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電車が走るのは朝夕だけ!神戸「JR和田岬線」歴史浪漫と乗り撮り歩き

2022-09-02

人口150万人以上を擁する大都会・兵庫県神戸市。この街に朝夕しか電車が走らない、たった2.7kmの不思議なローカル線?があります。終着駅はなんと無人駅…。都会の中の秘境路線?今回は神戸市兵庫区の和田岬線の旅をご案内します。たった一駅、2.7kmの旅にも、見所や歴史ロマンがつまってますよ!

JR和田岬線とは…?

写真:もんT

和田岬線は山陽本線兵庫駅から分岐して和田岬へと向かう全長2.7kmの路線。和田岬線というのは通称で、正式には山陽本線の支線という扱いです。その歴史は古く、始まりは明治21年(1888年)。神戸より西へ、鉄道建設を進めるための資材運搬用にレールが敷かれました。
和田岬線を走るのは、スカイブルーの国鉄103系電車。昭和期につくられた懐かしい車両です。今や首都圏では絶滅し、関西圏でも急速に減少…。懐かしい昔ながらのスカイブルーの編成は、ここ和田岬線に残る1編成のみとなりました。なお、車両検査などの都合で走れないときは、207系などの新しい電車が代走します。
※国鉄103系電車は2023年3月18日をもって、和田岬線での運行を終了しました。電車は207系に代わっています。

写真:もんT

運転ダイヤはとてもユニーク…。平日、土曜日、日曜・休日で異なります。平日は朝夕だけの合計17往復だけ…。昼間は全く電車が走りません。特に、日曜・休日は朝7時台と夕方17時台に1往復ずつ、合わせてたったの2往復…。このようなダイヤなのは、この路線が和田岬の大工場への通勤客輸送に特化しているからです。
ということで、運転本数が少ないものの、赤字ローカル線というわけではありません。しかし、神戸市のウォーターフロント再開発計画で廃線にする案も出ており、今後の行方が気になるところです。

始まりは兵庫駅から〜重厚な昭和の建築に注目!

写真:もんT

和田岬線の起点は、神戸駅の一つお隣の兵庫駅。駅舎は昭和5年(1930年)完成で、昭和の空気を今に伝えています。

写真:もんT

こちらは山陽本線(神戸線)のホームに上がる階段。大理石を用いた重厚な造りです。和田岬線のホームはこの階段は上らずに、階段の脇を抜けて行きます。「和田岬線乗り場」の案内表示にしたがって進んで行きましょう。

写真:もんT

途中、乗り換え改札があります。終点の和田岬駅が無人駅で、改札もないことから、ここで和田岬線乗車の切符の精算や回収を行います。青春18きっぷなど、自動改札を通らない切符の場合は、「うらが白色のきっぷ」の通路を通って行きます。中間改札の先、長い廊下の向こうのホームに、和田岬線の電車が見えてきます。

工場や住宅の間を抜けて終着駅へ

写真:もんT

兵庫駅を発車すると、電車は大きく左にカーブして進路を南に取ります。このとき、車窓右手に注目!川崎重工の電車の車両工場が見えます。写真に写っているのは、東京メトロの地下鉄車両…。ここで製造しているんですね。こうした新製車両の“出荷”にも和田岬線の線路が使われています。

写真:もんT

やがて兵庫運河を鉄橋で渡ります。この鉄橋、実は日本で最初の鉄道可動橋…。かつては長さ15mほどの鉄橋全体が90度回転し、運河を行く船の通航を確保していました。非常に珍しい旋回式の可動橋、現在は回転装置が外され、完全に固定されています。

写真:もんT

兵庫運河を渡るシーンは、並行している道路橋からも眺望できます。ここは、和田岬線を走る103系電車の撮影スポットとしても有名。和田岬駅からは750mほど。徒歩10分の道のりです。
※国鉄103系電車は2023年3月18日をもって、和田岬線での運行を終了しました。電車は207系に代わっています。

都会の中の秘境駅?〜終点・和田岬駅へ到着

写真:もんT

兵庫駅を出発してわずか3分半…。電車は和田岬駅に到着します。終点の和田岬駅は、住宅街に囲まれた感じの無人駅。改札はおろか自動券売機もありません。和田岬駅から電車に乗るときは、前述の兵庫駅乗換改札にて切符を購入、あるいはICカードの入場タッチをすることになります。

写真:もんT

和田岬駅に着いた電車はすぐに兵庫駅へと折り返していきます。もしも帰りの電車がなくなった!という場合は…?大丈夫です。ここ和田岬駅、2001年7月に神戸市営地下鉄海岸線が開通しているんです。これに乗れば、JRの三ノ宮駅あるいは新長田駅へと戻ることができます。こちらは日中も10分間隔での運行。和田岬線よりも便利ですね…。
実は地下鉄開通でJR和田岬線はもはや不要…?ということで、地元では廃止して街を再開発しようという声もあります。和田岬線の今後が気になります…。

和田岬駅からの歴史ロマン〜訪問日限定・本当の和田岬へ行ってみよう!

写真:もんT

さて、実際の「岬」はどこにあるのでしょう…?和田岬というのは、もともと神戸の港を守るように細長くできた天然の砂嘴(さし)。この砂嘴が天然の防波堤のような役割を果たし、平安時代に「大輪田(おおわだ)の泊」がつくられ、神戸港へと発展していきました。現在、岬の先端エリアは、三菱重工の神戸造船所の敷地内になっています。和田岬駅からは、駅前の大通りを渡ってすぐの一帯です。
写真は三菱重工の本館ビル。こちらも昭和13年建築の風格ある建物です。

写真:三菱重工業株式会社

実は岬には貴重な歴史遺産が…。幕末の1864年、勝海舟の設計により構築された「和田岬砲台」です。当時、大阪湾を守る目的でこのような砲台が4基つくられましたが、内部も外観も当時のまま残っているのはここだけ。三菱重工神戸造船所の敷地内であるため、普段は一般の立ち入りができませんが、月に一度だけ!毎月第2木曜日に、特別にこの砲台が一般公開されます。

写真:三菱重工業株式会社

一般公開の日時や申込み方法は、三菱重工HPの和田岬砲台紹介ページで確認しましょう。必ず事前申し込みが必要です。なお、見学の際、砲台内部の写真撮影は可能ですが、セキュリティの関係上、外観や周囲の撮影は禁止です。月に一度のシークレットツアー、チャンスがあったらぜひどうぞ!

ユニークな和田岬線をぜひ旅してみて!

神戸市兵庫区の和田岬線の旅、いかがでしたか?たった一駅の小旅行ですが、近代の産業遺産や歴史を垣間見ることができます。神戸を観光で訪れた際は、ぜひ寄り道してみて!そして、ちょっとレアでユニークな旅をどうぞ楽しんでください。
2022年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
三菱重工和田岬砲台(外部リンク)
http://www.mhi.co.jp/company/facilities/wadamisaki/index.html

【トラベルjp・ナビゲーター】
もんT

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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