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東京の星降る島「神津島」星空保護区で満天プラネタリウム

2020-12-23

国内2例目となる「星空保護区」の認定を受けた東京伊豆諸島のひとつ、「神津島」。かつて「神集う島」として神話が息づく自然豊かなこの島に「星降る島〜ダークスカイ・アイランド」という新たな魅力が加わりました。
国際的なお墨付きを受けた世界屈指の天然プラネタリウムでは四季折々の星空を一年中楽しむことができます。昼は島巡り、夜は星空鑑賞と一日中飽きさせない魅力が詰まった新たな神津島をご紹介します。

国内2例目の快挙!「星空保護区」に認められた神津島とは

写真:Mayumi Kawai

東京から南西へ約180km、竹芝桟橋から大型客船で約12時間離れたところに浮かぶ伊豆諸島の一つ、「神津島(こうづしま)」。地理的には、静岡県伊豆半島寄りで下田からのアクセスが近くて便利ですが、とはいえ、れっきとした東京都内にあたります。
島に近づいて、まず目に飛び込んでくるのはこの荒々しくも神々しい威厳に満ちた天上山(標高572m)。神津島は、古くから「神集島(かみあつめのしま)」と呼ばれ、その昔、神々が伊豆諸島を作るためにこの島に集まり、この天上山で生命の源である水を各島に分配する「水配りの儀」を行ったとする神話が残されています。天上山は神話が息づく聖なる山とされています。

写真:Mayumi Kawai

この神話が象徴するように、神津島にとって「水」は重要なキーワード。水に恵まれた神津島は、離島にありがちな水不足とは無縁で、島のあちこちから湧き水が湧き出し、中には「東京の名湧水57選」に選ばれたものも。海はとびきりの透明度で高い水質を保ち、キンメダイや伊勢海老、赤いか、タカベなど海産物が豊富に採れ、伊豆諸島一の漁獲量を誇っています。
豊かな水は大地を育み、天上山は四季折々の花々で「花の百名山」「新日本の百名山」に、また山頂からの眺望は「新東京百景」にも選ばれています。神津島は、海に山に自然に溢れたネイチャーアイランドです。

写真:Mayumi Kawai

そんな神津島に新たに加わった魅力が、「星空保護区」の認定を受けた「ダークスカイ・アイランド」。
星空保護区とは、米国アリゾナ州に本部を置く「NPO団体国際ダークスカイ協会(International Dark-Sky Association、通称IDA)」が行う「ダークスカイプレイス・プログラム」(和名:星空保護区認定制度)のこと。これは、単なる夜空の美しさを測るのではなく、光害(ひかりがい=過剰な照明がもたらすさまざまな悪影響)のない、暗く美しい夜空を地域一帯となって保全・保護する取り組みまでを審査対象とする厳しい認定制度です。
都が推進する「東京宝島事業」の一環で進められた神津島の「星空保護区」認定への取り組み。そうして、2020年12月1日、沖縄の西表石垣国立公園に次ぐ国内2例目として見事認定されました。

これが「星空保護区」の真骨頂!圧倒的な満天プラネタリウム

写真:成澤広幸

星空保護区の認定基準の一つが「夜空の明るさ」。星の明るさを示す等級とは異なり、夜空の明るさ(=星の見えやすさ)を等級で示すもので、値が大きいほど真っ暗な空を意味しています。
星空保護区の認定基準値は21.2等級で、これは光害がほとんどない「天の川の複雑な構造が確認でき、星団などの観測ができる」夜空を意味しています。神津島では屋外照明を特殊な専用電球に切り替え、地域一帯となって取り組んだことで、島内の観測地点すべてでこの基準値を上回ることが実現しました。
冬でも見えるこの天の川と圧倒的な星の数!12月のふたご座流星群では四方の天体から数え切れないほどの流れ星が観測されました。

写真:Mayumi Kawai

これだけの星空であれば、星景撮影ビギナーや一眼レフカメラビギナーでも一定の基礎知識とカメラ機材があればこれだけの星景写真を収めることができます。
「星降る島〜ダークスカイ・アイランド」のキャッチコピーにふさわしい、まさに天然のプラネタリウム!これが曲がりなりにも東京都内というのがにわかには信じがたいですね。

写真:Mayumi Kawai

星空観察にあると便利なグッズは、双眼鏡や星座早見盤。双眼鏡レベルでもスバルやアンドロメダ星雲、オリオン座大星雲などを観察することができます。星座早見盤は、自分のお気に入りの星座や星を探すのにとても便利。なお、手元を照らすライトも忘れずに。

神津島の星空観察おすすめスポット

写真:Mayumi Kawai

島北端に位置する赤崎遊歩道は、岬の岩場に渡された全長約500mの木造遊歩道です。島随一の海の透明度を誇り、日中はシュノーケリングやダイビング、遊歩道に設けられた飛び込み台からのジャンプが人気のスポットです。
赤崎遊歩道には街灯がなく、日が暮れたら足元も見えないほど真っ暗で、観察スポットの中でもっとも暗い場所といわれています。潮風と潮騒の音を耳を澄ませながら満天の星空に抱かれるのもよし、遊歩道と星空を組み合わせてかっこいい星景写真も撮影できますよ。

写真:Mayumi Kawai

次にオススメなのは、集落からほど近い丘の上にある「よたね広場」。集落中心からも10〜20分程度でたどり着けるため、夕食後の散策に便利なスポットです。
広場周辺の屋外照明は光害の少ない特殊な電球に切り替えられ、背後には山がそびえて立っているため、こちらも夜間は真っ暗です。遊具や東屋、ベンチがあるため、そこから夜空を眺めたり、地面にレジャーシートを引いて寝っ転がりながら星を眺めるのもオツですね。

写真:神津島観光協会

次にオススメなのは島南東部に位置する三浦湾展望台。日中は伊豆七島の三宅島や御蔵島、天気の良い日は八丈島まで望むことができる見晴らし抜群の展望台です。
こちらは南の水平線が望めるため、季節の観察に最適。特に真冬には南天の星「カノープス」が水平線ギリギリに見えることがあり、星座ファンなら押さえておきたいところ。
このほか、今は使われていないヘリポートも星空観察にはおすすめです。

星座が分かればより楽しい!島民ガイドによる星空観察会

写真:Mayumi Kawai

神津島では星空に詳しい島民ガイドによる「まるごとプラネタリウム・星空観察会」が開催されています。ただ何となく星空を眺めるよりも、星座の位置や見方、ストーリーが分かった方がより星空鑑賞を楽しめます。
星空観察会は原則毎日催行されています(参加者3名未満、天候の状況次第で中止もあり)。ちなみに、満月の日は見える星の数が少なくなるため、月齢の若い新月前後が狙い目です。

写真:Mayumi Kawai

「星降る島〜ダークスカイ・アイランド」として新たな舵を切った神津島。星空保護区の認定に伴い、観光客の受け入れ体制を強化するとともに、星空をテーマにしたツアーの拡充も検討されています。世界屈指の星空がパスポートのいらない“都内”で手に入ります。今後ますます注目ですね。

星降る夜の前に、明るいうちは島の魅力を満喫しよう

写真:Mayumi Kawai

海、山、歴史、文化、島グルメも充実した神津島。ぜひ星降る夜を迎える前に、島の魅力を満喫しましょう。
オススメなのは天上山トレッキング。標高は高尾山(標高599m)レベルで、道が整備されて初心者でもチャレンジしやすい山となっています。山頂付近には四季折々の花々が咲き乱れ、ハート型に見える不動池あり、表砂漠に裏砂漠、伊豆諸島を見晴るかす新東京百景展望地ありと実に起伏に富んでいます。ぜひ、登山には神津島名物のしょうゆ飯おにぎりをお忘れなく。

写真:Mayumi Kawai

街歩きや歴史文化好きなら、「神津島歴史謎解きラリー」がオススメ。まっちゃーれセンター内にある神津島観光協会で無料配布されているガイドを片手に、集落内に秘められた島の歴史にまつわる謎を紐解きながら街歩きが楽しめます。すべての謎が解けて全問正解すると記念品のかんむりん特製クリアファイルがもらえますよ。

写真:Mayumi Kawai

星空が瞬くまでの夕暮れ時、集落前の前浜ビーチでロマンチックにたそがれてみるのはいかがでしょうか。ビーチにはウッドデッキやベンチが設置され、のんびり過ごすことができますよ。
東京の「宝島」に新たに追加された神津島の「星空保護区」。海水浴や登山は季節が限定されがちですが、星空は一年中楽しめるコンテンツ。ぜひ今度神津島を訪れた際には、昼から夜まで島の魅力を満喫してくださいね。

神津島の基本情報

住所:東京都神津島村
電話番号:04992-8-0321(神津島観光協会直通)
アクセス:
船の場合、東京竹芝桟橋から東海汽船の大型夜行客船で約12時間、高速ジェット船で約3時間55分、静岡県下田からは神新汽船のカーフェリーで約2時間20分
飛行機の場合、調布飛行場より約45分
取材協力:神津島観光協会、近畿日本ツーリスト
2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
神津島観光ガイド(外部リンク)
https://kozushima.com/
神津島村役場(外部リンク)
https://vill.kouzushima.tokyo.jp/
国際ダークスカイ協会 東京支部 (IDA東京)(外部リンク)
http://idatokyo.org/
東京都総務局「東京宝島事業」(外部リンク)
https://www.t-treasureislands.metro.tokyo.lg.jp/
東海汽船(外部リンク)
https://www.tokaikisen.co.jp/

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Mayumi Kawai

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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