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「何も食べたくない」我が子に頭を抱え…”食卓”でも救世主となった『それいけ!アンパンマンポテト』の真価

2023-09-07 eltha

 イヤイヤ期・偏食期で、すべての食べ物を拒否するわが子。「もうお手上げ」というときに、「これなら食べてくれた」とパパママの思い出として語られ、今でも熱い支持を受け続けている『それいけ!アンパンマンポテト』。アンパンマンとその仲間たちを象ったカワイイ形のみならず、じゃがいもに緑黄色野菜やカルシウムを加えた栄養面からも人気を得て、SNSでもたびたび話題になっている。子どもの健やかな成長を願うパパママの味方となるべく改良を重ねて33年、ロングセラーを誇るこの商品の秘密に迫った。

“子どもに安心して食べさせる” 健康に配慮した冷凍食品の先駆けに

 『それいけ!アンパンマンポテト(以下、アンパンマンポテト)』が誕生したのは1990年。きっかけは「子どもたちが喜ぶ商品を作りたい」という味の素冷凍食品の開発者の願いから始まったという。その当時、1988年にテレビアニメの放送が開始されてから、子どもたちに絶大なる人気を博していた「それいけ!アンパンマン」に注目したという。

 1990年当時の冷食市場はコロッケ、ハンバーグ、シュウマイなど、一般家庭用の“簡便”を主軸にした商品が主流で、お弁当に入れる冷食が活況していた時期。しかし“幼い子ども”を対象にした商品はほぼ存在していない状況で、キャラクターを冷食で表現するという点においても『アンパンマンポテト』は先駆けていた。

 ただ当初は現在と違い、原材料はマッシュポテトのみ。調理法も自宅で揚げるひと手間が必要だった。その後、同社のモットーである“永久改良”という言葉のもとリニューアルを重ね、オーブントースターや電子レンジで調理できるように。それに加えて3種類の緑黄色野菜やカルシウムが配合された。その裏には消費者の悩みを耳にした開発者のこんな思いがあった。

「商品を発売してから、アンパンマンというキャラクターの支持される期間の長さに気づきました。その時期は、イヤイヤ期はもちろん、なんとか子どもに野菜を食べさせたいといろいろご苦労されている親御さんが多い。本当は親御さんが作ったご飯を、お子さんが自ら食べてくれるのが一番ですよね。でも現実はなかなかそう上手くはいかない。子どもたちの健やかな成長と同じくらい、親御さんたちの気持ちにも寄り添いたいと考えました」(味の素冷凍食品株式会社吉西由佳さん/以下同)

 「親御さんに安心して選んでいただけるよう」かぼちゃやにんじんのペーストに、ほうれん草パウダー、貝カルシウムを配合。今でこそ健康に配慮した冷食は増えているが、アンパンマンポテトはその先駆けともいえる存在だった。

子どもから届くファンレター「アンパンマンの友達を増やして」の投書も

 もうひとつ、パパママたちの悩みに寄り添うべく、アンパンマンポテトが挑戦したのが、アレルギー特定原材料不使用だった。

「キャラクターの顔の形を作るのは難しいことでした。それに加え、素材を活かしたシンプルな味を変えることなく、健康に配慮したレシピを調整するのは非常に難しかったそうです。それでも食物アレルギーをお持ちのお子さんが増えている中、親御さんの不安の種を払拭する商品にできないかという思いでリニューアルに踏み切りました」

 2011年にアレルギー特定原材料25品目を不使用にしたのを皮切りに、その後27品目から2021年には28品目へ。このように、常に消費者の声に耳を傾けブラッシュアップしてきたアンパンマンポテトだが、その声はこんな大きな変革ももたらした。

 現在、アンパンマンポテトにはアンパンマンのほか、ばいきんまんやドキンちゃん、しょくぱんまん、カレーパンマンなどのキャラクターが入っているが、これは、発売当初、アンパンマンだけだったことに対して、「ひとりだけだとかわいそうです。友だちをつくってください」という声が寄せられたことがきっかけだった。

「入っているキャラクターはランダムで、『何が出てくるのかが楽しみ』とか『自分が好きなキャラクターを探す楽しみがある』、また『親子で楽しむコミュニケーションにもなっている』というお声をいただき、大変うれしく思っています」

 巣ごもり消費の増加により売り上げが伸長した2020年、2021年には、さらにこんなうれしい反響もあった。

「SNS上でのお客様同士のやり取りで、『幼稚園がお休みでお昼ご飯をどうしよう』というお母さんのお悩みに対して、『アンパンマンポテトがおススメだよ』という投稿に約2万いいねがついたのを見まして、親御さんたちがこんなふうに情報交換しながらお助けアイテムとして使ってくれているということを感じて、とてもうれしかったです。お子さんから手書きのお手紙をいただくこともあるのですが、アンパンマンポテトはお客様から本当にたくさんの『ありがとう』のお声をいただいていている商品だと実感しています」

「今の子どもたちの子どもたちにまで受け継がれていく商品に育てていきたい」

 発売から33年間、パパママにとってのお助けアイテムになることが使命とリニューアルを重ねてきたアンパンマンポテト。最近では、「子どもの頃食べて育ったという親御さんが、お子さんの誕生によって再びこの商品に戻ってきてくれるケースも多く、それが商品の強みになっていると実感している」と吉西さん。それだけに、今後も、「次世代へとつないでいけるよう取り組んでいきたい」と抱負を語る。

「パッケージを今年8月には環境に優しい素材に変更しましたが、今の子どもたちの子どもたちにまで受け継がれていける息の長い商品にすることが私の使命だと思って取り組んでいます。今後もお客様のお悩みやご要望に耳を傾けつつ、お子さんが大人になった時に自分の子どもに食べさせたいと思えるような商品に育てていきたいと思っています」

 食べることには、単にお腹を満たし、成長の糧となるだけでなく、一緒に食べた人との楽しい思い出や幸せな記憶を築く作用もある。これからもアンパンマンポテトは、パパママ、子どもたちに寄り添い続けてくれることだろう。

取材・文/河上いつ子
(C)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV
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