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悠久のドナウ河畔の町「レーゲンスブルク」で触れる2000年の歴史

2024-03-15

ドイツ・バイエルン州のレーゲンスブルグは、ドイツ最古の石橋が架かる大河ドナウの畔に佇む古都。古代ローマ時代から軍事拠点が置かれ、中世には交易都市として発展し、世界大戦の戦火を免れた旧市街は、風情ある石畳の路地が入り組み散策が楽しくなります。
旧市街の入り口には大聖堂がそびえ、西側に旧市庁舎、北側にはドナウ川が流れ歴史ある石橋が架かります。この橋を渡れば旧市街と共に世界遺産に登録される地区です。

世界遺産の旧市街とシュタットアムホーフ

写真:Hiroko Oji

悠々と流れる大河ドナウの畔に佇むレーゲンスブルグは、ドイツ・バイエルン州の歴史ある古都。町の起源は、さかのぼること紀元後1世紀ごろの古代ローマ帝国時代。軍事拠点としてカストロ・レギーナがおかれたことが、レーゲンスブルクの地名の由来となっています(ドナウ川と合流するレーゲン川の城砦という意味)。
6世紀にはバイエルン人が住みはじめ、中世の神聖ローマ帝国時代には、東欧への交易路の要所として最盛期を迎えました。第二次世界大戦時には戦火をほぼ免れ、歴史的建造物が数多い町自体が史跡として現代に残されています。

写真:Hiroko Oji

旧市街と共に世界遺産に登録されているのは、ドナウ川を挟んで旧市街の対岸に浮かぶ島シュタットアムホーフ。独立した中世の村だった小さな中州で、旧聖カタリナ慈善病院などたくさんの歴史的建造物があります。

写真:Hiroko Oji

シュタットアムホーム側から見る旧市街方面の眺めも素晴らしいので、ぜひ石橋を渡ってみてくださいね。

大聖堂

写真:Hiroko Oji

中央駅からマクシミリアン通りを15分ほど歩いた旧市街入り口にあるのが、バイエルン地方で最も重要なゴシック建築の大聖堂です。
大聖堂は高さ105メートルの立派な2本の尖塔を持っています。1273年に着工し、1634年に完成。さらに、バイエルン王ルートヴィヒ1世によって平らだった塔に、10年かけて増設した尖塔の今も見られる姿になったのは1869年。前身はロマネスク様式の聖堂だったもので、現在に残るロマネスク様式は北側(写真では左)のエーゼル塔のみです。

写真:Hiroko Oji

聖堂内は3身廊となっており入り口は3か所。中央の扉は現在まで2回しか開いたことはないとのことで、通常使われる出入り口の扉の横には小さな悪魔の彫刻があります。これは魔除けとしての役割を果たしていると言われています。
東西南北に設置される色鮮やかなステンドグラスは13世紀〜14世紀に造られ、正面は19世紀のものです。第二次世界大戦時は別の場所に移されたため、一度も壊れていない貴重なものです。
また受胎告知をするガブリエルとマリアが向かい合う姿の彫刻や1280年製造の「微笑みの天使」像、祭壇の右手にあるローマ時代の天蓋付き井戸も見逃がせません。

写真:Hiroko Oji

もう一つ見逃せないのが、2009年に製造された世界最大の壁かけ型のパイプオルガン。重さは約37トンもあります。高さ15メートルのところにある演奏台へは、演奏者がエレベーターで昇り演奏します。
日曜日10:00からは、975年設立の世界で一番古いといわれる少年合唱団の美しい歌声が響きます。「天使の歌声」と称され、ウィーン少年合唱団に引けを取らないほどの美しく澄みきった歌声です。時間が合えばぜひご訪問くださいね。
<大聖堂の基本情報>
住所:Domplatz 1,93047 Regensburg
電話番号:+49-941-5971662
開場時間:6:30(日曜日13:00)〜17:00

旧市庁舎

写真:Hiroko Oji

大聖堂前から西へ続く路地に入っていくと小さなラットハウスプラッツに出ます。
この広場の北側に面しているのが、バロック様式とゴシック様式の建築要素が融合した中世の旧市庁舎。13世紀に建てられ、1663年〜1806年まで神聖ローマ帝国の国会議事堂として使用されていた建物です。黄色い壁の高さ55メートルの時計塔があり、帝国議会博物館や観光案内所の入る建物とつながっています。

写真:Hiroko Oji

グレーの石畳で覆われ趣のあるラットハウスプラッツ。旧市庁舎の色合いの異なる連続した建物が面しており、中央の扇形をした石段が入り口にある建物は入り口上部の装飾レリーフに続き、上階に上る階段や壁や床に刻まれた紋章など歴史の深さを伝えています。入り口に向かって左奥には観光案内所が入っています。

写真:Hiroko Oji

旧市庁舎内の帝国議会博物館は観光案内所で申し込んでガイドツァーに参加すると、会議室や各地から集まった諸侯の控え室、地下牢や拷問室などが見学できます。
<旧市庁舎の基本情報>
住所:Rathauspl.1,93047 Regensburg
電話番号:+49-941-5071102

ドイツ最古の石橋

写真:Hiroko Oji

中洲によってドナウ川が南北に分かれる所にかかる石橋は、シュタイナーネ橋と呼ばれ、1135年〜1146年にかけて建設されたドイツ最古の石橋です。チェコの首都プラハにあるヴルタヴァ川に架かるカレル橋をモデルにしたといわれ、十字軍が渡った橋という記録も残されています。
公爵ハインリッヒ・デア・シュトルツの命により造られた石橋は、旧市街地からドナウ川の対岸にあるシュタットアムホーフへと続き、長さが310メートル、16のアーチが角ばった石柱によって支えられています。

写真:Hiroko Oji

石橋の旧市街側の端にあるオレンジ色の時計塔の門は14世紀に造られたものです。橋の上の道幅は昔のまま。車がぎりぎりすれ違えるほどの狭さですがこの橋から見える風景は魅力的です。ドナウ川とローマ帝国時代の歴史を伝える橋と大聖堂のコラボ風景は、レーゲンスブルクを紹介する風景写真としてご覧になった方も多いと思います。

写真:Hiroko Oji

橋の中ほどに手をかざして大聖堂を見つめる男性の石像があります。これは自由都市の象徴とされ「橋の小人」と呼ばれているのですが、いくつかの伝説が残されています。
その伝説の一つが次のようなものです。12世紀の橋建設当時、橋の建築家と大聖堂の建築家がそれぞれの完成を競い合っていました。橋の建築家が橋の真ん中に人の形をした石像を乗せ、石像が「工事はどこまで進んでいる?いつも見てるぞ!」といって大聖堂を監視しているように設置しました。その後ドナウ川の悪魔の力を借りた橋の建築家が勝ち、負けた大聖堂の建築家はやけになって大聖堂を壊してしまったというものです。

点在する見所は他にも

写真:Hiroko Oji

石橋に出る手前のゴルデネ・ベーレン通り沿いにある噴水はWiedfangbrunnen。1610年、市議会の決議によって建設され、1906年に大規模な改修が行われましたが、第二次世界大戦で被害を受けたため1948年に再改修された都市給水井戸です。

写真:Hiroko Oji

また、石橋の旧市街側の端そばにあるHistorische Wurstkuchlは、500年以上前からの歴史あるバイエルン料理を出すレストラン。カリッとした炭火焼きのソーセージ&ザワークラウトにビールが名物で、店員さん達もとてもフレンドリー。川辺にテラス席が広げられ、美味しく楽しいひと時が過ごせ、テイクアウトも可能です。
<Historische Wurstkuchlの基本情報>
住所:Thundorstrabe 3,93047 Regensburg
電話番号:+49-941-466210
営業時間:10:00〜17:00

写真:Hiroko Oji

町中には色々スポットが潜んでいるレーゲンスブルクですが、何といってもドナウ河畔の風景は最高です。夕暮れの迫った長い歴史を育んだ町並みに教会の尖塔や時計塔が天に向かうシルエットも素敵。のんびりと散策しながら歴史に刻まれた町並みを味わってくださいね。

悠久の大河ドナウと2000年の歴史を今に伝えるレーゲンスブルク

かつては軍事拠点や交易都市であり、政治の中心地であったレーゲンスブルクは、2000年にもおよぶドナウ川の流れを今も変わらずに楽しめる魅力にあふれた古都です。大きな戦災による被害をほとんど受けなかったおかげで、ドイツで最も保存状態の良い中世の美しい町並みの面影を今に伝えています。
ここでご紹介したスポットの他にも、駅のすぐ北に広がる公園やトゥルン・ウント・タクシス城・博物館、歴史博物館、ネズミのレリーフのあるHaidplatzやNeupfarrplatzなどの広場など、ブラブラ散策するだけでも情緒豊かな町の魅力に出会えます。ミュンヘンやニュルンベルク、アウグスブルクなどの町から日帰り訪問も可能ですが、早朝や日暮れ時・夜のひっそりした町並みも魅力的ですので、宿泊もお薦めです。
2024年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
レーゲンスブルク大聖堂(外部リンク)
https://domplatz-5.de/dom/
レーゲンスブルク公式サイト(外部リンク)
https://www.regensburg.de/
レーゲンスブルグ「Hotel Weidenhof」で朝からシャンパン!
https://www.travel.co.jp/guide/article/48245/

【トラベルjp・ナビゲーター】
Hiroko Oji

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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