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大阪歴史博物館で「あやしい絵展」あやしい名画が大阪に大集合!

2021-07-18

怪しい、妖しい、奇しいなど、さまざまな漢字が当てられる「あやしい」という言葉でくくられた絵画の数々。
大阪歴史博物館で開催中の「あやしい絵展」では、蠱惑的な美しさ、思わず目を背けたくなるような凄惨さ、現世とは異なる世界の入り口を思わせるような世界が展開。背筋がゾクリとする絵もあって、暑い夏に涼しくなるのにピッタリな絵画展となっています。

大阪歴史博物館で開催される絵画展「あやしい絵展」

写真:けいたろう

美術館などで魅力的な美しい絵を見た時に感じる「グロテスク」や「どことなく不気味」さらには「エロティック」など、普段あまり素直にコメントできない感想の数々。そういった思いを抱かせる絵が大阪歴史博物館に集結し「あやしい絵展」として開催されています。

写真:けいたろう

あやしい絵展のために明治期以降の約150点の絵画が集められました。あやしいという言葉には、怪しい、妖しい、奇しいなどの漢字があてられ、思わず目を背けたくなる一方で、人を強く引き付ける不思議な魅力を持っています。通常の美術展ではタブーとされているような感情がメインのコンテンツとなっています。

写真:けいたろう

今回のあやしい絵展は美術館ではなく歴史博物館での開催ということで、作品の歴史的背景や相互に作用し合った影響などにも焦点が当てられ展示にくわえ、絵画が描かれた当時の日本の市井のリアルな生活のようすが見えて来る作品も多数展示。
美術的な絵画の価値にくわえ歴史を写す資料的な価値がある作品も多く歴史博物館での開催ならではの楽しみ方もできる展覧会となっています。

いきなりのリアル表現にインパクト絶大

写真:けいたろう

あやしい絵展と名付けられた今回の美術展、会場ゲートを抜けた先で入場者が真っ先に出会うのがこちらの生人形(いきにんぎょう)。
生人形は幕末から明治期に見世物やお店の看板として作られた人形。こちらもは桐生市の織物会社所有の品で、有名な生人形師の安本亀八の作。群馬県桐生市へと織物を伝えた白瀧姫がモデルとなっています。
あやしい絵展で唯一の 立体物として展示された生人形のインパクトは絶大。実際に生きているようにリアルな人形に早くも心を掴まれるはず。

写真:けいたろう

リアルすぎる生人形のインパクトに驚いた展示の次に、また迫力の展示が続きます。こちらは月岡芳年の無惨絵。幕末から明治中期に活躍した浮世絵師である月岡は、明治元年に起こり自身の目で見た上野戦争の体験をもとに歴史上の事件を浮世絵に投影。
傷付く人々の表情や流血など、実際の体験を通さねば得られないリアルすぎるくらいにリアルなタッチでの浮世絵となっています。

写真:けいたろう

ほかにも歌川国芳の怪異を題材とした浮世絵などが展示されています。江戸時代に描かれたとは思えないほどの迫力のある怪異の描写表現には驚かされます。

男女の愛憎こそあやしい絵の本領

写真:けいたろう

迫力たっぷりの展示でインパクト絶大な、あやしい絵展でしたが、ストレートな表現はここでいったん休憩。次からは男女の愛憎や苦悩が中心に描かれるゾーンとなりますが、むしろここからが、あやしい絵展の本領となっています。
まず目につくのは与謝野晶子の「みだれ髪」の装丁。教科書などでも有名な装丁画のみだれ髪ですが、明治期にあって激しい恋愛感情の歌を詠んだ歌人の歌集として捉えると、今までと違ったイメージで見えるはず。
また与謝野晶子自身も愛した、アルフォンス・ミュシャの絵画も同じスペースに展示されていて大いに装丁にインスピレーションを得た様子がハッキリとわかります。

写真:けいたろう

日本において妖艶であやしい魅力を持つ伝承といえば、和歌山県に伝わる安珍と清姫の伝説が突出していますが、あやしい絵展でも作品を展示。
熊野詣に和歌山を訪れた修行僧の安珍に一目惚れした清姫は、実らぬ恋のために蛇に変貌して安珍を追いかけ、やがて鐘に隠れた安珍を焼き殺してしまいますが、その蛇に変身する姿や鐘を焼くシーンの絵画が並べられています。

写真:けいたろう

安珍清姫伝説のような怪異譚として、現世と異界との関わりが揺らぐ作品や神話の一場面を再現した作品を多数展示。
こちらは冥界へ入ったイザナミを追いかけたイザナギが、変わり果てたイザナミに恐怖を感じ逃げ帰るシーン。狼狽えるイザナギを追う女性の鬼の迫力が静かではあるものの力強く描かれています。
ほかにも異界と現世の交流譚の代表例である人魚をモチーフとした作品も多く、思わず見入ってしまう強烈な魅力を持つ絵画に足が止まってしまうことでしょう。

あやしい絵展ならではの現実世界の人間の複雑な表情にも注目

写真:けいたろう

怪異の世界も多く描かれているあやしい絵展ですが、現実世界の歴史上の出来事に関する絵画も多数展示。
こちらの絵に描かれているのは織田信長の姪で豊臣秀吉の側室である淀君で、徳川に大阪城を責められている際の姿であるのに、その顔は能面のように無表情。大阪城落城の瀬戸際にあっても、うろたえない覚悟を持った女性として描かれています。

写真:けいたろう

こちらの絵は近松門左衛門の人形浄瑠璃である「心中天網島」のクライマックスの一幕。道ならぬ恋の末に心中を決心した小春と治兵衛。手をしっかりと握りつつも死ぬ以外には道がないと、何とも言えない複雑な表情をしています。

写真:けいたろう

虚ろな表情の女性が描かれたこちらの絵は、謡曲「花筐(はながたみ)」に登場する照日前(てるひのまえ)。のちに天皇となる男大迹皇子に越前の地で寵愛されていた照日前は、皇子が天皇になるために京に向かうと知り、淋しさのあまり狂女へと変貌。皇子の前に現れ踊りを舞う場面を表現。
焦点の合わない瞳、着崩れた着物と乱れた髪、別れの品として皇子から贈られた花籠や手紙、割れた扇など、別れに際した女性のただならぬ様子が緻密に描かれています。

あやしい絵展はグッズもやっぱりあやしい

写真:けいたろう

あやしい魅力にあふれる絵画が揃う「あやしい絵展」、美術展後のお楽しみのミュージアムショップでも、さまざまなあやしいグッズを販売。
こちらは展覧会限定品のお香で、あやしい雰囲気を醸すのにピッタリなアイテムとなっています。ほかにも、みだれ髪やミュシャなどが描かれたオリジナルパッケージの保湿クリームなどがならべられています。

写真:けいたろう

ミュージアムグッズ定番のTシャツですが、あやしい絵展にも作品展示のあったサロメがモチーフ。袖口には聖ヨハネの生首を持ったサロメが描かれ、インパクト絶大な一着となっています。

写真:大阪歴史博物館

また会場併設のカフェではオリジナルメニューも展開。暗黒のケーキに真っ赤なソースがおどろおどろしいケーキや、色があやしく変化するドリンクなどが販売されているので、ぜひお立ち寄りするのをオススメします。

あやしい絵展で美術体験デビュー?

さまざまな「あやしい」を集めた絵画展である「あやしい絵展」、普段はタブーとされているような感覚を呼び起こすイベントとなっています。
それだけに普段なんとなく美術展に敷居の高さを感じる人の美術展デビューにもピッタリのイベントとなっています。ぜひ、あやしい世界をのぞき見してみてください。
2021年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
あやしい絵展(外部リンク)
https://ayashiie2021.jp/
大阪歴史博物館(外部リンク)
http://www.mus-his.city.osaka.jp/

【トラベルjp・ナビゲーター】
けいたろう

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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