ひき肉は必要、パン粉はハンバーグを柔らかくするために必要。ハンバーグを柔らかくするためなので、パン粉でなくてもいいが、水分を保持させる観点から穴のたくさん空いた物がいい。もちろん、ジューシーにするのはお麩の方がいいと朝イチで言っていたのでお麩を潰して使ってもいい。
水分はあった方がハンバーグが柔らかくなるので入れましょう。ちなみに水分というのは牛乳と卵白。量の調節が面倒なので、卵白は不要。卵黄は油で旨みが多い。いれておいて不利益はないが卵白をいれないならわざわざいれなくてもいい。
肉の周りに卵黄がついて、食べるときに舌に乗るなら効果もありそうだが、肉に混ざり込んでやかれてしまうと貢献度は低い。一番の旨みは肉なのだからこの際、割愛する。塩は必要。塩がないと旨みを感じづらくなる。
こしょうやナツメグは香りをつけるために使う。元々は特に肉の香りを覆い隠す目的だったのだが、今の時代なら肉臭い肉も珍しいので、好みの香りをつける程度に考えてつけるといい。焼き方は弱めの火でじっくり焼いて中まで火を通す。
ハンバーグは色がつきやすいので、強火で焼くとすぐに色がついて中まで火を入れる時間がなくなる。最後はふたをして蒸し焼きにすることでしっかりと火を入れたい。以上を踏まえてレシピはこちら!
玉ねぎなし、卵なしでも気づかないハンバーグ(2人前)・合挽き肉 200g
・塩小さじ 1/6強(約1g)
・こしょう適量
・おろしにんにく 小さじ1/4
・おろししょうが 小さじ1/4
・オイスターソース 小さじ2(中濃ソースでも可)
・乾燥パン粉 25g(1/2カップ強)
・牛乳 50ml
・バター・油
・ローズマリーやローリエ 少々
・水 大さじ3
1.合挽き肉に塩を加え、粘りが出るまでヘラでよく練る。
2.ヘラにひき肉がベタッと付く位まで練れたらその他の材料を全て混ぜてよく練る。
3.ハンバーグは先ず丸いボール状に形を作り、ラグビーボール形にし、1.5cm厚まで押さえて平らにする。
4.フライパンに油とバターを入れて熱し、1.5cm厚に形を整えたハンバーグを中火弱でじっくり色づけるように焼く。
5.色よく焼けたら裏返しにしてローズマリーと水を加え、ふたをして裏面もじっくりと5分ほど焼く。
6.中まで焼けたら完成!
ハンバーグの硬さは肉の量とパン粉の割合と水分で決まります。
混ぜ物が多ければ柔らかく、肉が多ければ肉肉しいハンバーグになります。
途中でローズマリーなどのハーブを加えるとソースの仕上がりに深みが出ます。
煮込みにしないので中火弱で蓋をしてじっくり焼いて下さい。
今回のハンバーグにはソースがありません。
さわけんのレシピでは「デミグラス缶を使わないでグレイビーとデミグラスソースの中間あたりのソース」を作って煮込むのが定番ですが、時間が無いので割愛します。あえてケチャップでどうぞ!
(さわけん)