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播磨の小京都「龍野(たつの)」で レトロな城下町さんぽ

2021-09-01

町の中心を清流・揖保川が流れ、昔から西播磨の中心的な場所だった龍野(たつの)。
中世には龍野城が建ち、今も武家屋敷や白壁の土蔵が残るこの町は「播磨の小京都」ともいわれています。童謡「赤とんぼ」の作者・三木露風の生家や、この地で生まれて和食に欠かせない淡口醤油の資料館など、歩いて周れる距離に見どころが集まっているというのも魅力。
町並の保存地区になっているここは、ゆったりと散策するのに人気の町です。

和食にはかかせない淡口(うすくち)醤油のふるさと

写真:万葉 りえ

出汁のうまみや香りを生かし、素材を色鮮やかに仕上げた和食。味だけでなく美しさでも食べる人を楽しませてくれる、そんな料理に使われる淡口醤油を生んだのが、ご紹介する兵庫県の龍野です。
播磨平野で小麦が採れ、山間部では良質の大豆も生産。そして赤穂の塩と、醤油を作るための材料が揃っていた龍野。さらに気候も温暖なので、この地では戦国時代にはすでに醤油が生産されていたといいます。

写真:万葉 りえ

ですから、たつの市の大きな産業の一つが醤油醸造で、現在もいくつものメーカーが味を競っています。
ご紹介した赤レンガの建物は1580年代から醤油を作っている、現「ヒガシマル醬油(株)」のかつての本社社屋や醸造蔵です。その建物が「うすくち龍野醤油資料館」として公開されているので、行ってみましょう。

龍野に誕生した全国初の醤油資料館

写真:万葉 りえ

淡口醤油が誕生したのには、醤油の原料に加えて、この地ならではの特色が大きく関係していました。まずは、中国山地から南下して流れる揖保川が全国でもまれにみる鉄分が少ない水であること。そして龍野では醤油とともに清酒も作っていたので、米や甘酒を使ってまろやかな旨味を醤油に加えることができたことです。
そんな400年以上の歴史を重ねたこの地には、それぞれの会社で使われていた物が長く保管されていました。そこで“醤油のふるさと”として龍野醤油共同組合各社の資料を集めた館ができたのです。

写真:万葉 りえ

麹菌が働きやすいようにと、麦を炒る作業では、炒り方も少し弱めでした。それは淡口は濃口醤油よりも薄い色で仕上げるため。そのように淡口醤油が作られていく工程に合わせて、大きな仕込蔵や圧搾機なども見学できます。
そしてこちらの部屋でご覧いただけるのが品質検査等に使っていた機器類です。現在でも、白衣を着た検査員が作業をしていそうな雰囲気がたっぷりだと思いませんか。

写真:万葉 りえ

この資料館は全国初の醤油資料館として開館したのですが、入館料は、なんと「10円」!
それは、ご縁が重なるように(重縁)という気持ちからです。
番頭さんが座っていたであろう「帳場」なども再現されています。建物は国登録の有形文化財。明治の頃を想像しながら館内を周ってみてください。
<うすくち龍野醤油資料館の基本情報>
住所:兵庫県たつの市龍野町大手54-1
電話番号:0791-63-4573
休館日:月曜日

城の下にひろがる「伝統的建造物群保存地区」

写真:万葉 りえ

うすくち龍野醤油資料館の辺りは「伝統的建造物群保存地区」となっています。
白壁が残る道の北側にはご覧のような赤レンガの煙突があります。
外観の意匠も凝っているこちらの建物は、龍野醤油協同組合の事務所として大正期に建てられたもの。ここも国の登録有形文化財になっていて、現在は「大正ロマン館」として観光案内所などが入っています。

写真:万葉 りえ

そして煙突の左側が組合の醸造工場だった建物です。現在はカフェやショップになっていて、散策の休憩にぴったり。こちらではショップに置かれた醤油の種類にも注目してください。その品ぞろえは、さすが、醤油のふるさとです。
<たつの市醤油の郷 大正ロマン館の基本情報>
住所:兵庫県たつの市龍野町上霞城126
入館料:無料
休館日:月曜日

写真:万葉 りえ

大正ロマン館の近くには「三木露風生家」も残っています。
童謡「赤とんぼ」の作者として有名な三木露風。明治22年に生まれこの家で暮らしていたのですが、やがて両親が離婚。母は弟を連れ実家に帰ってしまいます。露風が母と過ごせたのはわずか6歳までで、その後は銀行の頭取や初の龍野町長に選ばれた祖父のもとへ。
こちらでは建物内で説明もしていただけます。もの悲しさもある「赤とんぼ」の歌詞。露風の心の中にあった故郷への思いはどんなものだったのでしょうね。
<三木露風生家の基本情報>
住所:兵庫県たつの市龍野町上霞城101-3
入館料:無料
休館日:月曜日

桜と紅葉の名所 龍野城

写真:万葉 りえ

ここは龍野藩の城下町。初めの龍野城は、中世に赤松村秀によって鶏籠山(けいろうざん)の山頂に築かれました。その城が天正5年に豊臣秀吉に明け渡された後は、山麓に平山城が作られます。そして、江戸時代の1672年から幕末まで治めたのが脇坂家でした。龍野藩は大きな石高ではありませんが、脇坂家の10代や11代城主は江戸幕府で老中も務めています。

写真:万葉 りえ

城内には歴史文化資料館もあり、都と博多を結ぶ場所として古代から栄えてきたことを示す展示や、代々の城主や城下町の資料が見られます。
現在見られる櫓や門は昭和の時代に再建されたものですが、ここは桜や紅葉がきれいなことでも有名です。秋に行かれる場合は、城の北西方向にある紅葉の名所「もみじ谷」も忘れずに行ってみてくださいね。
<龍野城(資料館共用)の基本情報>
住所:兵庫県たつの市龍野町上霞城128-1
休館日:月曜日
入館料:無料(資料館は一般200円)

豊かに取れる小麦が生んだもう一つの特産品

写真:万葉 りえ

そしてこちらは「伝統的建造物群保存地区」からは少し外れるものの、建物自体が資料館となっている「武家屋敷資料館」です。主屋と離れから構成されていて、鬼瓦の銘から天保年間に建てられたと考えられています。控えの間などもあります。格式を重んじた武家の生活を垣間見てみましょう。
<武家屋敷資料館の基本情報>
住所:兵庫県たつの市龍野町上霞城45
休館日:月曜日
入館料:無料

写真:万葉 りえ

龍野の見所を紹介してきましたが、ここはトップシェアをほこるそうめん「揖保乃糸」の生産地ということも忘れてはいけません!
そうめんも江戸時代に藩の奨励を受け、生産量を増やすとともに品質を守るための取り組みも行ってきました。
食事を予定されている方はぜひ「揖保乃糸資料館 そうめんの里」へ行ってみてください。冷たいもの、温かいものだけでなく、和風はもちろん、中華、洋風までメニューが揃います。美味しいそうめんも味わっておきましょう。
<揖保乃糸資料館 そうめんの里の基本情報>
住所:兵庫県たつの市神岡町奥村56
電話番号:0791-65-9000
休館日:月曜日
駐車場:普通車70台

おうちグルメも忘れずに

醤油もそうめんも日持ちがする上に、多くの家庭で消費するもの。家で食べるのを楽しみに、色々と揃う中からお土産を選んでみましょう。
そして、甘いもののお勧めとして挙げたいのが「醤油まんじゅう」です。複数の菓子店で作られ、少しずつ風味が違います。家並みの間に和菓子屋を見かけたらぜひ寄ってみてくださいね。
「赤とんぼ」の曲が町中に流れるたつの市。「夕焼け小焼け〜」が流れる頃まで、ゆったりとさんぽを楽しんでください。
2021年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
たつの市観光協会(外部リンク)
http://tatsuno-kanko.com/modules/pico/index.php?content_id=1
一年中お勧め!揖保乃糸「そうめんの里」で そうめんの巻き寿司
https://www.travel.co.jp/guide/article/46052/

【トラベルjp・ナビゲーター】
万葉 りえ

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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