2023-08-04
母が亡くなり天涯孤独になった年、夫にプロポーズされて結婚した私。不妊という悩みを抱えながら、兄弟や親戚の多い夫の家族に必死に馴染もうと頑張った私たち夫婦が、本当の家族とは何かを知るお話です。
夫しか家族がいない私にとって、夫の家族はうらやましい存在でした……。
せっかく家族になったのだから、大切にしたいし認められたい。そんな気持ちから、たとえ嫁いびりをされようが、親戚にこき使われようが、なんとか頑張って過ごしてきた主人公。最初は夫の家のしきたりの「女は着物を着る」ということができただけで、家族の一員になれた気がして、つらいことも頑張れました。しかしながら、何年たっても扱いは変わらないうえ、親戚の集まりではセクハラまで!しかも、セクハラをしてきた男性は、親戚の中でも権力のある人だったらしく、自分がセクハラをした事実を捻じ曲げて責めたてたため、それを鵜呑みにした他の親戚からも責められます。見かねた夫が「帰ろう」と助け舟を出してくれますが、主人公にとって何よりもつらかったのは、親戚に誤解されて責められることよりも、子どもがいないことを責めらること。そして、不妊の原因を抱えた夫が、自分自身を責めていることでした。
夫以外に家族がいない主人公だからこそ、妊娠への気持ちは人一倍強く、唯一の家族である夫が自分自身を責め続けることは苦しかったことでしょう。セクハラをしてきた男性は、自分の分が悪いからとただ悪態をついて事実をうやむやにしたかっただけでしょうが、その言葉は主人公夫婦のような人たちを、想像以上に深く傷けることになります。セクハラという行為だけでなく、こういったデリカシーのない言葉を投げる人の性格は残念ながら変わりません。そのため自分自身が必要以上に傷つかないためにも、自分の気持ちを大切にし、人を傷つける人との距離を取ることが1番の解決策かもしれませんね。
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