2023-08-05
手に吸い付くようなぼってりとした丸みが特徴の「砥部焼(とべやき)」。愛媛県の伝統工芸品で、その歴史は江戸時代まで遡ります。現在も100を超す窯元が砥部町を中心に活動していますが、「砥部焼観光センター 炎(えん)の里」もそのひとつ。こちらでは千山窯に所属する職人の手作業が見学でき、絵付けや手びねり体験も子どもから大人まで参加できると人気。窯元の作品が並ぶショップは広々としていて、見ごたえ十分です。
1階の華やかなショップを通り抜けた先に、千山窯の工房があります。一歩足を踏み入れると機械の作業音や棚に並ぶ素焼きが目に入り、非日常な空間に緊張と興奮を感じるはず。
室内には見学ルートが設けられ、製造工程すべてを見られるのが魅力。砥部焼の原料となる陶石も展示されていますが、元来は廃棄されていたもの。奈良時代より、この土地で切り出される砥石が良質として評判でしたが、その際に生じるくずを活用しようと江戸時代に試行錯誤の末に誕生したのが砥部焼だったのです。
陶石を砕いて、水を加えていくと磁土が完成。ろくろで成形し、余分な部分を削るなどの作業を経て、素焼きに。一連の流れや工程ごとに解説が表示されているので、はじめての人にも分かりやすいです。
見学の最後には間近で絵付けを見ることができます。手作業で行うことが多い砥部焼ですが、特に迷いもなく、柄をすらすらと手描きしていく動作は洗練されていて、惚れ惚れする光景です。
濃い茶色の塗料は「泥呉須(どろごす)」と呼ばれ、高温に焼くことで砥部焼に欠かせない白地に映えるコバルトブルーが浮かび上がります。
実際に砥部焼がつくられる様子を目の当たりにしたら、自分の創作意欲に火がつくことも。そうしたら2階の体験スペースへ。作業台が並ぶ大広間では、絵付けと手びねりの両方を体験できます。
日常生活にとけ込みやすい砥部焼なだけあり、絵付けできる対象もさまざま。茶わんやコーヒーカップ、そば猪口に丸皿、一輪挿しなどから選べます。
最初は鉛筆による下絵作業から。事前に自分の中で描くものを決めておくと安心ですが、参考になるイラストも準備されているので、困ったときは眺めてみたり、1階のショップを訪ねたりしてアイデアを見つけてみてください。
下絵の次は、黄・赤・緑・青の4色をそれぞれ筆で塗っていきます。力の強弱がそのまま線の太さに表れるので、先ほど見た職人の凄さが身を以て感じられるはず。
絵付けが終わった作品は本焼きを経て、約3週間後に手元に届きます。30〜40分ほどで完了する内容ですが、早ければ10分程度で終わらせる人もいれば、下絵に30分以上の時間を要す人も。
丹精込めた作品は世界にひとつだけの砥部焼。使う度に今回の旅の思い出がよみがえります。
<体験の基本情報>
受付時間:絵付け 9:00〜16:00、手びねり 9:00/11:00/13:00/15:00 の1日4枠
受付方法:電話もしくはホームページのお問い合わせフォームにて
ショップでは、砥部町にある全窯元の砥部焼が集結し、その品数の多さに圧倒されるはず。愛媛県のおみやげも販売しているので、買い物スポットとしても重宝します。
定番の唐草模様のほか、幾何学模様や草花を描いたものなど、お皿ひとつ見ても絵柄が豊か。耐久性も高く、食洗器や電子レンジに対応しているものも多いです。
窯元ごとに展示されていますが、見比べてみるとコバルトブルーの色味にも違いがあることに気付かされます。手作業を占める部分が多い砥部焼だからこそ、紋様はもちろん、色自体にもこだわりを持つ職人さんが多いのかもしれません。
見て、触って、作ってと幅広いアプローチで砥部焼の魅力を伝えている「砥部焼観光センター 炎の里」。白地に青の配色は、食材をより鮮やかに魅せてくれます。
住所:愛媛県伊予郡砥部町千足359
電話番号:089-962-2070
営業時間:9:00〜17:00(体験の受付は16:00まで)
定休日:12月31日、1月1日
アクセス:松山市より車で約30分、伊予鉄バス「砥部戎」バス停より徒歩約5分
2023年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
砥部焼観光センター 炎の里
https://www.tobeyaki.co.jp/
【トラベルjp・ナビゲーター】
浅井 みら野
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