ドライヤーの“冷風”なんのため?「髪が傷む」は過去の話、ヘアアイロンの危険性も美容師が解説
2023-10-25 eltha
ドライヤーが髪に与える影響は? むしろヘアアイロンに注意
「以前はドライヤーの熱により髪がダメージを受けると言われている時代もありましたが、現在ではそれによるダメージはほとんどないと言われています。ドライヤーの一般的な温度は100〜120度といわれており、中には140度のものもあります。でも、1200Wのドライヤーから10センチ以上離れると90度以下、髪が濡れている場合は毛髪の表面温度は上がらず、せいぜい60〜70度程度です。乾いてから、極端に熱を当て続けない限りはダメージにはつながりませんし、その程度の熱でキューティクルが傷つけられ剥がれてしまうことはありません。
ただ、ハンドブローやブラシ等を使って乾かす場合、毛先のひっかかりには注意しましょう。無理に指やブラシを通しながら乾かすことはダメージの原因になります」(嶋田さん、以下同)
嶋田さんは、ドライヤーよりも、ヘアアイロンに注意が必要だと言います。
「最近ではドライヤーよりも、ヘアアイロン(カールアイロンやストレートアイロン)がダメージの原因になっています。ヘアアイロンの温度は、ドライヤーと比べるとかなりの高温となっています。理想的なのは140〜160度。適切な温度で使わなければ、タンパク変性を起こし、髪が固くなるなどダメージを受けます。最近では市販で200度の温度設定のアイロンもありますが、髪にとって大変危険です。
このように、ドライヤーの熱はアイロンに比べて安全であり、むしろ上手に使えば髪のためには良いものです」
ドライヤーの正しい使い方、キモはタオルドライ
【正しい使い方】
<1>まずはしっかりタオルドライ
<2>温風(強)で根元から乾かす
<3>温風(弱)でスタイルを作る
<4>冷風で仕上げ
【注意点】
●風は上・横・後からあてる
●温風は同じ場所に当てすぎないようにする
●乾きにくい根元から乾かす
●ドライヤーの吹き出し口から、髪は10〜15センチ程度はなす
●手で風の通り道を作りながら、髪を軽く引っ張りながら乾かす
●毛先がひっかかる場合は無理に通さない
「濡れたままでは髪が乾ききるまでに時間がかかるので、完全ドライするまでに終えてしまったり、内側に水分が残ってしまったりすることも。これはダメージにつながるので、そういった意味では、しっかりタオルドライをしてから乾かし始めることが時間短縮になります。しっかり乾ききることが重要です」
ドライヤーの「冷風」どう使う? 髪にとってメリットがいっぱい
「ドライヤーの冷風機能は、髪にとって様々なメリットがあります。まずは、スタイリングした形を固定し、ヘアースタイルをキープしてくれる効果。髪の毛はタンパク質でできているので、温めると柔らかく、冷やすと固まる性質があります。朝のお出かけ前では、温風でスタイルを作り最後に冷風で仕上げることにより、スタイリングをキープしてくれます。また、洗髪後、寝る前にはドライヤーの温風を使ってしっかりと乾かし、仕上げに冷風をあてることにより、寝ぐせを防ぎ、朝のスタイリングをラクにしてくれる効果もあります。冷風は、温風のように髪を乾かすのではなく、最後の仕上げに使うのが適しており、髪型のベース作りに活用してください。
その他、冷風にはキューティクルを引き締める効果があり、指通りを良くし、ツヤを出してくれるというメリットもあります。また、キューティクルを閉じることにより、乾燥を防ぎ、髪の広がりをおさえてくれます」
そして、冷風で引き締め整えたあとは、保湿ケアをすることも重要。髪に水分や栄養素を補給することで、乾燥や傷みから回復しやすくなり、コシやツヤも高まります。ヘアオイルやヘアクリームなどの製品を手のひらに少量取って髪になじませ、特に毛先やパサつきやすい部分に重点的に塗ることが重要です。
「ドライヤーは上手く使いこなせば、髪の強い味方になってくれます。温風と冷風を使いわけ(温風8割・冷風2割が理想)、毛髪や頭皮の健康のために役立てていただきたいと思います」
監修者 嶋田純子
株式会社PLAS Wam 代表取締役 兼 ヘアー&トータルビューティーサロン「Wam: hair &total beauty」オーナースタイリスト。美容師になってからの重度の手荒れと、幼少期からの重度のアトピー性皮膚炎に苦しんできた経験から、同じように肌の弱い方が安心して使えるよう、自身が良いと実感した馬油を主成分とした敏感肌専用スキンケア商品を開発、販売している。
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