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何に見える?圧倒的な存在感を放つ香川県・小豆島の巨樹

2023-02-02

香川県の小豆島を代表する樹木といえば、多くの人がオリーブを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、オリーブだけが小豆島を代表する樹木ではありません。瀬戸内海の温暖な気候によってすくすく成長し、「巨樹」の名にふさわしい天然記念物クラスの植物も複数生育しています。今回は小豆島における巨樹の代名詞というべき「宝生院のシンパク」と「誓願寺のソテツ」をご紹介しましょう。

日本最大!宝生院のシンパク

写真:乾口 達司

宝生院は香川県小豆郡土庄町にある寺院。小豆島八十八ヶ所霊場第54番札所に当たっており、境内には51番および第52番の札所も置かれています。宝生院を訪れたら、まずは本堂にお参りしましょう。
今回、ご紹介するシンパク(真柏)は境内の東側の区画にあります。

写真:乾口 達司

写真がそのシンパク。シンパクはヒノキ科ビャクシン属の常緑針葉高木で、宝生院のシンパクは周囲約16.9メートル、樹高約20.9メートル。文化庁によると、「既知のシンパクのうち最大のものである」(文化遺産オンライン)とのこと。樹齢は1600年以上とされ、第15代応神天皇が手植えをしたといういい伝えも残されています。
宝生院のシンパクは、現在、国の特別天然記念物に指定されています。シンパクのなかで特別天然記念物に指定されているのは、このシンパクだけ。そこからも、いかに貴重なシンパクであるか、おわかりいただけるでしょう。

写真:乾口 達司

大空へとのびる枝はいまなお青々としており、樹齢が1600年を超えているとはとても思えないほどの枝ぶりです。

聖獣がいる!?巨大な幹まわり

写真:乾口 達司

外観は複数のシンパクが集まっているように見えますが、ご覧のように、すべての枝が1本の幹から分かれています。幹は地上1メートルほどのところで三方に分かれ、支幹が上方へとのびていますが、支幹自体も太く、見るものを圧倒します。

写真:乾口 達司

幹まわりをじっくりご覧ください。写真の部分、何に見えるでしょうか。宝生院では、幹に見られる3箇所の模様を仏教の聖獣にたとえており、こちらは上方へ昇ろうとしている「龍」の姿に見立てられています。

写真:乾口 達司

こちらは鼻の長い「象」。ほかにも、「亀」がいるといわれていますが、「亀」はどこにいるのか、実際に現地を訪れ、ご自身の目でお確かめください。

周囲にめぐらされた木製の歩道や支柱

写真:乾口 達司

このように樹齢1600年以上とされる宝生院のシンパクは、現在もなお元気に育っているかのように見えます。しかし、実際には、われわれが思っているほどには、その生育状態は良くないとされています。
特に、近年、見学者の増加にともない、幹のまわりの土壌が踏み固められることで、土壌の保水力や透水性、通気性の悪化が懸念されてきました。その防止対策として、現在、幹の周辺に木製の歩道が設置され、地面に直接的なストレスを与えない配慮がなされています。
したがって、シンパクを見学する際は歩道の上を歩き、地表に降りないようにしてください。

写真:乾口 達司

巨大な樹木ゆえに、幹自体を自分の力で支えることも困難な状態です。何本もの支柱によって幹が支えられているという光景からは、宝生院のシンパクがいかに巨大であるかということを思い知らされるとともに、シンパクの倒壊を防ごうという地元の方々のひたむきな思いがよく伝わってきますね。
<宝生院のシンパクの基本情報>
住所:香川県小豆郡土庄町北山412
拝観時間:午前8時〜午後5時
拝観料:無料
アクセス:土庄港より車で約12分

石柵からはみ出す誓願寺のソテツ

写真:乾口 達司

宝生院のシンパクに負けず劣らず、大きなソテツ(蘇鉄)が生育しているのは、小豆島町にある誓願寺。楼門を抜けると、目の前に写真のソテツが姿を現します。根元の周囲は約8.1メートル、高さは6メートルにおよび、国指定天然記念物となっています。
元禄時代、当地で廻船業を営んでいた豪商・塩屋金八が長崎方面から持ち帰ったものといわれていますが、誓願寺の伝承では、奈良時代の高僧・行基お手植えのソテツであるとされています。
伝承の当否はともかくとしても、石柵からはみ出すほどの大きさに圧倒されること、間違いありません。

写真:乾口 達司

誓願寺のソテツもかなり大きいため、石製の支柱が何本も下から幹を支えています。ちなみに、幹を支えている石柱は、地元・小豆島で産出した岩石から作られています。

生々しいまでの生命力!ソテツの様子

写真:乾口 達司

近くに寄ってみましょう。葉はいまなお青々としています。
中央にあるのは「胞子葉」と呼ぼれる部分。胞子葉は、その名のとおり、胞子をつけるために分化した葉であり、雌株ではこのなかに種子がつき、季節によっては薄いピンク色の種子を見ることができます。

写真:乾口 達司

幹は途中から5本の太い枝に分かれ、そこからさらに数多くの枝が四方八方にのびています。枝がうねうねとのびる様子は何とも生々しく、誓願寺のソテツの圧倒的な生命力が感じられます。
<誓願寺のソテツの基本情報>
住所:香川県小豆郡小豆島町二面571
拝観時間:自由
拝観料:無料
アクセス:池田港より車で約10分

小豆島の巨樹をめぐろう

宝生院のシンパクと誓願寺の大ソテツの圧倒的な存在感、写真からもお分かりになりましたか?現地で実物を目の当たりにすると、写真を見たときの印象よりもさらに大きいという印象を抱くことでしょう。瀬戸内海の温暖な気候によって育まれた小豆島の巨樹をぜひ見てまわってください。
2023年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
宝生院のシンパク―文化遺産オンライン(外部リンク)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/206423
誓願寺のソテツ―文化遺産オンライン(外部リンク)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/173125

【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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