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徳島「武家屋敷 旧喜多家・鉾杉」日本三大秘境でいただく郷土料理

2023-11-30

もはや絶滅とも言えそうな、古き良き日本が息づき、体感できる場所が徳島県の山奥にあります。標高1,000m級の山々がひしめき合う奥祖谷は日本三大秘境と讃えられ、平家伝説が語り継がれる場所。築250年を誇る「旧喜多家」は、この地区の長が暮らした武家屋敷です。現在は一般公開され、こちらで地元グルメの昼食をいただけます。庭先の「鉾杉」は樹齢約800年の大樹。主去った今もこの地区を見守り続けています。

空と山に囲まれた「武家屋敷 旧喜多家」

写真:浅井 みら野

暴れ川の吉野川が創り上げた大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)などの渓谷美をさかのぼり続けた先に「武家屋敷 旧喜多家・鉾杉」があります。日本の原風景を映していると言われ、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されている落合集落も、この近くです。
急峻で紆余曲折した坂道の最高地点に佇む茅葺き屋根の屋敷からは長年の歴史で培われた威厳が感じられ、それはここまでたどり着いた苦労が報われるほど。

写真:浅井 みら野

武家屋敷が建てられたのは江戸時代後期にさしかかる1763年。もともと豊臣秀吉の統治に反対だった住民を治めるために派遣されたのがきっかけで、それ以降、喜多家はこの辺り一帯の祖谷山を統治していきます。
この地域では最大規模を誇る建物は内部も見学でき、床の間や違い棚といった書院造の和室に、中央には囲炉裏が設けられた大広間も。武士の家らしく、以前は自害するための「入らずの間」もあったと言います。

写真:浅井 みら野

急こう配に生い茂る草木が自然のベールとなり、土地が切り拓かれていなければ建物の存在を見過ごしてしまいそう。そんな奥祖谷の環境に目を付けたのが源平合戦で敗れた平家でした。
壇ノ浦の戦いで生き延びた安徳天皇を平国盛は奥祖谷でかくまい、平家再興を誓いますが、惜しくも断念。その後、阿佐家と名乗り、この地で暮らし続けたというのが祖谷に伝わる平家伝説です。奇しくも喜多家も遡れば平家の末裔という家柄。夢のごとく消えた平家の存在がここでは確かに紡がれているのです。

地元の方が準備した昼食は名産品がぎっしり

写真:浅井 みら野

辺境の地では、今も自給自足に近い生活が営まれています。自分の土地を開墾し、野菜だけでなく自宅用のお茶までも栽培しますが、傾斜地での独特な農耕が評価され、世界農業遺産として認定。
この傾斜地農法で採れた野菜や、特産品である雑穀のヤツマタ(シコクビエ)などの昼食をこちらでいただけるのです。

写真:浅井 みら野

かつては大勢の村民や武士が囲んだであろう囲炉裏には、ニジマスと同じ種類のアメゴと、「でこまわし」がきつね色に炙られています。
「でこまわし」は、祖谷地方で採れる小ぶりのじゃがいも、水分が少なく硬くなった石豆腐(岩豆腐)、地元産の丸こんにゃくを串に刺した祖谷地方の郷土料理です。ほくほくのじゃがいも、大豆の旨味が凝縮した石豆腐、そして弾力のあるこんにゃくと、それぞれ異なる食感を楽しめ、甘じょっぱい味噌だれが食欲をそそります。

写真:浅井 みら野

「でこまわし」は昔から囲炉裏で作られていた料理。焦げないようにぐるぐると串を回す仕草が、阿波人形浄瑠璃の木偶(でく)を回す姿に似ていたのが名前の由来(諸説あり)。アメゴ同様に焼きたてをその場でいただけるのは何よりのご馳走。それが築250年の場所でなら、味わいもひとしおです。
<千年の歴史空間で味わう特別郷土料理の基本情報>
最少催行人数:2名
体験開始時間:11:00、12:00、13:00から選択
受付締切日:6日前まで
金額:2名16,000円、3名18,000円、4名20,000円、5名以上は1名ごとに5,000円追加
予約方法:にし阿波のサイトにて(末尾の関連MEMOに記載)
問い合わせ:一般社団法人そらの郷 0883-87-8988(平日9:00〜17:00)

武家屋敷の楽しみはここから

写真:浅井 みら野

食事を楽しんだら、食休みを兼ねてのどかなひとときに身を預けましょう。縁側からは祖谷川を挟んで対峙している標高1,000m越えの山々が見渡せます。「武家屋敷 旧喜多家」の標高も900mほどなので、いかに急こう配な地域なのかが分かるはず。
春になれば屋敷前のしだれ桜が訪れる人たちを迎え、夏には新緑、秋には紅葉といった四季折々のパノラマ風景を一望できます。

写真:浅井 みら野

「武家屋敷 旧喜多家」の内部には当時使われていた道具類も展示されているので、ぜひ見てみてください。振り子時計、おひつ、水がめなど、当時の生活必需品が並んでいて、時の移ろいや生活の変化がうかがえます。

諸行無常の世界を静観する「鉾杉」

写真:浅井 みら野

「武家屋敷 旧喜多家」に訪れたのなら、隣接する鉾神社(ほこじんじゃ)の「鉾杉」も見逃せません。樹齢は約800年で、高さは約35m、幹の太さは約11mもあり、県下随一の杉の銘木と謳われています。
実は「鉾杉」(ほこすぎ)にも平家伝説があり、この杉は平国盛が植えたと聞きますが、真実を知っているのは鉾杉のみです。山深く昔ながらの生活が今もなお続く、奥祖谷。「武家屋敷 旧喜多家・鉾杉」での時間は自然や歴史に想いを馳せられ、訪れる人を少しだけロマンチストにします。

武家屋敷 旧喜多家・鉾杉の基本情報

住所:徳島県三好市東祖谷大枝43
電話番号:0883-88-2040
営業時間:9:00〜17:00
定休日:12〜3月(冬季休業)
料金:大人310円、小人(小学生〜中学生)100円
2023年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
武家屋敷 旧喜多家・鉾杉(外部リンク)
https://nishi-awa.jp/contents/662/
千年の歴史空間で味わう特別郷土料理(予約ページ)(外部リンク)
https://nishi-awa.jp/reserve/history/828/

【トラベルjp・ナビゲーター】
浅井 みら野

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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