2024-06-07
オーストリアの首都ウィーンはハプスブルグ家の繁栄のもとで発展した歴史ある街。音楽の都であり世界遺産の観光スポットが点在しカフェ文化の発達した華やかな街並みが魅力。
この街の中心となるリンク内の旧市街に見所が集中するのですが、リンク外にも大きな見所があります。その一つが「ベルヴェデーレ宮殿」。ウィーンを救った英雄の夏の離宮です。美しい庭園と共に美術館としても大人気!バロック建築を代表する宮殿です。
荘厳華麗な歴史的建造物に溢れるオーストリアの首都ウィーン。そのうちの一つ、世界遺産“ウィーン歴史地区”に含まれる「ベルヴェデーレ宮殿」は、トルコ軍からウィーンを救った英雄プリンツ・オイゲン公が、建築家のヨーハン・ルーカス・フォン・ヒルデブラントに夏の離宮として造らせたもの。広大な敷地内の庭園を挟む上宮と下宮の二つの建物に分かれたバロック様式の宮殿で、2023年に300周年を迎えました。
“ベルヴェデーレ”とはイタリア語で“美しい眺望”を意味し、上宮から下宮方面を眺めると、美しく手入れされた庭園と共にウィーン市内を背景にした素晴らしい眺望が楽しめます。
迎賓館として使われていた上宮内部は、現在はギャラリーとして、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレ、オスカー・ココシュカなどの中世から現代にいたるオーストリア絵画が展示されており、オーストリアで2番目に大きな美術館として人気を誇っています。
ここでの最大の見どころといえばオーストリア美術史上最高傑作といわれるグスタフ・クリムトの『接吻』!他に『ユディト』などクリムトのたくさんの作品に加え、ダヴィッドの『サン・ベルナール峠を超えるナポレオン』をはじめ、クロード・モネやフィンセント・ファン・ゴッホ、マックス・ベックマンらの傑作が所蔵されています。
美術品だけでなく、華やかな公式行事の舞台となった上宮には壮麗豪華な装飾で埋め尽くされる大ホールもあって、建物自体の美しさも見逃せません。
ここは、各展示室をつなぐように中央に構える「大理石の間」。天井や壁を埋め尽くすゴージャスな装飾、煌めくシャンデリアなど壮麗豪華な大ホールです。
天井には一面のフレスコ画が平面なのに立体的に見える、だまし絵という技法で描かれており、見惚れてしまうばかり。カルロ・イノセンツォ・カルローネ、マルカントニオ・キアリーニ、ガエターノ・ファンティによるものです。
2階のギャラリーからもこの大ホールを見渡せ、目の高さにあるその美しい装飾を間近で見ることができます。
ホールの窓からは、美しい庭園と下宮、さらにその背景としてウィーの市街地が見渡せます。
南北800メートルにも及ぶ庭園は、ヴェルサイユ宮殿の庭園工事も手掛けた庭師ドミニク・ジラールによって、1717年に造られました。このフランス風バロック庭園は、夏には色とりどりの花による幾何学模様で彩られ、噴水や数々の白いスフィンクス像が配置され、自由気ままに散策が楽しめます。
大理石の間だけでなく、宮殿の建物内に入った所から素晴らしい装飾の数々に出会える上宮。
まず4人の男性像が天井を支える柱となるエントランス。白が基調の明るい空間にどっしりとした優雅さの中にも力強い彫刻が目を惹くホールです。ここから上階の大理石の間へと導いてくれる階段の踊り場も見逃せないスペースとなっています。
さらに小さな階段のある壁にも宮殿ならではの豪華な装飾が施され、移動の間も目を楽しませてくれます。
また、主展示室とは反対側に位置する西棟大ホールの装飾も見事なフレスコ画で天井や壁が埋め尽くされています。平面の壁なのにまるで神殿のような柱があったり、凹凸のあるアーチや彫像がそこにあるかのように描かれただまし絵が素晴らしい!ぜひお見逃しなきように!
この部屋の奥には宮殿のコレクションの中でも最も初期の作品が展示されています。幼子のキリストと共に座る聖母マリアや、十字架上のキリストをモチーフにした宗教的彫刻やレリーフ、板絵などがズラリと並びます。
一方、バロック式庭園の麓にあるのが、上宮よりも早く1714年から1716年にかけて建設された下宮。元々、下宮には、歴代皇帝が収集した美術品が収蔵されていたのですが、1891年にそれらの美術品は美術史美術館に移され、オイゲン公の居城として利用されるようになった時期もありました。後の1900年頃からは再び美術館として開館され、現在は展示が異なる現代アートの企画展示がメインとなっています。
住居として使われた下宮には、贅沢な装飾で溢れるグロリエッテの間、大理石の間、黄金の間などの居室が設けられました。そのうちの一室のこちらは、黄金に輝く装飾と鏡で埋め尽くされた「黄金の間」。
オイゲン公は相続人となる子どもを遺さなかったため、死後の1752年に宮殿はハプスブルク家のマリア・テレジアに売却されました。マリア・テレジアは、この部屋を、ヒンメルプフォルトガッセにあるオイゲン公の冬の宮殿にあった装飾を持ち込んで、鏡と磁器で飾られた部屋に改装し、1765年以来「黄金の間」として残されています。
当初ゲストのための儀式用レセプションとして使われていた「大理石のホール」は2階建て。壁面には戦利品や捕虜の像とともにアポロンの生涯の場面を描いた楕円形の石膏のメダリオンなどが飾られています。天井一面のフレスコ画には、太陽の戦車に乗ったアポロンが描かれています。また室内庭園に直接アクセスできる「大理石のギャラリー」には古代の彫像が置かれ、壁には漆喰彫刻、天井にはオイゲン公を神格化したレリーフが飾られています。
その他、「グロリエッテの間」には、18世紀初頭のウィーンで人気のあった、壁や天井をグロテスクな絵で飾ることが一般的だったことから、天井には四季が、壁の4隅には金色の4大元素が、窓のない壁には、ギリシャ神話のエピソードや登場人物を題材にした絵画「ウルカヌスの鍛冶場」や「三美神」が描かれ、ほぼオリジナル状態で保存されています。
下宮の別棟は、かつてオイゲン公の愛馬12頭の豪華な厩舎だったもので、プルンクシュタールとして中世の美術作品が展示されています。
大幅に改造した元馬の厩舎だった館内は、天井には美しい漆喰装飾が残っており、14世紀初頭〜16世紀半ばまでの宝物がびっしりと展示されています。
画家ルーラント・フルオーフのザルツブルク祭壇などの14世紀初頭〜16世紀半ばまでのオーストリアの芸術作品、ミヒャエル・パッハーのパネル画や巨匠フォン・グロースロブミングによる彫刻などが並び、見応えがあります。
ベルヴェデーレ宮殿といえば一般的にはクリムトの代表作がある上宮の見学者が多く、この下宮まで足を延ばす人は少ないのですが、建物自体と展示されている作品も上宮に引けを取らないほどの素晴らしい内容です。庭園でのお散歩も含めてぜひお時間にゆとりを持たせてご訪問くださいね。
ベルヴェデーレ宮殿では、上宮の南側に広がる庭園前で冬にはクリスマスマーケットも開催されます。ツリーを飾るオーナメントやニットグッズ、冷えた身体を温めてくれるグルメが味わえる屋台が上宮南側の庭園に設置されます。ライトアップされた宮殿も幻想的で一層魅力的な姿が楽しめますよ。
住所:Prinz-Eugen-Strabe 27,1030 Wien
電話番号:+43-1-795570
開館時間:9:00〜18:00(火曜日〜17:30)
アクセス:トラム1・D番Schloss Belvedereで下車
2024年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
ベルヴェデーレ宮殿公式サイト(外部リンク)
https://www.belvedere.at/
オーストリア「ベストウェスタン プラス アメディア ウィーン」客室・朝食&移動に大満足
https://www.travel.co.jp/guide/article/48307/
絢爛豪華さがギュッ!「ウィーン王宮」で見るハプスブルク家の財力
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ウィーンの誇り!世界遺産「シェーンブルン宮殿」奥には広大な庭園が
https://www.travel.co.jp/guide/article/36905/
【トラベルjp・ナビゲーター】
Hiroko Oji
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