2021-02-15
JR北海道の「SL冬の湿原号」は毎年冬の特定日を中心に釧路から標茶の間で運行される観光列車。真白な雪の中を悠然と蛇行する釧路川や湿地帯を眺めながら、夏の緑とは違った表情を見せる釧路湿原の中を疾走します。
今回はその車窓や車内での過ごし方、駅での楽しみ方や撮影スポットなどをご案内します。冬の北海道ならではのダイナミックで、かつ幻想的な鉄道旅をお楽しみください。
SL冬の湿原号は、例年冬の1月から2月までの週末を中心とした特定日に運行する観光列車。釧網本線の釧路と標茶の間、48.1キロを約1時間半かけて走っています。全車指定席で運行されており、通常の乗車券のほかに座席指定券が必要となります。
現在運行しているSLはC11-171号機で1940年製造のもの。北海道の国鉄深名線、瀬棚線、標津線で活躍し1975年に引退、標津町で静態保存されていたのですが、1999年のNHK朝の連続テレビ小説「すずらん」の放映を機に復元、その後、2000年1月から「SL冬の湿原号」として活躍しています。
SL冬の湿原号の始発、釧路駅では出発前のホームに停車中、多くのファンがその雄姿を撮影しています。C11-171号機は80歳を超えてなお現役で活躍中ですが、間近で見るとその生命力とパワーに圧倒されてしまいます。
SL冬の湿原号はSLプラス客車5両で編成されています。
客車内は4人掛け向かい合わせのボックスシートがシンプルに並んでいます。はやりの観光列車のような外に向かって配置されたシートや個室シート、カウンター席などはありませんが、その不器用で骨太な空間こそが古き良き汽車旅を彷彿させてくれるに違いありません。
SL冬の湿原号客車内の最も特徴的な仕様は各車両にストーブが設置されていること。もちろん極冠の冬の北海道を走る列車内を温める目的もありますが、もうひとつ、この昔懐かしいダルマストーブの上では車内で販売しているスルメを焼いて食べることもできるのです。こんな演出も冬の鉄道旅の醍醐味の一つですね。
2号車はカフェカーとなっており、座席のほかに車内販売カウンターがあります。列車のエンブレムやサボ(行先標)、マスキングテープなどのSL冬の湿原号オリジナルグッズや軽食・ドリンクなどが用意されています。
また、乗車の3日前までに電話予約すれば「ランチBOX」を当日車内で受取ることもできます。
釧路を出発し、東釧路から釧網本線の区間内に入るとやがて車窓には釧路湿原の大パノラマが広がります。一面の雪に覆われた湿原の中を悠然と流れる釧路川が、ときおり大きく蛇行しながらSLに寄り添ってくるシーンはこのSL冬の湿原号車窓のハイライト。夏の緑の釧路湿原とはまた違った、幻想的な姿を楽しむことができます。
SL冬の湿原号が走る区間は北海道の自然豊かな原野。そのため運がよければタンチョウ、エゾシカ、オオワシなどの大型野生動物に出会うこともあります。特にタンチョウが来る駅として知られる茅沼駅の近くを通過する際は、ぜひその姿を探してみてください。
SL冬の湿原号の終点は標茶駅。列車はこの駅で折り返し、再び釧路方面に戻ることになりますが、実は標茶駅には車両の向きを回転させる転車台がありません。そのためここでは本線を利用してSLの入換作業が行われています。
もちろんSLの乗降客はこの様子を標茶駅のホームから見ることができますよ。
SLは一度客車から切り離されたのち本線を引き返して釧路方面に戻り、逆向きのまま再び客車に連結されるため、帰りはSLを逆向きで走らせることになります(もちろん機関士も後ろ向きで運転します)。
上の写真は帰りのSL冬の湿原号が釧路方面に向かっている様子ですが、よくご覧いただくとSLの向きが行きと逆になっている様子がわかりますよね。
SL冬の湿原号は鉄道ファンやカメラマンにも人気の列車。その撮影スポットは数多くありますが、釧路市街からも近く、アクセスがいいのが釧路川鉄橋。列車全体を構図の中に入れることができ、SLから吐き出される煙も大迫力でカメラに収めることができます(写真は午前の標茶行き。午後の釧路行きは進行方向が逆向きになりますのでご注意ください)。
ただしここは人気の撮影地のため、SL運行時は多くのファンが集まります。早めの準備をおすすめします。
※撮影に際しては鉄道用地や私有地などに無断で立ち入らず、迷惑駐車や近隣の住民に迷惑をかける行為等は行わないようご注意ください。
SLが釧路湿原を疾走する雄大な姿を収めたいなら、塘路駅の近くにあるサルボ展望台、サルルン展望台からの俯瞰がおすすめ。塘路駅から北に1.5キロほど進み駐車場から山道に入っていくと最初にサルボ展望台が、さらに奥へと進むとサルルン展望台があり、どちらからも眼下に釧網本線の線路を見下ろすことができます(写真はサルルン展望台付近からの標茶行き)。
なお除雪のない山道を歩きますので、積雪状況をご確認の上、防水防雪のしっかりした格好でお越しください。
※2021年1月中旬から3月上旬までサルボ・サルルン展望台への木道整備工事が行われるため、2021年のSL運行期間中は展望台への登山道が全面通行止めとなります。ご注意ください。
かつては北海道でも「SLニセコ号」や「SL函館大沼号」などのSL観光列車が走っていましたが、2021年1月現在、観光列車として運行が予定されているSLはこの「SL冬の湿原号」のみ。
そんな貴重なSLが、あえて冬の北海道で走っている、というところがいいですよね。初夏から秋にかけての北海道ももちろん魅力的ですが、北海道の本当の美しさは厳しい冬の中にあるのだ、という人もいます。
凍てつくような寒さの中、真白な北海道の大地を黒煙高く吐き出して疾走するSLの姿も、そんな美しさの一つなのかもしれません。
2021年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
■関連MEMO
JR北海道「SL冬の湿原号」(外部リンク)
https://www.jrhokkaido.co.jp/travel/sl/index.html
【LINEトラベルjp・ナビゲーター】
風祭 哲哉
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