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欧州最大の床モザイクは必見!イタリア最東端「オトラント大聖堂」

2021-02-25

イタリア半島の最東端にある町「オトラント」。ここに、ヨーロッパ最大の床モザイクを誇る大聖堂があります。
オトラントは世界各地から観光客が訪れる人気のリゾート地。クリアブルーの海が自慢ですが、歴史的建造物の大聖堂も必見!目玉は床一面を覆うカラフルでダイナミックなモザイク画、他にも町の歴史を語る重要な礼拝堂や地下聖堂も。
アドリア海の自然美を堪能したら、町一番の見どころも忘れずに訪れましょう。

イタリア最東端のリゾート地「オトラント」

写真:ケイコ ソリーノ

オトラントは、南イタリア・プーリア州南部にある人口約5,700人の小さな港町。イタリア半島の最東端に位置し、「イタリアの太陽が生まれる町」とも呼ばれています。
古代ローマ時代から東方への玄関口として重要な港だったオトラント。昔から漁業の町でしたが、近年は夏バカンスの地として注目され観光業も盛んです。

写真:ケイコ ソリーノ

アドリア海に面するこの町の海は、ため息がでるほど透明。ヨーロッパの検査機関FEE(Foundation for Environmental Education)が審査する美しい海の認定証“バンディエラ・ブルー”に毎年選ばれる実力です。
5〜9月の海水浴シーズンには、ヨーロッパを中心に世界中から観光客が押し寄せ、海で極上のリラックスタイムを満喫します。

写真:ケイコ ソリーノ

そして、小さな旧市街は「イタリアの美しい村百選」に選ばれ、大聖堂見学の前後や海水浴後の散歩にもってこい!重厚な城壁がところどころに残され、中世の空気が漂います。さらに、プーリアらしい白い町並みが異国情緒たっぷり。

町一番の見どころ!「オトラント大聖堂」

写真:Comune di Otranto

海岸線から一歩内側に入ると、坂の上に立派な教会が顔をのぞかせます。これが、町一番の見どころである「オトラント大聖堂」。正式名を「サンタ・マリア・アヌンツィア―タ大聖堂」と言います。
同じ場所に昔あった教会の上に築かれ、1088年に建立除幕式が行なわれました。建築様式はロマネスクやビザンチンなど複数が混在。尚、建立当初は床のモザイク画はありませんでした。

写真:ケイコ ソリーノ

正面ファザードは幾度となく修復され、採光用のバラ窓は1480年のイスラム教徒の侵略後に設置された珍しいアラブ・ゴシック様式。尚、入口扉は1674年に作られたバロック様式です。
実はこの教会には入口が2つあり、2つ目は坂を下りた左側面に。15世紀後半から16世紀前半に作られ、ここからフレスコ画が残る地下聖堂へ直接入ることができます。

写真:ケイコ ソリーノ

教会内部は三廊式で、12個のアーチとムーア様式の格天井で装飾されています。
なんといっても、見る人の目を奪うのは床のモザイク画!1163年から2年の歳月をかけてパンタレオーネ修道僧が作り上げたもの。彼の名前はモザイクの一部に残されています。
このモザイク画は十字架の形に敷き詰められ、「生命の樹」と呼ばれるとおり1本の大樹を軸に旧約聖書の諸場面や民話・神話などが描かれています。

謎に満ちた奇想天外なモザイク画

写真:ケイコ ソリーノ

600平方メートルにも及ぶモザイク画はパッと見ると表現が拙い印象ですが、実はきちんとしたデッサン力に支えられ、安定した構成になっています。
入口扉すぐの場所に二頭の象が並び、彼らの背中から大樹の幹が奥の正面祭壇までしっかりと伸びています。象の周りには楯をもって戦う人物、人面獣など空想上の動物も広がります。
中には、歴史上の人物「アレクサンダー大王」の姿も。二頭のグリフォン(想像上の動物)が肉に食らいつくのを利用して空を飛ぼうとした伝説にちなんだものです。

写真:Comune di Otranto

身廊の中央に進むと、12個の楕円形が登場します。これは「月歴と星座」を表したもの。1月から12月の各月にちなんだ労働や生活の様子と12星座が描かれています。
例えば、1月は火に手をかざして暖を取る女性と山羊、2月は豚の丸焼きを料理する女性と水瓶をもつ天使、4月は羊飼いが放牧する様子と牡牛。聖書とは関係のない民族的なモチーフです。

写真:Comune di Otranto

そして、身廊の一番奥にある祭壇の手前には16個の楕円形が並びます。
牛、熊、豹、一角獣などの動物が中心ですが、最上部の4つは旧約聖書に登場するシバの女王とソロモン、ギリシャ神話に関係するセイレンとグリフォンが描かれています。
左右の翼廊にも同じようにモザイク画が敷き詰められ、左翼廊には天国と地獄、右翼廊には摩訶不思議なモチーフが溢れ、未だに何を表しているのか決定的な解釈はありません。

必見!3つのモザイク画

写真:Comune di Otranto

ここで、モザイク画に描かれた旧約聖書の3つの場面をご紹介します。聖書に詳しくない方でも一度は聞いたことがある有名な場面です。忘れずに見学を!
まずは、16個の楕円形の最下列に並ぶ「アダムとイブ」。イブを誘惑する蛇と彼らの手にある禁断の果実もしっかりと見てとれます。そのすぐ左下には、楽園を追放される二人の姿が別のモザイクで表されています。

写真:Comune di Otranto

次は、身廊中央の月歴と星座の下に描かれた「ノアの方舟」。
神が地球規模の洪水からノアとその家族、世界に残されたすべての動物を救った舟の話です。四角形の方舟の中には、非難中のノアや動物たちがいかにも分かりやすく印されています。
さらに、ノアの方舟の上下に敷かれた帯には、モザイク画の制作者パンタレオーネの名前が読み取れます。

写真:ケイコ ソリーノ

最後は、ノアの方舟の左下に位置する「バベルの塔」。
ノアの大洪水の後、人類が天まで届く塔を作ろうとしたことで神の怒りを買い、人間の言語がバラバラにされてしまう逸話。モザイク画には塔の建設が進み、はしごに登る人々の姿があります。

悲劇の歴史を語る礼拝堂

写真:ケイコ ソリーノ

教会の右廊には、この土地の悲劇を語る「殉教者の礼拝堂」があります。
1480年にオスマントルコが町に攻め入った際、800名の町人がイスラム教への改宗を拒み惨殺された悲しい歴史を語る場所です。礼拝堂内には、殉教者である彼らの遺骨が壁三面にぎっしりと奉られています。
この歴史を踏まえ、オトラントは2010年にユネスコの「世界平和の証人遺産」になりました。

写真:ケイコ ソリーノ

続いては、11世紀に作られた「地下聖堂」へ。
1階の正面祭壇わきの階段を下りると、42本の柱が美しいアーチを成す神聖な空間へとたどり着きます。柱が世界各地から集められたこと、装飾スタイルがそれぞれ異なることから、この地下聖堂はコルドバ(スペイン)にあるモスクのミニチュアと言われています。
注目すべきは、コリント様式、アジア様式、エジプト様式など多様性に富んだ柱頭。この空間には、東洋と西洋の宗教観を合わせるような偉大なテーマが含まれています。

写真:ケイコ ソリーノ

フレスコ画も地下聖堂の見どころです。一番大きく描かれた正面祭壇わきの「聖母子像」は、11〜12世紀に描かれたもの。
中には、有名なアッシジの聖フランチェスコの姿もあります。彼が聖地エルサレムに行くため、オトラントから船に乗る直前にこの教会を訪れたと言われています。

オトラント大聖堂の基本情報

住所:Piazza Basilica 1,73028,Otranto
電話番号:+39-0836-80-2720
営業時間:7時〜12時/15時〜19時45分
定休日:なし
アクセス:電車sud-est線にてレッチェ駅からゾッリーノ→マリエの順で乗り換え、オトラント駅へ到着(所要時間約1時間45分)。オトラント駅から大聖堂までは徒歩15分程度
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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ケイコ ソリーノ

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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