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フランスが誇る「ヴェズレー」2つの世界遺産&美しい村へ

2024-01-17

厳しい選考基準がある「フランスの最も美しい村協会」。そこに加入しているだけでなく、「ヴェズレー」は、小高い丘の上にある村がまるごと世界遺産。マグダラのマリアに捧げられたサント・マドレーヌ教会を中心に発展し、修道院が建てられた中世初期の景観が現在も濃く残ります。
そしてここは、世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」へ向かう巡礼路の起点の地。当時と同じように現在も巡礼者が訪れる村なのです。

中世から時が止まったかのような 美しき世界遺産の村

写真:万葉 りえ

フランスの食糧庫とも言われるブルゴーニュ。ワイン造りや牧畜が盛んで、水と緑が豊かな美しい自然が残っている地です。
そこにある丘の上の村「ヴェズレー」。この村のシンボルとなっているのが、「永遠の丘」と讃えられる丘の頂部に建つサント・マドレーヌ・バジリカ(サント・マドレーヌ教会)です。
1979年という早い時期にユネスコの世界文化遺産になっており、その登録名称は「ヴェズレーの教会と丘」。教会が建つ丘全体、つまりここは、村ごと世界遺産として登録されているのです。
ここが村の玄関口。ここからもう、中世へとタイムトリップして行くみたいですよね。

写真:万葉 りえ

丘の上では中心を一本の道が教会まで通っており、その周りに家々が集まっています。文化人も訪れていたこの村には、作家ロマン・ロランが終生の住処とした家も残っています。
カーブを描きながら教会へと続く道沿いには、カードや可愛らしい文具など土産や巡礼記念の品を売っている店も数軒。そんな雰囲気も楽しみながら1000年以上人々が歩んできた道を上がっていきましょう。
<ヴェズレー観光案内所の基本情報>
住所:サンテティエンヌ通り 89450ヴェズレー
電話番号:+33-3-86-33-23-69
アクセス:アヴァロン駅からタクシーかレンタカー利用

巡礼の道を導く ホタテ貝

写真:万葉 りえ

もとは隣接するサン・ペールにあった修道院が、ノルマン人の襲撃と破壊によって移転してきたというこの村の教会。861年にベネディクト会の修道士によってヴェズレーの丘の頂に建てられました。
この時、一人の修道士がマグダラのマリアが住んでいたとされるサン・マクシマンへ赴き、既に亡くなっていた彼女の聖遺物を持ち帰ったとされています。
そこで878年に、ローマ教皇ヨハネス8世がこの教会をマグダラのマリアに捧げます。そして聖遺物が公開されると、数々の奇跡が起こったというのです。

写真:万葉 りえ

そんな話が広まれば多くの巡礼者が訪れて祈りをささげるようになります。そしてスペインにあるキリスト教の聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」への巡礼路の起点の一つともなっていったのです。
巡礼路の標としてホタテ貝が使われる理由については諸説あるようですが、この村でもこのようにホタテ貝をいくつも見ることができます。

教会入口で迎える“ロマネスク彫刻の傑作”

写真:万葉 りえ

当時の人々と同じように巡礼の道を進んでいくと、やがて丘の頂上に建つサント・マドレーヌ・バジリカが見えてきます。
現在の建物は、1120年に大火災に見舞われた後に、1138年にロマネスク様式で再建されたもの。さらに13世紀ごろに一部がゴシック様式に改装されています。

写真:万葉 りえ

11〜13世紀は沢山の巡礼者でにぎわった村も、聖遺物が違っていたことや百年戦争でフランスが荒廃したことなどからやがて廃れていきました。そして再び脚光を浴びるようになったのが19世紀。修復が行われ、見事なロマネスク建造物として人気を集めるようになったのです。
建物に入る際に見ていただきたいのが、正面の扉の上にあるこちらの石の彫刻ティンパヌムです。「使徒に使命を与えるキリスト(聖霊降臨)」は12世紀ごろからキリスト教徒の心のよりどころとされたもの。ロマネスク彫刻の傑作と言われています。

写真:万葉 りえ

内陣へと入っていけば、大きな街のゴシック様式の大聖堂とは違う雰囲気を味わえるでしょう。東西の長さは約120mもあるという巨大な聖堂ですが、このように柔らかな光が降り注ぎます。
ロマネスク様式で、紅白2色で表現された身廊の美しいリブ・アーチ。そのアーチが並ぶ様子や、ギリシャ神話や聖書を題材にした柱頭装飾も見どころです。

十字軍も見下ろした丘の景色

写真:万葉 りえ

さらにこの教会では、地下もご覧になれます。
マグダラのマリアの聖遺物はクリプト(地下聖堂)に収められていたといいます。現在でも祈りがささげられるようにイスなどが置かれています。時が止まったかのような空間にも降りてみてください。
<サント・マドレーヌ・バジリカ(サント・マドレーヌ教会)の基本情報>
住所:バシリカ広場 89450 ヴェズレー
アクセス:観光案内所から徒歩約5分

写真:万葉 りえ

そしてここヴェズレーは、十字軍の遠征にも関わった歴史を持っています。
1096年にイスラム教勢力から聖地エルサレムを奪還する目的で派遣された第1回十字軍。それが成功を収めた後もイスラム勢力との争いは続き、1146年にフランス王や神聖ローマ皇帝、各地の諸侯が集まって協議したのがここヴェズレーでした。
また、1189年に第3回十字軍が結成された際は、イギリス王とフランス王がヴェズレーで出会い遠征に赴いています。そんな歴史上重要な場面の舞台となったヴェズレー。教会内を見学したら、その裏側へと周ってみましょう。

写真:万葉 りえ

丘の上からの素晴らしい景色をご覧いただけます。果樹園や畑の間に見えるのは、高い塔を抱く教会を中心にして人々が生活している村々。「使徒に使命を与えるキリスト(聖霊降臨)」の彫刻の下で十字軍としての想いを確かめ合った兵士たち。そんな人々も見たであろう丘からの眺めです。

巡礼路としても世界遺産になっているヴェズレー

写真:万葉 りえ

またこのすぐ近くには古い時代に作られた貯水池跡があり、説明板もあります。かなり大きな設備であったことから、丘の上で水を確保することの大変さがわかるでしょう。
そして帰路へと道を下るときには、聖堂の前にあるこちらの店に寄ってみてください。巡礼の人々向けの品だけでなく、絵本や小さなぬいぐるみなども。普通の土産物店とは違う品ぞろえの雑貨店です。

写真:万葉 りえ

さて、キリスト教の3大巡礼地とされているのが、ローマとエルサレム、そして聖ヤコブの遺骸があるとされるスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラです。
そのスペインの巡礼地へ向かうのに、フランス国内では主要ルートが4本できていきました。その1本がご紹介したようにヴェズレーを起点とするもの。この道は、ベルギーやドイツ方面からの信者も多く通っていったようです。そして現在でも、年間10万もの人々がこれらの巡礼路でピレネー山脈を越えていくといいます。
1979年に「教会と丘」の名称で世界遺産として登録されたヴェズレーですが、ここはさらに、1998年「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」としても世界遺産になっています。

静かに時が流れていく「ヴェズレー」の村

昔はホタテ貝の標がある家には、巡礼者が宿泊させてもらえたとか。現代ではそういうことはなくなってきていると思いますが、中世の面影を濃く残すヴェズレーの村では、今も緩やかに時が流れていくようです。
村の入り口付近には巡礼のために訪れた人々も泊まるホテルが建っています。ブルゴーニュを旅する際は、2つの世界遺産登録となっているこの村をぜひ訪れてみてください。
2024年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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【トラベルjp・ナビゲーター】
万葉 りえ

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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