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世界的ワインの祭典“栄光の3日間”の街「ボーヌ」を歩く

2023-10-21

いわずと知れたワインの名醸地・フランスのブルゴーニュ。世界遺産になったワイン街道でも、特にコートドール(黄金の丘)と呼ばれる地域は世界的に有名なワインを生みだします。ご紹介する「ボーヌ」はその中心にある街。中世の面影残る街には、かつてはブルゴーニュ公家も居住し、11月に行われるワインの祭典「栄光の3日間」には世界中から人々が集まります。そんな“ワインの首都”ともいわれるボーヌをめぐってみましょう。

世界最高峰の“ロマネ コンティ”も生み出す丘「コートドール」

写真:万葉 りえ

ローマ時代からワインの醸造が行われてきたブルゴーニュ地方。世界遺産になっているワイン街道を通っていけば、見渡す限りの丘陵に「クリマ」と呼ばれるワインの区画畑が広がる景色を目にします。
隣同士の畑でも、土や風、日照などで異なるワインの味。ブルゴーニュでは、それに気づいた人々が古くから畑ごとにワインの味を昇華させていきました。
1200以上もあるクリマ(区画畑)。その中でも、特に高品質のワインを生みだす畑が集まっているのがコートドール(黄金の丘)と呼ばれる地域です。そこにはコンティ公が、ルイ15世の寵姫だったポンパドール夫人と争ってまで手に入れた畑も。そう、世界最高峰のワインといわれる「ロマネ コンティ」等の畑も広がっているのです。

写真:万葉 りえ

そのコートドールの中心にある街が、ご紹介する「ボーヌ」。ここはディジョンに首都を移す11世紀まで、ブルゴーニュ公が居を構えていた古い街。城壁に囲まれた旧市街に見所も集まっているので、大変観光しやすくなっています。
大きな屋根が特徴的な市場の建物には、観光案内所も入っています。フランスの小さな町のゆったりした空気を醸し出しているここが、ワインの祭典「栄光の3日間」の際には、世界各国からの業者や観光客でうめつくされる場所になります。
<観光案内所の基本情報>
住所:Pl. de la Halle, 21200 Beaune

写真:万葉 りえ

栄光の3日間の祭典では、まず土曜の夜に「ブルゴーニュ利き酒騎士団」の本部が置かれているクロ ド ヴージョ城で一年で一番大事な会合が行われます。それが、利き酒騎士団の叙任式。
そしてお祭りの目玉が、翌日曜日に開かれる「オスピス ド ボーヌ」が主催するワインのオークションです。高級ワインとして知られるオスピス ド ボーヌ。まずは、そのきっかけとなった、こちらの歴史的施設に行ってみましょう。

ブルゴーニュの宝「オスピス ド ボーヌ/オテル デュー」

写真:万葉 りえ

「オスピス ド ボーヌ」別名「オテル デュー(神の館)」と呼ばれるこちらの建物。道路側は厳めしい外観をしていますが、中へと入っていけば全く別。鮮やかな色合いの建物が庭を囲みます。
ここができたのは、百年戦争の影響で社会が混乱していた時代。さらにペストも蔓延していた1443年に、貧しい人々を救済するために造られたのがこの施療院でした。
20世紀まで使われ続けたその施療院が、現在博物館となって一般公開されています。イヤホンガイドは日本語にも対応しているので、説明を聞きながら周ってみましょう。

写真:万葉 りえ

両壁にベッドがズラリと並ぶ大病室をはじめとして、薬部屋や治療道具が展示された部屋、食事を賄っていた厨房なども当時のまま。そこには修道女たちが働いていた様子も再現されているので、わかりやすく見学できます。
ここを慈善施設として造ったのが、ブルゴーニュ公国の宰相だった二コラ ロランと、その妻ギコーヌ ド サランでした。そして二人は、貧しい人々を次世代になっても救っていけるようにと心血を注いでいったのです。

写真:万葉 りえ

一つのベッドに二人を寝かせるほど、貧困に苦しむ人が多かった時代。後々まで施療院を維持していくため、大きな力としたのがブドウ畑の寄進でした。
財務に優れていたロランは、貴族などから寄進してもらった畑のブドウでワインを醸造し、その利益で人々を救っていくようにしたのです。しかも「オスピス ド ボーヌ」の名に恥じない、高品質のワインを生み出すブドウ畑を。
そのクオリティ高いワインの販売は現代も続いており、それが今、世界的なワインの祭典になっています。その始まりがこの施設。ロランとギコーヌの想いの詰まったブルゴーニュの宝をぜひご覧ください。
<オスピス ド ボーヌの基本情報>
住所:2 Rue de l’Hotel Dieu, 21200 Beaune
電話番号:+33-0-3-80-24-45-00
入館料:12ユーロ

ブルゴーニュ公国の最高位に位置していた ノートルダム大聖堂

写真:万葉 りえ

街の中心にあるのが、こちらのノートルダム大聖堂です。初めの教会は1000年頃に建てられましたが、ボーヌの街の繁栄を表すためにユーグ2世により1130年頃から再建され、その後拡張や修復が行われていきました。
1148年の教皇勅書では、ディジョンのサン ベニーニュ大聖堂に次ぐブルゴーニュ公国の重要な教会とされています。

写真:万葉 りえ

大きな街の大聖堂となると、空に向かってそそり立つように造られたゴシック建築が多いのですが、こちらは11世紀後半に建てられた後期ロマネスク様式が中心の建物。
入口は1330年代に建てられた、尖頭型のアーケードがあるブルゴーニュ・ゴシックのスタイルですが、もっと前に建てられている内部は、ブルゴーニュ・ロマネスクのスタイル。内部も美しい乳白色で統一されており、フランス歴史的記念物に指定されています。

写真:万葉 りえ

人々に教えを説いたステンドグラスも見やすい高さになっています。差し込む光で浮かび上がる美しさをぜひご覧ください。
<ノートルダム大聖堂の基本情報>
住所:4 Impasse Notre Dame, 21200 Beaune,

街の商店街の散策も楽しもう

写真:万葉 りえ

オスピス ド ボーヌや観光案内所はアル広場を囲むように建っていて、その広場から東方向に延びるのがモンジュ通りです。ここは道の両側に食料品や衣類、雑貨などを扱う店が並ぶ商店街。
ご覧ように、昼前ともなるとパン屋の前にはカスクート(バケットを使ったサンドイッチ)を買いに来た地元の人が並びます。

写真:万葉 りえ

そのパン屋のすぐ先でモンジュ通りはカルノ通りと交わるのですが、ここもちょっとした広場のようになっています。屋外で食事を楽しむ人がいたり、音楽を奏でる人がいたり・・・。

写真:万葉 りえ

さらにカルノ通りに入っても店舗が並び、フランスでよく見かけるスーパー「CASINO」もあります。
昼食時でも日本の商店は客の対応してくれますが、フランスの個人商店は店を閉めます。見学の時間がお昼にかかりそうな場合は、気になる店には早めに入っておきましょう。アル広場からカルノ通りにかけてはレストランが幾つもあるので、時間があるなら食事をしながら過ごすのもおすすめです。

ブルゴーニュワインの魅力にも触れてみる

写真:万葉 りえ

ワインの首都ともいわれているこの街には、当然ワインに関係する店が沢山あります。「ワイン市場」はブルゴーニュワインを集めた試飲販売所で、十数か所のワインを飲み比べられるようになっています。

写真:万葉 りえ

それ以外にもワインを販売している店は、オスピス ド ボーヌの近辺や、商店街の方にも。また、ワインの世界をもっと探求したいと思う方は、「ワイン博物館」もおすすめです。建物は公爵の元居城。昔使われていた機械や歴史などが紹介され、ブルゴーニュワインを奥深く楽しめるでしょう。
<ワイン博物館の基本情報>
住所:24 rue Paradis ou, Rue d’Enfer, 21200 Beaune

写真:万葉 りえ

さらにこの街には、フランスの有名マスタード「ファロ」社のマスタード博物館もあります。現在も風味を損なわないように石臼挽きで作っている、家族経営のファロ社。ポールボキューズなど有名シェフが愛用するマスタードの製造工程を見学できます。
<Fallotマスタード博物館の基本情報>
住所:31 Rue du Faubourg Bretonniere, 21200 Beaune

ワインのシャトーめぐりもおすすめのボーヌ

10世紀頃に権勢を誇ったクリュニー派修道院。その堕落した派を離れ、清貧な生活を始めたのがシトー派と呼ばれる修道僧達でした。生活は質素でもワインは神に捧げる大切なもの。神のため最高のワインを造るのが彼らにとって大事なことでした。そうやって磨かれていったブドウ畑の区画選び。
ボーヌの街の人口は6000人ほどで、現在も住人の多くがワイン関連の仕事に従事しています。そして真意は不明ですが、街を囲む城壁の地下には現在もかなりの量のワインが貯蔵されているとか…。
街の周りにはワインを造るシャトーやメゾンが沢山。古いものでは11世紀ごろの建物もあり、広大なカーブ(地下貯蔵庫)などの見学や試飲ができるツアーもあります。
関連MEMOではオスピス ド ボーヌなども詳しく説明しています。ぜひワインによって育まれた街の空気を感じてきてください。
2023年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
壮麗な「オスピス ド ボーヌ」は ワインが守り伝えた中世の施療院
https://www.travel.co.jp/guide/article/47764/
ブルゴーニュ公国の都「ディジョン」で 歴史と美食の街散策
https://www.travel.co.jp/guide/article/47506/

【トラベルjp・ナビゲーター】
万葉 りえ

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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