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年末年始限定!奈良県大和郡山市「砂の道」は神さまの通り道?

2023-11-29

新年を迎えるにあたり、門松を立てたり、鏡餅を作ったりする「正月迎え」(迎春準備)をおこなう風習は全国津々浦々で見られます。奈良でも新たな年の神さま(歳神)をお迎えする準備がそれぞれの集落でとりおこなわれますが、珍しいのは、新しく運び込まれた清浄な砂を使って「神さまの通り道」を作る光景が複数の神社で見られること。
今回はその事例がいくつも報告されている大和郡山市の「砂の道」をご紹介しましょう。

白土町・白坂神社の「砂の道」

写真:乾口 達司

保仙純剛の『日本の民俗 奈良』(第一法規出版/1972年)にも紹介されているように、新年を迎えるにあたり、それぞれの集落に鎮座する神社(氏神)の境内に新しい砂を運び込む風習は、奈良県内では一般的に見られます。いわゆる「砂持ち」「砂まき」と呼ばれる風習です。
しかし、そんな「砂持ち」「砂まき」の風習の一環でありながら、新たに運んできた砂を使って一本の「道」を作る「砂の道」は珍しいものといえるでしょう。
そのような「砂の道」が各所で見られるのは、奈良県大和郡山市。写真は大和郡山市白土町の白坂神社で見られる「砂の道」です。「砂の道」と呼ぶにふさわしく、砂でかたどられた「道」が境内をまっすぐ進んでいます。

写真:乾口 達司

「砂の道」は鳥居の下をくぐり、境内の外へのびています。現在は鳥居から数十
メートルほど進んだところで途切れていますが、以前はそれぞれの氏子の家の玄関先までのびていました。つまり、神社を起点にして「砂の道」はかつて集落のなかを四方八方、縦横無尽にのびていたのです。
白坂神社の鎮座する白土町の住人の話では、「砂の道」は新たな年の神さま(歳
神)をお迎えするための通り道であるともいわれています。その伝承の真偽はともかくとして「砂の道」が神さまの通り道として認識されていること、神秘的だと思いませんか?

写真:乾口 達司

神さまの通り道であるため、当然「砂の道」は本殿の前まで続いています。よく見ると、本殿の脇に鎮座する摂社の方にものびているのが、おわかりになるでしょう。

貴重な作業風景

写真:乾口 達司

「砂の道」を作る作業は、本殿に鏡餅などをお供えしたり、注連縄を新しいものに取り替えたりする正月迎え(迎春準備)の一環としておこなわれます。したがって、白坂神社では、大晦日にその作業がされます。

写真:乾口 達司

境内の作業では、まず写真の器具を使い、地面に直線を引きます。その直線に沿ってプラスチック製の「箕」ですくった砂を盛りつけていきます。それを繰り返して一本の「道」を作るわけです。

写真:乾口 達司

境内の外では、舗装道路に下線を引くことができないため、直接、目視で直線状に砂を盛りつけます。
砂の上を人や車が通ると滑って危険であるという事情から、現在は境内から数十メートルの地点で止まっていますが、以前はその作業を集落の隅から隅まで続けていたのですから、大変な労力を要する作業であったことがわかります。
<白坂神社の基本情報>
住所:奈良県大和郡山市白土町:591
アクセス:奈良交通バス「発志院」バス停より徒歩約:10分

新庄町・鉾立神社の「砂の道」

写真:乾口 達司

こちらは新庄町の「鉾立神社(ほこたちじんじゃ)」。よく見ると、やはり鳥居をくぐってのびる「砂の道」が確認できます。

写真:乾口 達司

鉾立神社でも「砂の道」は本殿とその脇に鎮座する摂社までのびています。

写真:乾口 達司

こちらの砂は白坂神社のものよりも黒っぽい砂が使われています。
現在はホームセンターなどで買い求めた砂が使われますが、河川の護岸工事などによって、川岸の土砂が採りにくくなる前は集落の近くを流れる河川で土砂を採集されていました。
<鉾立神社の基本情報>
住所:奈良県大和郡山市新庄町243
アクセス:JR櫟本駅より徒歩約15分

観音寺町・八幡神社の「砂の道」

写真:乾口 達司

観音寺町の八幡神社でも「砂の道」が参道からさまざまな社へとのびています。

写真:乾口 達司

八幡神社でも「砂の道」は参道をまっすぐ進み、境内の外へ出ていきます。

写真:乾口 達司

境内を出た後は左右に分岐し、終わっています。八幡神社のある観音寺町でも、以前はやはり集落のなかを縦横無尽にのびていたといいます。
<鉾立神社の基本情報>
住所:奈良県大和郡山市観音寺町178
アクセス:JR郡山駅より徒歩約10分

野垣内町・春日若宮神社の「砂の道」

写真:乾口 達司

観音寺町の南方に位置する野垣内町の春日若宮神社でも「砂の道」は見られます。

写真:乾口 達司

こちらもやはり境内の外までのびていますが、よく見ると、これまで紹介してきた「砂の道」よりも薄くなっているように思えませんか?
こちらの写真は1月1日のもの。もうおわかりかと思いますが、大晦日に作られた「砂の道」は新年を迎えて神社に参拝する人たちによって踏みつけられ、作られた時点よりも薄くなっているのです。まだ1月1日ははっきりと痕跡を確認できますが、数日もすると、踏まれ続けた砂は地面と同化し、その痕跡を見出しにくくなります。
「砂の道」を見学するのであれば、やはり、大晦日から元日あたりに訪問するべきでしょう。

写真:乾口 達司

ちなみに、春日若宮神社では、拝殿の軒下に飾られた注連縄に伊勢海老も飾り付けられています。しかも、伊勢海老はボイルされたものではなく、生きたまま飾り付けられたもの。伊勢海老を注連縄に飾る風習も珍しいため、「砂の道」とあわせてご覧ください。
<春日若宮神社の基本情報>
住所:奈良県大和郡山市野垣内町17-5
アクセス:JR郡山駅より徒歩約5分

神さまの通り道?「砂の道」をめぐり新年を祝おう!

「砂の道」がいかに珍しいものであるか、おわかりいただけたでしょうか。今回は大和郡山市の「砂の道」をご紹介しましたが、大和郡山市以外にも天理市の三十八神社や磯城郡田原本町の神社でも「砂の道」の存在が報告されています。
実際に現地を訪れ、神さまの通り道ともいわれている「砂の道」を見学しながら、新しい年の到来をお祝いしてください。
2023年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
奈良、農と祭り「秋」―奈良県ホームページ(外部リンク)
https://www.pref.nara.jp/secure/175892/noutomatsuri2.pdf

【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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