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安珍・清姫ゆかりの地!和歌山県「道成寺」は文化財の宝庫

2023-04-16

「安珍・清姫伝説」といえば、謡曲や歌舞伎で知られる説話。結婚を約束しながら裏切られ、遂には蛇へと変化する女性の逸話を題材にしたものですが、その舞台となるのが、現在の和歌山県日高川町にある「道成寺」です。しかも、道成寺は8世紀初頭に創建された古刹だけあり、国宝をふくむ数々の文化財も有しているのです。今回は安珍・清姫伝説ゆかりの寺院であり、文化財の宝庫としての魅力も有する道成寺をご紹介しましょう。

701年創建と伝わる古刹・道成寺

写真:乾口 達司

安珍・清姫伝説で知られる「道成寺 (どうじょうじ)」は、和歌山県日高川町にある寺院。その歴史は古く、701年(大宝1)、文武天皇の勅願によって創建されたとされます。しかし、中世にはいると、次第に衰微。羽柴秀吉による紀州征伐によって荒廃しました。その後、江戸時代に入って復興事業が進められ、現在の伽藍となっています。
写真は国の重要文化財となっている本堂。入母屋造・本瓦葺で、1357年(正平12)の建立。中世以降の兵火にかからずに残ったため、堂内に安置されていた仏像が数多く現存します。そして、それが道成寺を和歌山県有数の文化財の宝庫とする要因となっています。

写真:乾口 達司

写真は本堂の内部を撮影したものですが、とりわけ、重要なのは、本堂が焼失を免れたことで、内陣の奥に安置された本尊が現在まで伝わっていること。実は道成寺には、南向きと北向きの2体の本尊が安置されていたのです。
南北両方の本尊はいずれも木造千手観音立像。3メートル近い大像で、南向きの本尊は9世紀頃の作。現在は国宝に指定されています。珍しいのは、南北それぞれの本尊の腕の本数。千手観音像は一般的に42本の腕で千本の手を表すことが多いのに対して、こちらの本尊はいずれも44本の手を有しています。
現在、南側の本尊は日光菩薩・月光菩薩と伝わる2躯の脇侍とともに宝佛殿に安置されており、常時、拝観可能。北側は秘仏となっています。

三重塔や仁王門

写真:乾口 達司

境内には、ほかにもご覧いただきたい建造物があります。
たとえば、こちらは和歌山県指定有形文化財となっている三重塔。1764年(宝暦14)に再建されたものです。

写真:乾口 達司

仁王門は1691年(元禄4)の建立。本堂と仁王門、それに続く石段が一直線に並んでおり、ご本尊が仁王門をくぐって参詣する人びとを見守り、迎え入れているかのような伽藍配置となっています。

写真:乾口 達司

仁王門にいたる正面の石段の数は62段。能の『道成寺』や歌舞伎の『京鹿子娘道成寺』などで見られる「乱拍子」のシーンのもとになった石段です。
注目していただきたいのは、石段の両脇に盛られた土手の部分。よく見ると、土手は逆ハの字に開いています。それにより、石段の下から上を見上げると、頂上部分が実際よりも近くに見えるように錯覚させる仕掛けとなっているのです。珍しい構造なので、参拝の折には、ぜひ石段の下から上を見上げてみてください。

絵説き説法も!安珍・清姫ゆかりのスポット

写真:乾口 達司

画面右奥に見える宝佛殿では、先ほどご紹介した南向きの本尊・木造千手観音立像をはじめとする国宝や重要文化財クラスの仏像、その他の宝物を拝観することができます。木造千手観音立像を中心にしてさまざまな仏像がずらりと居並ぶ光景は壮観。道成寺が和歌山県有数の仏像の宝庫であることを実感できるでしょう。
もちろん、安珍・清姫伝説ゆかりの寺院ゆえ、物語にちなんだ見どころも満載。手前の縁起堂では、絵巻物を見ながら、安珍・清姫の物語を知ることのできる絵説き説法もおこなわれています。まずはそこで安珍・清姫伝説の概要を学びましょう。

写真:乾口 達司

写真は境内にある初代の鐘楼跡。
旅の僧・安珍に見初められたがために恋の炎を燃やすことになった清姫が、安珍から裏切られたことを悟り、大蛇となって道成寺の鐘のなかに逃げ込んだ安珍を焼き殺すという安珍・清姫伝説。そう、こちらの鐘楼には、かつて安珍が逃げ込んだ鐘が吊り下げられていたのです。その証拠に、周辺からは焼けた土の痕跡も検出されているとのこと。安珍・清姫伝説は単なる伝説などではなく、実際に起こった出来事だったかも知れないのです。

写真:乾口 達司

本堂と三重塔とに挟まれるようにしてあるのは「安珍塚」。その名のとおり、焼き殺された安珍をまつったところとされています。

道成寺ゆかりの「つりがねまんじゅう」

写真:乾口 達司

道成寺に参拝したら、門前に店舗を構える雲水の「つりがねまんじゅう」をお土産として求めてみてはいかがでしょうか。「つりがねまんじゅう」は安珍が逃げ込んだ道成寺の釣り鐘を模したものであり、白あん・黒あんの2種類があります。
旅のよい思い出となりますよ。
安珍・清姫ゆかりの道成寺が国宝・木造千手観音立像をはじめとする仏像の宝庫でもあること、おわかりいただけたでしょうか。安珍・清姫ゆかりのお寺が古代以来の名刹であったからこそ、あのような出来事もあったということを認識されるはず。道成寺に参詣し、安珍・清姫のみならず数々の寺宝もご堪能ください。

道成寺の基本情報

住所:和歌山県日高郡日高川町鐘巻1738
電話番号:0738-22-0543
アクセス:JR道成寺駅より徒歩約7分
2023年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
道成寺(外部リンク)
http://www.dojoji.com/index.html

【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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