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大坂城の石垣はここから!?香川県小豆島「天狗岩丁場」

2022-11-26

香川県の小豆島といえば、名作映画『二十四の瞳』のロケ地や恋人の聖地として知られる「エンジェルロード」などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、小豆島は、古来、上質な花崗岩を産出する石材の島としても名高く、島にはかつての石切り場の跡がいくつも残されています。今回はそのなかでも最大の規模を誇る「天狗岩丁場」をご紹介しましょう。

大坂城の石材も切り出されていた「天狗岩丁場」

写真:乾口 達司

瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、古来、上質な花崗岩の産地として知られており、江戸時代前期におこなわれた大坂城再建工事の際には、石垣用におびただしい数の巨石が切り出され、大坂へと運ばれていきました。それにちなみ、小豆島にある5箇所の「丁場」(作業場)は、現在、「大阪城石垣石切丁場跡」の名で国の史跡に指定されています。
今回、ご紹介する岩谷地区の「天狗岩丁場」は丁場のなかでも最大の規模を誇り、いまなお現地に残されているおびただしい数の石が訪れるものを圧倒します。
そんな天狗岩丁場のシンボルこそ写真の「大天狗岩」。その高さは約17メートル、幅約8メートル、奥行き約12メートルで推定重量はなんと1700トンにもおよびます。大天狗岩はさすがに大き過ぎて切り出しは断念されたのでしょうが、天狗岩丁場では、このような巨石が次々に切り出されていたのです。

写真:乾口 達司

写真は大天狗岩を側面から眺めた一枚。人物の大きさと比較をすると、いかに大きいか、お分かりいただけるでしょう。

無数の矢穴が並ぶ「そげ石」

写真:乾口 達司

天狗岩丁場をめぐると、ご覧のように、表面に穴の開けられた石をたくさん見かけます。
石の表面に彫り込まれたこの穴は「矢穴」と呼ばれるもので、石材を切り出す際につけられるもの。矢穴にそって「矢」と呼ばれる道具を差し込み、鉄製の槌で叩くと、石は矢穴の方向にそって割れます。

写真:乾口 達司

矢穴にそって割れた石は、ご覧のとおり。綺麗に真っ二つになります。

写真:乾口 達司

矢穴が開けられたまま残されている石の大半は、なんらかの事情でその場に放置されたもの。割った後に残った余りの石材は「そげ石」と呼ばれています。
丁場をめぐり、さまざまな矢穴やそげ石を見てまわりましょう。

謎の矢穴が見られる小天狗岩

写真:乾口 達司

写真は大天狗岩の上方に位置する小天狗岩。岩の隙間をくぐり抜けることができます。ちょっとドキドキしますが、怖がらずにくぐってみましょう。

写真:乾口 達司

小天狗岩をくぐるとき、頭上を見上げてみてください。ご覧のように、矢穴の列を見ることができます。しかし、考えてみると、変だと思いませんか?普通、石を割るとき、ハンマーは上から下へと振りおろしますよね。その逆はあり得ません。割れた石が工人の頭の上に落下して来るからです。したがって、写真のように矢穴を石の裏側につけることなど、本来、あり得ないことです。
では、なぜ、矢穴は裏側につけられたのでしょうか。それは現在も謎とされていますが、ひょっとすると、小天狗岩は何らかの事情で上方より転がり落ち、それにともない、矢穴の向きも現在のようになったのかも知れませんね。

石の表面に刻まれた刻印

写真:乾口 達司

丁場を見てまわると、表面に刻印が刻まれている石を見つけることがあります。刻印は石材の切り出しを請け負った当時の藩を示すマークです。天狗岩丁場の刻印は、大坂城の石垣に残されている刻印との比較から、九州・黒田藩のものだと判明しています。天狗岩丁場は黒田藩が所管する丁場だったわけです。

写真:乾口 達司

刻印といっても、決して一つの形に決まっているわけではありません。こちらの刻印は〇が二つ並んでいますね。

写真:乾口 達司

刻印は○だけとは限りません。さて、こちらの写真には、どういった刻印が刻まれているでしょうか。ご自身の目でお確かめください。

鉱物の勉強にも!珍しい「コアストーン」

写真:乾口 達司

では、こちらもやっぱり刻印?そう思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、これは「コアストーン」と呼ばれるもので、花崗岩が風化する過程で現れる岩塊。自然が生み出した珍しい造形なのです。
天狗岩丁場を見てまわると、鉱物の勉強にもなりますよ。

写真:乾口 達司

天狗岩丁場から振り返ると、目の前には瀬戸内海が広がっています。海が近いため、切り出された石はそのまますぐに接岸している船に積み込まれたことでしょう。先人は実に運搬しやすいところに丁場を設けたのですね。
天狗岩丁場がいかに珍しく、歴史的にも貴重なスポットであるか、おわかりいただけたでしょうか。小豆島のもう一つの顔を知るのにも貴重なところゆえ、天狗岩丁場にもぜひ足を運んでみてください。

天狗岩丁場の基本情報

住所:香川県小豆郡小豆島町岩谷
入園料:なし
アクセス:坂手港より車で約20分
2022年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
大坂城石垣石丁場跡(小豆島石丁場跡)「天狗岩丁場」―うどん県旅ネット(外部リンク)
https://www.my-kagawa.jp/point/486/

【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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