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世界屈指の美空間 イスタンブール「ブルーモスク」の見処ガイド

2021-09-28

海峡を挟んで、西洋と東洋、両方の大地に広がる大都市イスタンブール。歴史あるこの街でアヤソフィアなど世界遺産が集中しているのが、ヨーロッパサイドにある旧市街です。そこにある「ブルーモスク」ももちろん世界遺産の一つ。ここは宗教施設として現役の建物で、内部は貴重なイズニックタイルで彩られた美の空間。
街中にモスクは沢山ありますが、特にこのモスクで見ていただきたい点と、訪れる際の注意点などをご案内します。

1000年を隔て、兄弟のように並び建つアヤソフィアとブルーモスク

写真:万葉 りえ

ボスポラス海峡を挟んで、アジアとヨーロッパにまたがる大都市イスタンブール。B.C.330年にコンスタンティノープルと名付けられローマ帝国の首都となってからも数々の歴史を積み重ねてきました。
こちらは、アジアサイドのユスキュダルから海峡をはさんでヨーロッパサイドの旧市街を見た風景です。海上にある「乙女の塔 クズ・クレスィ」のむこう。右側からオスマン帝国の中心だった「トプカプ宮殿」、そして「アヤソフィア」「ブルーモスク」のシルエットが高く浮かんでいるのをご覧いただけるでしょう。

写真:万葉 りえ

キリスト教の大聖堂である最初のアヤソフィアが建てられたのが、360年。その後火災で焼失するなどして、現在のアヤソフィアは3代目。ビザンティン(東ローマ)帝国のユスティニアヌス帝が537年に建立したものです。
そしてブルーモスクの完成は1616年。この二つの建物、千年以上隔たりがあるのに外観がよく似た感じだと思いませんか。それは16世紀の宮廷建築家長「ミマル・スィナン」の影響をうけているから。
彼が憧れたのがビザンティン建築の傑作と言われているアヤソフィアでした。アヤソフィアの巨大ドームより大きなものを建てるのが、彼の、そしてスルタン(王)の夢だったのです。現在でも彼が手がけた大きなドームを持つモスク(トルコ語でジャーミー)がいくつも残っています。その様式でビザンティン帝国の大宮殿があった場所に建てられたのが、こちらの「スルタン・アフメット・ジャーミー」、通称ブルーモスクです。

オスマン帝国のスルタンの名を冠した最後のモスク

写真:万葉 りえ

建築家スィナンはシュレイマン1世など三代のスルタンに仕え、大きなドームと細い尖塔をもつオスマン古典建築といわれる形を確立していきました。シュレイマン1世の命で造られたシュレイマニエ・ジャーミーや、その愛娘のためのミフリマー・スルタン・ジャーミーなど多くの建築を残し、それは「イスタンブールの景観をつくった建築家」と評されるほど。
そのようにスルタンの名を冠したモスク。イスタンブールでその最後を飾るのがこのモスクです。アフメット1世の命で巨費を投じ、担当したのはスィナンの弟子メフメット・アー。

写真:万葉 りえ

回廊側に入口があり、宗教施設なので礼拝時間は入場不可。また短パンなど肌が出る服では入れず、女性は髪を何かで覆わなくてはなりません。ストールの貸し出しもありますが、できたら自分で用意しておくのがよいでしょう。
回廊の天井裏にも美しい装飾があります。ミナレット(尖塔)のある景色も見ながら進んでいきましょう。

見上げて引き込まれる、円の重なりの美しさ

写真:万葉 りえ

「世界一美しい」とも称えられる礼拝堂はほぼ正方形に近い形をしています。見上げて中央にあるのが、高さ43m、直径23.5mの巨大ドームです。そしてその周りにある4つの半ドームも直径は大ドームと同じ大きさ。
広い空間の内部では4本の柱がこの巨大ドームを支えているのですが、その柱の直径もなんと5m!あまりにも太いため、別名「象の足」とも呼ばれています。

写真:万葉 りえ

半ドームの下にはさらに小ドームが重なります。巨大な空間で、このようにピラミッドのように重なったドームの美しさもよく見ておいてください。
このモスクの建築を命じたスルタン・アフメット1世は建立に熱心で、しきりと工事を急がせたといいます。7年の工事期間を経て1616年に完成したのですが、予感があったのか、その翌年アフメット1世は27歳で他界してしまいます。
モスクの隣に霊廟があり、アフメット1世は緑色の布で覆われた巨大な棺に眠っています。その周りには、血で血を洗う話を今に伝える皇妃や息子であるオスマン2世などの棺が三十数基。13歳で売られてきたという皇妃キョセムについては、関連MEMOにあるハレムの記事を参考にしてください。

差し込む光で変化する、イズニックタイルとステンドグラス

写真:万葉 りえ

この内部で、天井裏から柱まで隙間なく使われているのがイズニックタイルです。
青と白が基調で、当時の最高品質と言われていたイズニック産のタイル。オスマン帝国時代に急速に発展したものの、残念ながら17世紀に途絶えてしまいました。壁には明るいブルーのタイルが多用され、当時でもかなり高価だったものを2万枚以上使っているという、見事としか言いようがない空間。

写真:万葉 りえ

さらに260を超す窓には、美しいステンドグラスがはめ込まれています。こちらもイスラムの教えを守り人物などは描かず、植物や幾何柄などで様々な文様を織りなしています。内部をやさしい光で満たすこの方法は、当時としては画期的だったもの。
見渡せば、太陽の動きとともに光が入ってくる窓も移り、それとともに光が当たる部分も堂内で移っていきます。その明暗の美しさも、ぜひ時間が許す限り味わってください。

ミンバル(説教壇)の見事な彫刻も見逃すな

写真:万葉 りえ

聖地メッカの方角を示すのが、ミフラーブと呼ばれるアーチ状のくぼみです。そして写真の右手に見えている階段状のものが、大理石の説教壇でミンバルと言われているもの。ここでイスラムの導師がコーランをとなえるのですが、素晴らしい彫刻がされており、建設当時のまま今も毎日使われています。
堂内は広く薄暗い時もあるので、スマートフォンの撮影では細部が伝わらないかもしれません。美しさをしっかりと残しておきたい場合は、やはりカメラを持っていくことをお勧めします。
また、女性の方はストールやフードで髪を覆っていても、見上げているとずれます。気づかずにいると係の人の注意もあります。ずれないように髪留めも用意しておいたほうがよいでしょう。

写真:万葉 りえ

大ドームやミンバル等に目が行きがちですが、振り返っていただければこのように近くの壁や天井も美しい装飾で隙間なく埋められています。近くで見れば、金色の装飾の様子もよくわかるはず。
世界でもまれな6本のミナレットの1本からは礼拝時間を告げる呼びかけ(アザーン)が現在も肉声で行われ、異邦にいる気持ちをさらに高めてくれるブルーモスク。
オスマン帝国を傾かせる要因の一つになったといわれている建築費ですが、しかし巨費を投じたからこそ創りあげられた、もう造ることはできない唯一無二の美。イスタンブールの歴史地区で、それらをしっかりと脳裏に焼き付けておきましょう。

スルタン・アフメット・ジャーミー(通称 ブルーモスク)の基本情報

住所:Sultan Ahmet, Atmeydanı Cd. No:7, 34122 Fatih/İstanbul
休み:無し
料金:無料(寄付)
アクセス:スルタンアフメット駅から徒歩2分
※金曜日の午前中は宗教行事の関係で避けたほうがよいでしょう
2021年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
荘厳さで圧倒!アヤソフィアの鑑賞ポイント5選 イスタンブールで外せない世界遺産の歴史を探る
https://www.travel.co.jp/guide/article/14791/
権力と孤独を抱きしめて〜イスタンブール・トプカプ宮殿のハレムに生きた女達
https://www.travel.co.jp/guide/article/11320/

【トラベルjp・ナビゲーター】
万葉 りえ

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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