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運慶のデビュー作も!奈良・柳生街道「円成寺」は紅葉の名所

2023-11-10

奈良県奈良市の柳生街道沿いに位置する「円成寺(えんじょうじ)」は、平安時代中期の創建と伝わる名刹です。境内にある国の名勝に指定された庭園は、浄土式と舟遊式をあわせた当時の貴重な遺構です。寺宝の数も多く、国宝の大日如来座像は、鎌倉時代の天才仏師・運慶のデビュー作ともいわれています。柳生街道随一の紅葉の名所として知られる円成寺で、美しい紅葉と若き日の運慶の傑作に会いに行ってみませんか?

柳生街道随一の紅葉の名所「円成寺」とは

写真:モノホシ ダン

境内の楼門前に広がる円成寺庭園(名勝)は、平安時代末期に円成寺の中興の祖・寛遍(かんぺん)僧正によって築かれ、浄土式と舟遊式を兼備した寝殿造系庭園です。
かつては、池泉中央の中島に、南北それぞれの岸から朱塗りの橋が架けられ、楼門を通って阿弥陀堂へと続く参道がありました。
現在は橋は失われてしまいましたが、庭園の池越しに眺める楼門は美しく、さながら極楽浄土を感じさせてくれる落ち着いた佇まいです。

写真:モノホシ ダン

円成寺は、明治時代の神仏分離令以降は衰退し庭園も荒廃。伽藍と池泉の間には、道路も走る有り様でした。
その後、伽藍の修理が開始され、道路も移設するなどして、1976年(昭和51年)には、すべての発掘調査や整備が完了し、平安時代の景観を取り戻しました。
楼門前の名勝庭園は、庭園の木々が色づくと、池の水面に映り込みひときわ美しい景観となります。

写真:モノホシ ダン

池を挟んで見える楼門(重文)は、近寄って見上げてみるとかなり貫禄のある素晴らしい建築物であることが分かります。現在のものは、“応仁の乱”の最中の1468年(応仁2年)に再建されたもので、三間一戸入母屋造檜皮葺の建物です。
相当に凝った作りで、組物は格式の高い和洋三手先に花肘木を使用しています。また門の正面には、忍辱山(にんにくせん)という山号の額が掲げられています。
忍辱とは、大乗仏教の教えの六波羅蜜(ろくはらみつ)の一つで、苦難や迫害に耐え、心を動かさないことです。まさにお寺の歴史そのものといえるでしょう。

内陣の柱絵“聖衆来迎図”が素晴らしい「阿弥陀堂」

写真:モノホシ ダン

本堂である阿弥陀堂(重文)は、室町時代の1466年(文正元年)に、平安時代に創建された旧本堂とほぼ同じ姿で再建されたものです。
寺院建築には珍しい舞台付きの寝殿造風で、中央階段左右に舞台が設えられています。また妻入(屋根が三角に見えるところ)を正面にしているところも変わった作りといえます。
本堂の内部には、御本尊の阿弥陀如来坐像(重文)と、それを守護する四天王像(重文)が。ほかに内陣の四本柱の柱絵、聖衆来迎図(しょうじゅらいごうず)も素晴らしい。様々な楽器を演奏し、舞い踊る諸菩薩が極彩色で描かれています。

写真:モノホシ ダン

本堂から見る楼門も、威風堂々とした風情があって見事です。現在、ここからは出入りできませんが、楼門から眺める円成寺庭園も綺麗な風景です。

写真:モノホシ ダン

本堂の西にある護摩堂では、お祀りされている不動明王に家族の安全や平穏などを祈願することができます。毎月28日には、不動明王護摩供養が営まれています。護摩木(1枚300円)に願い事を書いて祈願しましょう。

天才仏師・運慶のデビュー作「大日如来坐像」は必見

写真:モノホシ ダン

朱色が鮮やかな円成寺の多宝塔は、1990年(平成2年)に再建されたものです。新設された相應殿(そうおうでん)ができるまでは、大仏師・運慶が、20代の頃に制作したデビュー作として名高い木造大日如来坐像(国宝)が安置されていました。
智拳印(ちけんいん)を結んで結跏趺坐(けっかふざ)する大日如来像で、像高は約1m。大きな仏像ではありませんが、台座の裏の墨書銘には、造像に1年近くかけて完成したことが記され、若き日の運慶が、この像にかけた思いの丈を窺い知ることが出来ます。
現在、この像は展示施設の相應殿で、四天王立像とともに安置され、様々な向きから鑑賞できるよう配慮されていて、運慶の処女作を心行くまで堪能することができます。

写真:モノホシ ダン

運慶の大日如来坐像が、相應殿に移設された後、多宝塔には彫刻家の藤曲隆哉さんが、同じ材料、同じ技法で約8年かけて模刻した大日如来坐像が奉安されています。
円成寺を訪れたなら、平安時代後期の1176年(安元2年)と、2017年(平成29年)に製作された2つの大日如来坐像を拝見してください。

写真:モノホシ ダン

ほかに円成寺では、もう一つ国宝があります。それが本堂の東の石垣上に建つ2つの社殿です。同規模・同形式の「春日堂・白山堂」で、1228年(安貞2年)に、春日大社の本殿を移築したもので、全国で最も古い春日造社殿です。

壮大な屏風絵アート「東門」からの紅葉

写真:モノホシ ダン

円成寺の紅葉シーズンのおすすめスポットとしては、東門から望む紅葉のトンネルがあります。建物がフレームとなり、まさに壮大な屏風絵アートのような美しさです。

写真:モノホシ ダン

東門をくぐると、名勝庭園をまた違った位置から眺められます。秋の円成寺で、天才仏師として後世にその名を残す運慶のデビュー作と、紅葉美を満喫してください。

忍辱山 円成寺の基本情報

住所:奈良県奈良市忍辱山町1273
電話番号:0742-93-0353
拝観時間:9:00〜17:00 ※受付は17:00まで
拝観料:大人500円・中高生400円・小学生100円
アクセス:JR・近鉄奈良駅から柳生、邑地中村、石打行きバス「忍辱山(にんにくせん)」バス停下車すぐ
車利用の場合は、無料駐車場利用
2023年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
忍辱山 円成寺(外部リンク)
http://www.enjyouji.jp/
剣聖の里・奈良「柳生」で『鬼滅の刃』ゆかりの地をめぐろう!
https://www.travel.co.jp/guide/article/45500/

【トラベルjp・ナビゲーター】
モノホシ ダン

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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