2023-01-26
石清水八幡宮といえば、古来、武家の崇敬を集めた京都府八幡市の神社として、その名を知る方も多いでしょう。しかし、奈良にも同じ名前を持つ神社があること、ご存知ですか?その名も「元石清水八幡宮」です。社伝では、石清水八幡宮の源流にあるとされる元石清水八幡宮。しかも、そこにはたくさんの「ハト」が奉納されているのです。今回は安産祈願の社としても知られる奈良市の元石清水八幡宮をご紹介しましょう。
「元石清水八幡宮(もといわしみずはちまんぐう)」は奈良県奈良市に鎮座する神社。祭神は仲哀天皇・応神天皇・神功皇后の三神からなります。
創建は807年(大同2)。南都七大寺の一つである大安寺の僧・行教が、遣唐使として帰国の途にあった折、宇佐神宮に鎮座する八幡大神のお告げを受けて、大安寺境内に勧請したのがはじまりです。「元石清水八幡宮」の名は、後日、行教が夢で京都の男山に八幡大神をまつるように神託を受け、新たに石清水八幡宮を建立したことにちなみます。石清水八幡宮に先駆けて鎮座しているという意味で「元石清水八幡宮」と呼ばれるようになったわけですね。
社伝が錯綜しており、創建をめぐる元石清水八幡宮と石清水八幡宮との関係については不明な部分も多いのですが、どちらも宇佐神宮由来の由緒ある神社であることは間違いありません。
大江親通の『七大寺巡礼私記』に「(大安寺の)東塔の北に在り」と記されているように、現在も大安寺東塔跡の北側に鎮座しており、西から東へ向かって、長い参道がのびています。
参道を進むと、中門が見えて来ます。中門は室町時代の建立で、奈良市指定有形文化財となっています。
中門の奥にある朱塗りの建物が本殿。本殿をとりかこむようにして、さまざまな摂社が配置されています。
拝殿には、絵馬がいくつも奉納されています。元石清水八幡宮がいかに崇敬されてきたかが、絵馬の多さからもわかります。
拝殿を通して本殿を拝むと……え?アレは何!?狛犬のまわりに見られるものはいったい何でしょうか?
本殿の軒下にたくさんあるのは、ハトを模した奉納品。しかし、なぜ、奉納品がハトなのでしょうか?これは元石清水八幡宮の伝承にちなんでいます。
伝承によると、神功皇后が朝鮮半島に出兵した折、神功皇后の皇子である後の応神天皇を元石清水八幡宮の西を流れる菰川の堤に菰にくるんで置いていたところ、社の方から飛んできたハトが、菰の上で応神天皇を育てたとのこと。この伝承により、元石清水八幡宮は「子安八幡社」とも呼ばれているのです。
つまり、ハトは「子安八幡社」の別称にちなみ、安産祈願に訪れた参詣者がその御利益を願って奉納したものなのです。
その多くは素焼きのハト。まさしくハトづくしです。しかし、これほどまでにたくさんのハトが奉納されているとは、驚きます。
ハトは本殿のきざはしにも置かれています。安産を願う人がいかに多いかがうかがえますね。
元石清水八幡宮が「子安八幡社」の名でも崇敬されている要因は、もう一つあります。それが、境内にある写真の樹木。表面に見られるコブ状の部分が子どもを抱いているように見えることから「子授けの木」と呼ばれ、崇敬されているのです。
珍しいといえば、こちらの「異木の夫婦御神木」も同様。よく見ると、ヒノキとクスノキという別の種類の樹木が寄り添うように生えているのが、おわかりいただけるでしょう。
夫婦円満の象徴としての「夫婦御神木」もお見逃しなく。
授与品として、絵馬などのほか、御神塩や御神米をいただくこともできます。お塩やお米はお料理にも使えるので、嬉しいですね。
元石清水八幡宮では、応神天皇が菰の上で育てられたという社伝にちなみ、毎年、真菰が栽培されています。
写真は真菰で作られたアマビエ。新型コロナウイルス退散を願って作られたものですが、真菰で作られたアマビエは珍しいので、ぜひご覧ください。
元石清水八幡宮がいかに由緒ある神社であるか、おわかりいただけたでしょうか。特にハトの奉納品は目を見張るものがあり、必見。安産やお子さまの健やかな成長を願う方はもちろん、奈良観光を目的とした方も元石清水八幡宮に参拝してみてください。
住所:奈良県奈良市東九条町1316
電話番号:0742-62-3240
アクセス:奈良交通バス「大安寺バス停」下車徒歩約10分
2023年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
元石清水八幡宮(外部リンク)
https://hachimanjinja.net/
【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司
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