2024-06-26
大阪府内に残る鉄道の廃線といえば、みなさまはどこを思い浮かべるでしょうか。いまではもう使われなくなった鉄道はいくつもありますが、2009年の廃線時まで八尾市の関西本線「八尾駅」と大阪市住吉区の阪和線「杉本町駅」とを結んでいた「阪和貨物線」には、現在もかつての遺構が各所に残り、廃線散策にはもってこいの路線です。今回は「阪和貨物線」をめぐる旅に出掛けてみましょう。
「阪和貨物線(はんわかもつせん)」はJR関西本線「八尾駅」(大阪府八尾市)とJR阪和線「杉本町駅」(大阪府大阪市住吉区)とを結んでいた鉄道路線のこと。その名のとおり、貨物を運搬する列車のための路線で、1952年(昭和27)に旧国鉄・関西本線の貨物支線として開業しました。しかし、鉄道貨物の運搬数の減少にともない、列車の運行本数も減少。2004年(平成16)に運休した後、2009年(平成21)、廃線となりました。
廃線にともない、架線などの撤去が順次進められましたが、それでもなお当時の遺構が各所に見られます。その代表的なスポットとして挙げたいのが、JR関西本線「加美駅」付近に残るこちらのスポット。
腕木(遮断桿)の部分はすでに失われていますが、当時の遮断機がいまだ残されており、阪和貨物線が稼働していた当時をしのぶことができます。
踏切上から東方向を見ると、軌道に沿って空き地が広がっているのが、おわかりいただけるでしょう。足元に目をやると、かつてレールの周辺に敷かれていた砕石(バラスト)も見られます。
阪和貨物線は遠くに見えるJR関西本線から分岐し、南下していました。
反対方面は雑草で覆われていますが、当時のレールがまだ残されていること、お気づきになりますか?
<踏切跡の基本情報>
住所:大阪市平野区加美鞍作1丁目
アクセス:JR加美駅より徒歩約3分
南下するにともない、阪和貨物線の築堤は次第に高くなります。そして、国道25号線と交差する手前では、高架となっています。
高架の遺構も健在です。
下から見上げると、高架は何本ものコンクリートの足で支えられていたことがわかります。
上部に目を凝らすと、場所によっては、並べられた枕木とその上に敷設されたレールがいまなお撤去されずに残されているのが、確認できますよ。
国道25号線を通過した阪和貨物線はさらに南下し、大和川から分流し、大阪平野を北西へと流れる平野川と交差していました。
交差ポイントでは、橋梁の遺構がいまでも見られます。
平野川に沿って遊歩道が設けられているため、交差ポイントでは、阪和貨物線の橋梁がどのような構造をしていたのかが、真下から確認できます。
橋梁の保存状態は良好。現在も貨物列車がこの上を走行しているのではないかという錯覚にとらわれますよ。
橋梁の上にも当時の枕木が並べられ、その上にレールが残されていることがわかります。
<高架跡・橋梁跡の基本情報>
住所:大阪市平野区加美鞍作3丁目
アクセス:JR加美駅より徒歩約10分
道路と交差する箇所では、当時の橋梁やその橋台が各所で見られます。
たとえば、こちらの橋梁では、高さ制限の表示が見られます。公道を走る車両の場合、通常の高さ制限は3.8メートルと規定されていますが、路線を支えていた築堤がそこまで高くなかったため、制限高度が3.0メートルとなっているのがおわかりいただけるでしょう。
表面が白くペイントされたこちらの橋梁・橋台はさらに狭く、幅2.2メートル、高さ2.2メートルしかありません。自動車での通り抜けは相当困難であるため、お車で訪問される方は、ご注意ください。
橋梁・橋台を見てまわっていると、築堤の各所で標識が残されていることにお気づきになるでしょう。こういった標識も阪和貨物線の遺構の一つゆえ、お見逃しなく。
<橋梁・橋台跡の基本情報>
住所:大阪市平野区加美鞍作および八尾市竹渕淵1丁目
アクセス:JR加美駅より徒歩約15分
南下し続ける阪和貨物線はやがて地面と同じ高さを走ることになり、それまで見られた築堤は姿を消します。
現在、その跡地は10メートルほどの幅を持った草道となり、建物と建物をあいだを通っています。
写真は大阪メトロ・谷町線の「出戸駅」付近の様子を撮影した一枚。当初はこのあたりに阪和貨物線用の「出戸駅」が設けられるはずでしたが、実現しないまま、廃線となりました。
大阪メトロ・谷町線「出戸駅」と交差した阪和貨物線はしばらく南下した後、瓜破霊園に沿って大きく右へとカーブします。そして、大和川の北岸を西へ西へと向かい、終点のJR阪和線「杉本町駅」に到着します。
<大阪メトロ・谷町線 出戸駅の基本情報>
住所:大阪市平野区長吉長原西1丁目
アクセス:大阪メトロ・谷町線「出戸駅」よりすぐ
阪和貨物線の廃線をたどる旅、いかがでしたか?今回は阪和貨物線の遺構がよく残る廃線の北半分をご紹介しましたが、もちろん、そのまま杉本町駅まで足をのばしてみるのも一計。いまだ多くの遺構が見られる阪和貨物線の痕跡を探して、各所をめぐってみてはいかがでしょうか。
2024年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
城東(阪和)貨物線跡-八尾市観光データベース(外部リンク)
http://www.yaomania.jp/data/InfoDetail.asp?id=1315
【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司
関連記事
オリコンタイアップ特集
オリコンタイアップ特集
オリコンタイアップ特集
オリコンタイアップ特集
オリコンタイアップ特集
カードローン比較ガイド Powered by オリコン
オリコン顧客満足度ランキング
プレゼント特集