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イギリス文学散歩「高慢と偏見」作者J.オースティンのハンプシャー

2021.04.28

18世紀後半から19世紀初頭にかけて何作もの小説を著したジェーン・オースティン。代表作「高慢と偏見」「エマ」「分別と多感」は、数々の映画やドラマの原作になりました。地方の中流家庭に生きた女性たちを中心に優れた感性と皮肉まじりのユーモアで描写した作品は、今も人々を魅了します。現行の10ポンド札紙幣に肖像が使われているほど国民的作家オースティンが、人生の大半を過ごしたハンプシャーをご案内しましょう!

ジェーン・オースティンが暮らした家がミュージアムに!

写真:小野 雅子

イングランド南東に位置するハンプシャー州は、小説家ジェーン・オースティンが生まれ生涯の大部分を過ごした地方です。
41年という短い生涯で書き続けた小説の数々、こと不朽の名作「高慢と偏見」や「エマ」は何度も映画化やTVドラマ化されており、今も英国はもとより世界中で愛されているオースティン。
とりわけチョートンという小さな町には彼女が生涯最後の8年間を暮らした家があり、今では「ジェーン・オースティン・ハウス博物館」となっています。

写真:小野 雅子

田舎の中流家庭に生まれ育ったジェーンと親友のように仲睦まじかった姉カサンドラは、何度かのロマンスを経ながらも生涯独身で過ごした姉妹。そして夫に先立たれ寡婦となった母親とともに、ジェーンらの兄エドワードが貸与したこの家で暮らしました。
というのも18世紀〜19世紀の中流家庭では、まだ女性が自立して働くなど論外。そんな事をしたら「あの家の男たちには母や姉妹を養う甲斐性がない」と世間から烙印を押されてしまう時代だったのです。
幸いジェーンとカサンドラには6人の兄弟がおり、とりわけエドワードは資産家の女性と結婚し経済的余裕がありました。彼らに扶養され家事は使用人に任せながら刺繍やレース編みなどの手芸や、ピアノ演奏に絵画に読書といった教養を嗜むのが彼女たちの役割。

写真:小野 雅子

室内には家具や食器や手芸品なども展示されていますが、特筆すべきはオースティンが執筆に使っていた小テーブル。
溢れる創作欲を発揮して小説を書き続けたジェーン・オースティンですが、彼女が生きている間は実名でなく「ある婦人著」などの匿名で出版されたなんて、今では考えられないですよね!
彼女がこの小さなテーブルに向かって紡いだ物語の数々は、封建的な暮らしの中で自由に羽ばたけた唯一の世界・・・そんな感銘が、静かに押し寄せてきます。
<ジェーン・オースティン・ハウス博物館の基本情報>
住所:Jane Austen’s House, Winchester Rd, Chawton, Alton GU34 1SD
電話番号:+44-1420-83262

ジェーン達を経済的に支えた兄エドワードの屋敷もすぐ近く

写真:小野 雅子

ジェーン・オースティンが暮らした家から歩いて10分ほどの所にあるのが、三番目の兄エドワードの家「チョートン・ハウス」。彼女がしたためた書簡で「グレート・ハウス」と表現した通り、とても立派なお屋敷です。
エリザベス1世の時代に建てられ築400年以上の建物は、随所に年季のはいった重厚さを漂わせています。

写真:小野 雅子

ゆったりした間取りの部屋がいくつも続き、調度品も貴重なアンティーク揃い。エドワードは地元の資産家令嬢と結婚してここを継いだものの、妻は早逝。そこで近くに母親と妹2人を呼び寄せるため所有したコテージが、先述のジェーン・オースティン・ハウスでした。
現在では、単にオースティンの兄が所有した屋敷として公開されているだけではありません。イギリスの初期女流作家を研究する施設「チョートン・ハウス図書館」も併設し、サザンプトン大学が共同運営しています。

写真:小野 雅子

しばしば兄を訪ねたジェーン・オースティンは、この屋敷内でも執筆する事が多かったそうです。
こんな素敵な窓辺から庭園を眺めながら「高慢と偏見」の主人公エリザベスとダーシーさんらの恋の駆け引きや、時として滑稽な人間模様を描き続けたのでしょうね。
<チョートン・ハウスの基本情報>
住所:Chawton House, Chawton, Alton GU34 1SJ
電話番号:+44-1420-541010

オースティンが永眠する大聖堂へ!州都ウィンチェスター

写真:小野 雅子

ハンプシャーの州都ウィンチェスターは、鉄器時代にも遡れる歴史ある街。アングロサクソン時代にはイングランドの首都だった事もあり、中世から重要な巡礼地として栄えてきました。
街のシンボル的存在は、11世紀に建設が開始された壮麗なウィンチェスター大聖堂。
ヨーロッパのゴシック様式大聖堂のうち最も長い身廊と全長を持つことでも有名で、威容を誇る聖堂内はトム・ハンクス主演で大ヒットした映画「ダ・ヴィンチ・コード」のロケ地にもなりました。

写真:小野 雅子

しかし多くの英文学ファンにとって、この大聖堂はジェーン・オースティンが永眠する聖地。
40歳になる頃から健康を害し始めた彼女は、姉カサンドラと兄ヘンリーの尽力で小さな田舎町チョートンから都会ウィンチェスターに移り、そこで治療を受けましたが・・・その甲斐もむなしく41歳で逝去。
4番目の兄ヘンリーは聖職にも携わっていたため、彼のつてでウィンチェスター大聖堂に葬られました。

写真:小野 雅子

彼女が永眠するのは北廊の床下。すぐ近くの壁にある真鍮のメモリアル・プレートは、甥エドワードが1870年に叔母の功績を讃えて寄贈したものです。またこの上には、ジェーン・オースティンに捧げられたステンドグラスも1890年に制作されました。
存命中のオースティンはセレブ作家とはほど遠く、つましい中流階級女性として生涯を終えた人。その作品が人気を博すようになったのは没後、特に19世紀後半からです。
もし本人がそれを知ったら、作中の登場人物たちの諧謔や皮肉に負けないくらいウィットの効いた台詞を言うかもしれませんね。
<ウィンチェスター大聖堂の基本情報>
住所:Winchester Cathedral, 9 The Close, Winchester SO23 9LS
電話番号:+44-1962-857200

古都ウィンチェスター 美しい街並みもたっぷり鑑賞しよう

写真:小野 雅子

大聖堂を後にしたら、ハンプシャー州都として行政・文化の中心地でもあるウィンチェスター市街を散策しましょう。
9世紀にこの街を都市整備したアングロサクソンのアルフレッド大王像や、ノルマンの征服王ウィリアムが築いた城をヘンリー3世が再建した城の一部「グレートホール」などが、ここで繰り広げられた豊かな歴史を物語ります。

写真:小野 雅子

そうした有名な聖堂や城跡以外にも、これぞ中世という外観の建物が少なからず残っているウィンチェスター。
たとえば「1509年」と築年が彫ってある建物が現在では大衆的ファミレスチェーンの店舗になっていたりして、思わず2度見しちゃうこと請け合いです。

写真:小野 雅子

こちらのイタリア料理ファミレス店舗は更に古く、なんと11世紀。第2級重要建築にも指定されている約1000年前の建物で食べるパスタやピザは、格別な味わいかもしれませんね!
<アスク・イタリアンの基本情報>
住所:Ask Italian, God Begot House, 101 High Street, Winchester SO23 9AH
電話番号:+44-1962-808986

自然に囲まれた憩いの宿 オードリーズウッド・ホテル

写真:小野 雅子

ハンプシャー州内でジェーン・オースティンゆかりの地はチョートンとウィンチェスターの他にオルトンなどもあり、効率的に回るにはクルマでの移動が最適です。
そこで宿泊にお勧めしたいホテルの1つが、高速道路M3にアクセス抜群で足回りのいいオードリーズウッド。

写真:小野 雅子

1880年に築かれた大邸宅を改装し72室を擁するこのホテルは、設備規定により4つ星クラスながら雰囲気はワンランク上。豊かな自然に囲まれたクラシックなホテルで、マナーハウスのような贅沢感を漂わせます。

写真:小野 雅子

自然光が降りそそぐ美しい朝食ルームからは、広々とした美しい庭園も見渡せます。レディングやサザンプトンといった大都市にも近いため、観光だけでなくビジネス客にも好評なのは納得ですね!

オースティンが生涯を送ったハンプシャー その魅力を探訪!

ジェーン・オースティンの小説を愛読している人にはもちろん、映画やドラマ作品でその魅力を堪能した人にとっても、彼女の描いた時代を垣間見れるハンプシャー。
あなたもいつか、「高慢と偏見」のエリザベスとミスター・ダーシーが恋の駆け引きをした世界を訪ねてみませんか?!
2021年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
取材協力:英国政府観光庁(VisitBritain)

■関連MEMO
Jane Austen’s House(外部リンク)
https://janeaustens.house/
Chawton House(外部リンク)
https://chawtonhouse.org/
Winchester Cathedral(外部リンク)
https://www.winchester-cathedral.org.uk/
小説「嵐が丘」の舞台!ブロンテ姉妹の町・イギリス「ハワース」
https://www.travel.co.jp/guide/article/43921/
英国政府観光庁VisitBritain(外部リンク)
https://www.visitbritain.com/jp/ja

【LINEトラベルjp・ナビゲーター】
小野 雅子

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提供元:LINEトラベルjp 旅行ガイド

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