ホーム 旅行&おでかけ > 何だコレ!?珍しい風習を残す奈良・佐紀地区「砂モチ」

何だコレ!?珍しい風習を残す奈良・佐紀地区「砂モチ」

2023-12-05

新しい年を迎えるにあたり、暮れも押し迫った時期に「正月迎え」の準備(迎春準備)をおこなうことは、全国どこでも同じでしょう。しかし、新しく運び込まれた清浄な砂を盛り付け、付近一体を彩る「砂モチ」の風習が現在もなお見られる地域は意外と少なく、いまでははじめてその存在を知る方も多いのではないでしょうか。「砂モチ」とはいったい何?今回は奈良市・佐紀地区における珍しい「砂モチ」の光景をご紹介しましょう。

佐紀地区に鎮座する佐紀神社

写真:乾口 達司

奈良市の世界遺産「平城宮跡」をはじめ、広大な地域をふくむ「佐紀(さき)」は『日本書紀』や『古事記』にも登場する古くからの地名。その佐紀地区に鎮座するのが、こちらの「佐紀神社(さきじんじゃ)」です。
写真は「正月迎え」の準備も終わった佐紀神社の様子を撮影した一枚。「ゾウガイ」と呼ばれている珍しい形をした注連縄につい目がいってしまいがちですが、鳥居から奥へとのびる参道に目を向けると、何か不思議なものがあること、おわかりになりますか?

写真:乾口 達司

境内のなかに入ると、円錐形に盛り付けた砂、砂、砂!これこそ、今回、ご紹介する「砂モチ」です。

写真:乾口 達司

保仙純剛の『日本の民俗 奈良』(第一法規出版/1972年)にも紹介されているように、新年を迎えるにあたり、それぞれの集落に鎮座する神社(氏神)の境内に清浄な新しい土砂を運び入れる「砂モチ」「砂まき」と呼ばれる風習は、奈良県内では一般的におこなわれてきました。しかし、近年はその風習が見られる地区も限られており、そのなかにあって、佐紀地区は「砂モチ」の風習が各所で見られる点で貴重です。
円錐形に盛り付けられた砂は、境内いっぱいに広がる形で、点々と作られています。佐紀神社では、このような状態のまま、新年を迎えるのです。圧巻の光景だと思いませんか?

砂モチ作りの様子

写真:乾口 達司

砂モチは「正月迎え」の一貫としてあるため、それを作る作業はまもなく新年を迎えようかという年の瀬におこなわれます。
佐紀神社でおこなわれる「正月迎え」の作業は、例年12月30日の午後からおこなわれます。その時間帯におもむくと、氏子の方々が「正月迎え」の準備をおこなっています。

写真:乾口 達司

境内の一角には、大量の砂が運び込まれています。これが「砂モチ」の材料となる砂です。
以前は川や山土を利用していたようですが、近年はホームセンターで購入した砂を使っているとのこと。

写真:乾口 達司

砂は掃き清められた境内で順次作られていきます。

釣殿神社の砂モチ

写真:乾口 達司

佐紀神社の横には佐紀神社の摂社である釣殿神社がありますが、釣殿神社でもやはり砂モチが作られます。

写真:乾口 達司

釣殿神社は、その名のとおり、御前池のほとりに建つ神社。写真の奥はもう御前池ですが、砂モチはその際まで作られています。
<佐紀神社・釣殿神社の基本情報>
住所:奈良県奈良市佐紀町2701
アクセス:近鉄奈良線「大和西大寺駅」より徒歩約10分

亀畑にある佐紀神社の砂モチ

写真:乾口 達司

御前池の対岸には、亀畑という小字名に鎮座するもう一つの佐紀神社があります。
こちらでも砂モチが見られますが、先ほどご紹介した佐紀神社の砂モチとは異なり、小振りです。

写真:乾口 達司

その北方には小さな社がまつられていますが、ここは平安時代初期、高丘親王によって建立されたと伝わる超昇寺の遺構の一部と考えられています。
こちらの地面をよく見ると、やはり小さな砂モチが作られているのが、おわかりいただけるでしょう。
<佐紀神社の基本情報>
住所:奈良県奈良市佐紀町1716
アクセス:近鉄奈良線「大和西大寺駅」より徒歩約10分

写真:乾口 達司

写真は山上八幡神社の境内を撮影したもの。よく見ると、やはり砂モチが見られますが、山上八幡神社の砂モチの特徴は、異なる種類の土を交互に配置している点にあります。
砂モチはそれを作る氏子や神社によって異なっており、一口に砂モチといっても、バラエティーに富んでいることがわかりますね。
<山上八幡神社の基本情報>
住所:奈良県奈良市山陵町326
アクセス:近鉄奈良線「大和西大寺駅」より徒歩約10分

神社だけではない!教行寺の砂モチ

写真:乾口 達司

これまで見てきたことから、砂モチが作られるのは、地区の神社に限定されるのではないかと思う方も多いのではないでしょうか。しかし、そうではありません。
こちらは同じく佐紀地区にある教行寺の境内ですが、やはり砂モチが作られています。

写真:乾口 達司

鐘楼にもやはりたくさんの砂モチが作られていますが、これまでご紹介してきた砂モチと同様、教行寺の檀家の方々が年の瀬に作ります。

写真:乾口 達司

もちろん、新年を迎えると、砂モチは初詣に訪れた人たちによって踏みつけられ、最後は境内の砂と同化してしまいます。したがって、砂モチを見学するなら、12月30日から正月の三が日くらいまでに訪れるのがよいでしょう。
<教行寺の基本情報>
住所:奈良県奈良市山陵町
アクセス:近鉄奈良線「大和西大寺駅」より徒歩約10分

奈良市・佐紀地区で砂モチを見学しよう!

奈良市の佐紀地区でよく見られる砂モチの風習、いかがでしたか?その風習にはじめて接し、珍しさをおぼえた方も多いのではないでしょうか。年末年始に奈良市をおとずれ、いまでは希少価値の高い風習となった砂モチをぜひご覧ください。
2023年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
奈良民俗文化研究所―佐紀のスナモチ 和田の正月(外部リンク)
https://16be1f8b-dce6-4ad6-879c-707ef553dfab.filesusr.com/ugd/93e0fc_310e35f1438e42789089ee61d75a6b15.pdf

【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司

関連記事

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

Facebook

あなたにおすすめの記事

P R
お悩み調査実施中! アンケートモニター登録はコチラ

eltha(エルザ by オリコンニュース)

ページトップへ