ホーム 旅行&おでかけ > まるで兄弟古墳!奈良・明日香村「高松塚古墳」と「キトラ古墳」

まるで兄弟古墳!奈良・明日香村「高松塚古墳」と「キトラ古墳」

2023-08-21

奈良県明日香村にある「高松塚古墳」と「キトラ古墳」は、石室の大きさがほぼ同じ、壁画の内容が似ている、築造時期が重なってるなどの理由から“兄弟古墳”とも呼ばれています。国の特別史跡で、極彩色壁画は国宝にも指定されている2つの装飾古墳を訪ねてみませんか?

空前の古代史ブームを巻き起こした「高松塚古墳」

写真:モノホシ ダン

高松塚古墳は、国営飛鳥歴史公園「高松塚周辺地区」にある二段築成の円墳です。古墳の大きさは、上段直径が17.7m、下段直径が23m、高さは5mです。
7世紀末から8世紀初め頃の築造で、被葬者は、すぐ近くに天武・持統天皇陵があることから、天武天皇の皇子または正一位の役人などが推定されています。
よく知られているように、高松塚古墳は、1972年(昭和47年)3月21日、日本で初めて人物壁画が発見された古墳で、翌年には記念切手が発売されるなど、空前の古代史ブームを巻き起こしました。

写真:モノホシ ダン

高松塚古墳は、墳丘には登れませんが、古墳の周りをグルリと一周することができます。アングルによっては、シルクハットやUFOのような形にも見えます。
<高松塚古墳の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村平田444
アクセス:近鉄吉野線「飛鳥駅」から徒歩約15分
車利用の場合は、国営飛鳥歴史公園館駐車場利用

“飛鳥美人”の壁画模写に会える!「高松塚壁画館」

写真:モノホシ ダン

高松塚古墳壁画は国宝に指定されていますが、保存上、通常は非公開となっています。そこで、古墳近くに「高松塚壁画館」を建設し、石槨内部の模型と極彩色の壁画を模写・模造して展示することになりました。

写真:モノホシ ダン

館内には、中央奥に石槨模型があり、左右に東壁と西壁に描かれた彩色壁画を原寸・原色で再現しています。人物群像は、男子4人、女子4人各1組の群像が東西両壁に2組ずつ描かれています。
通称“飛鳥美人”の名で親しまれる有名な女子群像は、「西壁女子群像」のことを指します。ほかに、中国古代思想の方角の守護神「四神」も描かれていますが、朱雀だけ鎌倉時代に受けた盗掘の被害の際に失われています。
なお、壁画は切石に直接描かれているのではなく、石室内面に塗られた厚さ数mlの漆喰の上に描かれています。のちにカビ問題で話題になった壁画は、薄い漆喰を剥がすことができず、石室を掘り出して壁石ごと搬出し、古墳近くの仮設施設で修復されました。

写真:モノホシ ダン

なお、明日香村オリジナル御朱印「飛鳥乃余韻(あすかのよいん)」の高松塚古墳の御朱印(300円)は、高松塚壁画館で販売しています。印章は、飛鳥美人と副葬品の海獣葡萄鏡の美しい文様で、書は古墳の2文字が横書きになったユニークなデザインです。
ちなみに、2022年(令和4年)は、飛鳥美人が発見されてから50周年の記念イヤーでした。日本考古学史上、まれにみる大発見となった高松塚古墳で、かつての興奮を振り返ってみてはいかがでしょうか。
<高松塚壁画館の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村平田439
電話番号:0744-54-3340
営業時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
入館料:大人300円、学生(高校・大学)130円、小人(小・中学)70円
休館日:12月29日〜翌1月3日及び4、7、11、2月の第2月曜日(祝日の場合は翌平日)
アクセス:近鉄吉野線「飛鳥駅」から徒歩約15分
車利用の場合は、国営飛鳥歴史公園館駐車場利用

高松塚古墳の兄弟古墳「キトラ古墳」とは

写真:モノホシ ダン

高松塚古墳の兄弟古墳である「キトラ古墳」は、国営飛鳥歴史公園「キトラ古墳周辺地区」の阿部山に築かれた円墳です。高松塚からキトラ古墳までの距離はわずか約1.2kmです。
高松塚古墳と同じ二段築成作りの円墳で、古墳の大きさは、上段直径が9.4m、下段直径が13.8mで、高松塚古墳よりやや小ぶりです。
造られたのは7世紀末から8世紀初め頃で、被葬者は、高松塚と同様、天武天皇の皇子説、臣下説などがあり定かではありません。ただ、石室内の豪華な極彩色壁画から、かなり身分の高い人物であったことは間違いありません。

写真:モノホシ ダン

高松塚古墳から極彩色壁画が見つかってから、明日香村の人々の間では近くにもう一つ似たような古墳があると噂になっていました。
そこで、1983年(昭和58年)11月7日に、ファイバースコープによる石室内部の探査がおこなわれ、北壁に玄武が描かれていることが分かり、高松塚古墳に次ぐ我が国で2例目の大陸的な壁画古墳であることが明らかになりました。
その後のCCDカメラによる探査では、青龍、白虎、朱雀、十二支像、天文図が次々と見つかりました。

写真:モノホシ ダン

キトラ古墳の展望台からは、二上山や畝傍山など明日香村ののどかな光景を望むことができます。キトラ古墳や高松塚古墳の石室に使われている凝灰岩の石材は、直線距離で約15km先の二上山の石切場から、舟や修羅などを使い人力で運搬されました。
<キトラ古墳の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村阿部山243
アクセス:近鉄吉野線「壺阪山駅」から徒歩約15分、「飛鳥駅」から徒歩約30分

キトラ古墳を体感!「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」

写真:モノホシ ダン

キトラ古墳に隣接する「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」は、キトラ古墳の極彩色壁画を保存・管理するための施設です。年に数回、保存のために剥ぎ取られた壁画の実物も特別公開(事前申込要)され、間近で壁画をじっくりと観察することもできます。
建物の地上部分には、壁画の保管・展示を行う「キトラ古墳壁画保存管理施設」が、地下部分には大型スクリーンや石室の原寸大模型、発掘調査の歴史が学べる展示などがあります。

写真:モノホシ ダン

キトラ古墳では、石室内の天井部分に円形の中国式の天文図が描かれています。この天文図は、赤道や黄道を示す円を備えていて、現存する世界最古の中国式星図といわれています。
建物の地下1階展示室では、天文図や4面のマルチスクリーンで壁画を最大100倍に拡大した映像を見ることができます。

写真:モノホシ ダン

キトラ古墳の実物大の石室模型では、天文図や壁画も再現されています。石室の寸法は、奥行240p、横幅104p、高さ124pで、かなり狭いことが分かります。
この中に潜り込んで、天文図や四神図などの壁画を描いた絵師は、かなり大変な仕事だったことが伺えます。なお、高松塚古墳とキトラ古墳の極彩色壁画の書き手は、その共通点から同じ絵師だったと考えられています。
<キトラ古墳壁画体験館 四神の館の基本情報>
住所:奈良県高市郡明日香村阿部山67
電話番号:0744-54-5105
営業時間:9:30〜17:00(3月〜11月)、9:30〜16:30(12月〜2月)
(入館は閉室の30分前まで)
入館料:無料
休館日:4、7、11、2月の第2月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始
アクセス:近鉄吉野線「壺阪山駅」から徒歩約15分
車利用の場合は、キトラ古墳周辺地区第一・第二駐車場利用

天文図と朱雀がデザインされた「キトラ古墳の御朱印」

写真:モノホシ ダン

また、明日香村オリジナル御朱印「飛鳥乃余韻」のキトラ古墳の御朱印(300円)は、「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」の売店で購入できます。キトラ古墳の御朱印は、壁画に描かれた天文図と朱雀がデザインされた素敵なものです。

明日香村で古墳めぐりツアーを楽しもう!

いかかでしたか。ご紹介した高松塚古墳やキトラ古墳の周辺には、ほかにも「天武・持統天皇陵」や、飛鳥時代の天皇陵の象徴である八角形の墳丘「牽牛子塚古墳」などの見どころが目白押しです。
近鉄飛鳥駅前でレンタサイクルなどを借りて、軽快に古墳めぐりツアーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
2023年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
高松塚古墳(外部リンク)
https://www.asuka-park.jp/area/takamatsuzuka/tumulus/
キトラ古墳壁画体験館 四神の館(外部リンク)
https://www.asuka-park.jp/area/kitora/midokoro/#midokoro01
あさがお塚!奈良・明日香村「牽牛子塚古墳」は美しい八角墳
https://www.travel.co.jp/guide/article/47906/

【トラベルjp・ナビゲーター】
モノホシ ダン

関連記事

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

Facebook

あなたにおすすめの記事

P R
お悩み調査実施中! アンケートモニター登録はコチラ

eltha(エルザ by オリコンニュース)

ページトップへ