2024-07-02
華岡青洲(はなおかせいしゅう)は、江戸時代末期に、全世界に先駆けて全身麻酔による乳がん摘出手術を成功させた外科医です。その青洲の偉業を知ることのできる施設が、和歌山県紀の川市にある道の駅「青洲の里」です。和歌山が誇る“医聖”華岡青洲の顕彰を目的として建てられたテーマパークで、青洲の偉業を楽しく学んでみませんか?
華岡青洲は、1760年(宝暦10年)現在の和歌山県紀の川市に生まれ、世界で初めて全身麻酔薬「麻沸散(まふつさん)」を作り、それを使用して乳がん摘出手術に成功した人物です。
青洲の里には、「医聖 華岡青洲先生之像」と「活物窮理」の碑があります。活物窮理(かつぶつきゅうり)とは、理を極めて人を活かすという医学理念です。
青洲の里の観光中核施設が、春林軒(しゅんりんけん)です。華岡青洲の住居兼診療所および医学塾で、主屋と蔵は青洲が活躍した江戸時代の建物で、そのほかは調査資料を基に復元し、1997年(平成9年)に整備再建されました。
春林軒の入り口である西門を入ってすぐのところにあるのが、華岡家発祥の地碑です。華岡家は代々医者の家系で、青洲は父のもとで医学を学び、京都に3年間遊学し、古医方やオランダ医学系統の外科学などを学びました。
この遊学中に麻酔薬を使って腹部切開手術をした古代中国、三国時代の天才医師、華佗(かだ)の存在を知り、麻酔薬の完成こそ、がんの医療を進歩させる最重要の課題と考えました。
京都からの帰郷後、26歳の時に医業を継ぎ、1804年(文化元年)に世界初の全身麻酔による乳がん手術に成功。アメリカ人医師、モートンによるエーテル麻酔の成功に先立つこと約40年前の快挙でした。
春林軒の主屋は、築110年ほどの建物で、北側が居住空間、南側が医療施設になっています。建物の奥居間では、青洲自身と妻加恵、母於継を被験者として麻酔薬の治験が行われました。
有吉佐和子による小説『華岡青洲の妻』では、その様子が描かれています。
主屋には、手術室兼薬調合室があり、手術の様子を再現したリアルな人形があります。輪付きの羽織は、手術の際にたすき掛けしやすいように青洲が考案したものです。
また手術室は、板の間になっていて油紙を床に敷いて流血の処理をしていました。乳がん摘出手術は、合計153回行われ、ほかにも施術は整形外科、泌尿器科、耳鼻科、眼科、産婦人科など広範囲に及びました。
手術室に隣接する薬調合室には、百味箪笥(ひゃくみたんす)があり、引き出しに用意された多種の薬剤が、病状に応じて調合されました。
南長屋は、主屋の南に位置する建物で、内塾と呼ばれた門人の部屋や薬を煎るための炉、薬調合所などがありました。
全身麻酔手術の成功を機に、全国から入門を希望する者が殺到し、華岡流医術を学んだ門人(医者)は、生存中と没後をあわせて約2000名を数え、江戸時代最大の医塾となりました。
病室は、重病者や手術後間もない患者が入院するために使われていました。併設されていたトイレは、沈殿式汚水浄化槽を備え、沈殿物を定期的に捨てることにより、ばい菌の発生を防いでいました。
米倉兼使用人部屋は、建物の西側が米倉、東側が住み込みで家事等を行う女性使用人の部屋になっていました。建物の東側が2階建てになっているのが特徴です。
このように春林軒は、単なる診療所の域を超え、医学校としての形態を備えていたことがわかります。
<春林軒の基本情報>
住所:和歌山県紀の川市西野山473(道の駅 青洲の里内)
電話番号:0736-75-6008
開館時間:10:00〜17:00(11月〜2月 10:00〜16:00)
入館料:大人200円、小中学生100円
休館日:火曜日、年末年始
青洲の里で、もう一つの見どころがフラワーヒルミュージアムです。建物は、建築家・黒川紀章氏による設計で、華岡青洲ゆかりの曼陀羅華(マンダラゲ)の花をモチーフにしています。
ミュージアムには、地元産野菜を中心とした約30種類のメニューが楽しめる「バイキングレストラン華」や、華岡青洲展示室(無料)などがあります。
展示室では、華岡青洲肖像画や青洲の愛用品、春林軒の手術用具などを見学できます。
華岡青洲展示室の入り口には、青洲が開発した麻酔薬「麻沸散」の主成分になった曼陀羅華のドライフラワーが飾られています。
曼陀羅華は、ナス科の一年草で、夏にアサガオに似た白い花を咲かせることからチョウセンアサガオとも呼ばれています。有毒植物で、意識消失の作用があります。
しかし麻沸散は、飲み薬であり、効き始めるまでに時間がかかるため、現在の手術では麻酔薬の注射や麻酔ガスの吸入が主流となっています。
<フラワーヒルミュージアムの基本情報>
住所:和歌山県紀の川市西野山473
電話番号:0736-75-6008
営業時間:9:00〜17:00
休館日:火曜日、年末年始
バイキングレストラン華 営業時間:11:00〜13:30(平日)、11:00〜14:00(土日祝)※お食事時間は60分
バイキングレストラン華 定休日:毎週火・水曜日、年末年始
料金:大人1500円、小学生850円、3歳以上500円、3歳未満無料
道の駅駐車場から道を挟んだ向かいには、華岡青洲顕彰記念公園があります。青洲の麻酔薬開発の業績を記念して作られた公園で、敷地はメスの形、石碑やモニュメントの配置は人体を模して作られています。
その石碑には青洲自作の漢詩が刻まれています。その漢詩の意味するところは、「自分は何の富貴栄達も望まない。竹垣をめぐらし、野鳥の声する景色の良い田舎に住んで、ひたすら瀕死の病人が回生する医術の奥義を極めたい」ということです。
実際、青洲の生き方はこの詩そのままであり、時の紀州藩主・徳川治宝より侍医となり城下に住むことを求められた際にも固辞し、故郷での診療を続けたことでも分かります。
また公園の隣には、華岡家代々の墓所があります。緑に包まれた華岡家の墓所で“医聖”とも呼ばれた華岡青洲の生涯に思いを馳せてください。
<華岡青洲顕彰記念公園の基本情報>
住所:和歌山県紀の川市西野山480
見学時間:見学自由
アクセス:道の駅 青洲の里から徒歩約1分
住所:和歌山県紀の川市西野山473
電話番号:0736-75-6008
営業時間:9:00〜17:00
定休日:火曜日、年末年始
アクセス:JR和歌山線「和歌山駅」から約40分「名手駅」下車、徒歩約30分。車利用の場合は、専用駐車場利用
2024年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
道の駅 青洲の里(外部リンク)
https://seishunosato.com/
【トラベルjp・ナビゲーター】
モノホシ ダン
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