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日本一名前の長い神社も!奈良・奥飛鳥「稲渕」を歩こう

2021-09-01

奈良県明日香村の「稲渕(いなぶち)地区」は、石舞台古墳からさらに奥へ進んだところにあり“奥飛鳥”とも呼ばれています。稲渕には、有名な稲渕の棚田や、日本一長い名前の神社として知られる飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社(あすかかわかみにいますうすたきひめのみことじんじゃ)、乙巳の変の陰の立役者でもある南淵請安の墓などがあります。美しい日本のむら景観百選にも選ばれている稲渕で歴史体験の旅を楽しんでみませんか?

稲渕のシンボルともいうべき「稲渕の棚田」と「案山子」

写真:モノホシ ダン

稲渕のシンボルともいうべき稲渕の棚田は、美しい日本のむら景観百選、日本の棚田百選にも選ばれている棚田です。毎年、秋に行われる「稲渕棚田 案山子コンテスト」の会場としても知られています。
<稲渕の棚田の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村稲渕
アクセス:近鉄「飛鳥駅」より赤かめ(周遊バス)で、石舞台バス停下車 石舞台バス停から徒歩約20分
車利用の場合は、石舞台古墳駐車場利用

写真:モノホシ ダン

写真は、高さ約5mのジャンボ案山子。NPO法人明日香の未来を創る会によって製作され、案山子コンテストの作品群が撤去された後も、約1年間にわたって棚田を害虫や害獣から守るために立ち続けます。2022年は、世界平和の祈りをこめた「お地蔵さま」です。

写真:モノホシ ダン

2022年で第27回目を迎える「案山子コンテスト」のテーマは、「世界平和」です。写真の作品名は「龍の子太郎」。『まんが日本昔ばなし』の緩すぎるオープニングを連想させ、まさにテーマにピッタリの作品と言えるでしょう。
なおコンテスト終了後も、約50点の作品群は、11月中旬まで展示されています。稲渕の棚田は、彼岸花の名所でもありますので、ユ二ークな案山子とともにカメラに収めてみてはいかがでしょうか。
<稲渕棚田 案山子コンテストの基本情報>
投票日:2022年9月24日(土)・25日(日)
いずれも9:00〜15:00 ※WEB投票に切り換える場合あり
投票場所:案山子コンテスト本部テント
アクセス:近鉄飛鳥駅〜稲渕会場または石舞台〜稲渕会場を結ぶ無料シャトルバス利用(9:00〜16:30運行予定)

日本一名前の長い神社「飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社」とは

写真:モノホシ ダン

日本一名前の長い神社として知られる「飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社」は、石舞台古墳から県道15号線を、飛鳥川沿いにさらに上流へと進んだ山中にあります。境内入口の常夜灯の横には、とても背の高い社号標が建っています。

写真:モノホシ ダン

拝殿までは、手すりの無い、急勾配の約200段の石段が続きます。御祭神は、宇須多伎比売命・神功皇后・応神天皇。ご祭神のひとり、宇須多伎比売命(うすたきひめのみこと)は、同じ明日香村にある飛鳥坐神社の御子神で、大国主命のお妃様です。
拝殿の背後には、瑞垣と明神鳥居があり、本殿はありません。これは、同じ県内の大神神社のように、後方にそびえる「南淵山」をご神体とする原始神道の神社のためです

写真:モノホシ ダン

飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社の拝殿は、立派な流造三間社。観光客の姿はほとんど見られない静かな場所にひっそりと鎮座しています。
拝殿前のスペースは、一面の苔に覆われていて、とても神秘的な雰囲気。日本一名前の長い神社で、まるで時が止まったかのような静かな時間を過ごしてください。
<飛鳥川上坐宇須多岐比売命神社の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村稲渕698
アクセス:近鉄「飛鳥駅」より赤かめ(周遊バス)で、石舞台バス停下車。石舞台バス停から徒歩約40分

『万葉集』にも詠まれた「飛鳥川の飛び石」

写真:モノホシ ダン

奥飛鳥の稲渕地区と栢森地区には、毎年一度、飛鳥川に渡した勧請縄を掛け替える「綱掛神事」が行われています。
これは、子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、飛鳥川を通って悪疫などが侵入するのを防ぎ、住民を守護するための神事です。
稲渕の神事の特徴は、飛鳥川の上に陽物(ようぶつ)をかたどった「男綱」を掛け渡すこと。いっぽう、上流の栢森地区では、陰物をかたどった「女綱」を飛鳥川に掛け渡しします。
<男綱の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村稲渕
アクセス:近鉄「飛鳥駅」より赤かめ(周遊バス)で、石舞台バス停下車。石舞台バス停から徒歩約20分
車利用の場合は、石舞台古墳駐車場利用

写真:モノホシ ダン

ほかに、稲渕地区を流れる飛鳥川の名所としては「飛び石」があります。これは、飛鳥川に石を渡して橋として使ったもので、古くは『万葉集』にも詠まれています。

写真:モノホシ ダン

稲渕の飛び石は、上流と下流の2ヶ所あり、下流の飛び石には、石橋を詠んだ万葉集の歌碑があります。
「明日香川明日も渡らむ石橋の遠き心は思ほえぬかも」。大意「明日香川の石橋を明日も渡るだろう。あなたに対して遠くはなれた気持ちなど持っていません」。
万葉歌碑の揮毫は、万葉集の研究で名高い日本文学者の犬養孝先生によるものです。
<飛鳥川万葉の飛び石の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村稲渕
アクセス:近鉄「飛鳥駅」より赤かめ(周遊バス)で、石舞台バス停下車。石舞台バス停から徒歩約20分
車利用の場合は、石舞台古墳駐車場利用

日本最古の在銘石造層塔!龍福寺の「竹野王碑」

写真:モノホシ ダン

稲渕の集落内にある「龍福寺」は、浄土宗鎮西派の末寺で、明日香村の岡寺(龍蓋寺)を開いた義淵僧正によって創建されました。城郭のような立派な石垣の上に建っています。

写真:モノホシ ダン

境内には、もと五重層塔とみられる石塔があり、風化により現在は下から三重目と四重目の軸部のみが残ります。この塔には751年(天平勝寶3年)、竹野王によるとされる文章が刻まれていて、初層軸部四面に「天平勝寶三年」と判読される年号が確認できます。
そのため、もし記述に誤りがないとすれば、わが国に現存する在銘の層塔として最古のものであるといわれています。ちなみに竹野王とは、女性としては異例の従二位にまで昇進した人物です。
竹野女王は、奈良時代の「長屋王の変」で知られる長屋王家木簡にもその名が見え、長屋王の近親者であったと考えられます。その竹野王の名が刻まれた層塔がなぜ稲渕にあるのかは、いまだに謎とされています。
<龍福寺の基本情報>
住所: 奈良県高市郡明日香村稲渕1084
アクセス:近鉄「飛鳥駅」より赤かめ(周遊バス)で、石舞台バス停下車。石舞台バス停から徒歩約30分
車利用の場合は、石舞台古墳駐車場利用

中大兄皇子と中臣鎌足のお師匠さん「南淵請安」とは

写真:モノホシ ダン

日本初のクーデターである「乙巳(いっし)の変」。飛鳥時代の645年(皇極天皇4年)に、中大兄皇子と中臣鎌足らが、蘇我入鹿を宮中にて暗殺して蘇我氏(蘇我宗家)を滅ぼした政変です。
その中大兄皇子と中臣鎌足のお師匠さんといえるのが、稲渕に住んでいた「南淵請安(みなぶちのしょうあん)」です。
稲渕の飛鳥川に架かる勧請橋には、南淵先生と中大兄皇子・中臣鎌足の姿を刻んだレリーフが飾られています。

写真:モノホシ ダン

南淵請安は、飛鳥時代の僧で、608年(推古天皇16年)、遣隋使小野妹子に従い、留学僧のひとりとして隋へ留学。中国留学中に、随の滅亡と唐の建国に遭遇し、32年後に日本に帰国。
帰国後は、中国の進んだ学問知識を日本に伝えるために塾を開きました。中大兄皇子と中臣鎌足は、請安の私塾で学び、蘇我氏打倒の計画を練ったと伝えられています。
南淵請安のお墓は、龍福寺から少し歩いた談山神社の中にあり、入口には鄙びた鳥居が建っています。春には、こんもりとした桜に包まれます。

写真:モノホシ ダン

鳥居をくぐると、小さな社や石碑などがあります。南淵先生のお墓は、社の裏側、見晴らしのいい場所に建てられています。お墓にお参りして、大化の改新の陰の立役者ともいうべき南淵請安の波瀾万丈の生涯に思いを馳せてください。
<南淵請安の墓の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村稲渕1109
アクセス:近鉄「飛鳥駅」より赤かめ(周遊バス)で、石舞台バス停下車。石舞台バス停から徒歩約30分
車利用の場合は、石舞台古墳駐車場利用

時間があれば奥飛鳥の栢森地区、入谷地区にも行ってみたい

いかがでしたか。本文ではご紹介できませんでしたが、時間があれば奥飛鳥の栢森地区、入谷地区にも足を延してみましょう。
栢森は、豪農集落といった印象で、土蔵を従えた敷地の広い邸宅、厳かな門を構えた農家宅など、独特の町並景観が素晴らしいところです。
入谷には、2017年(平成29年)に開設された天空展望台があります。展望台は標高約450mで、大仁保神社境内にあります。視界が良ければ、展望台からは高取城跡に、大阪の街並みや高層ビル群、あべのハルカスなどを見ることができます。
ぜひ、この機会にあわせて訪れてみてはいかがでしょうか。
2022年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
旅する明日香ネット(外部リンク)
https://asukamura.com/
NPO法人明日香の未来を創る会(外部リンク)
https://www.asukamirai.org/
あすか夢耕社(外部リンク)
https://asukadeasobo.jp/
奈良・明日香村「稲渕」「阪田」「上」「細川」の4つの棚田巡り
https://www.travel.co.jp/guide/article/43224/
奈良・明日香村で「かかしコンテスト」と「彼岸花祭り」を楽しもう
https://www.travel.co.jp/guide/article/28564/

【トラベルjp・ナビゲーター】
モノホシ ダン

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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