2024-07-02
衣装を身にまとった仏像!?そんな仏像があるのですか?と驚く方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は衣服を身にまとった仏さまは全国各地に存在しており、今回、ご紹介する奈良市・伝香寺の地蔵菩薩立像もそのうちの一体。しかも、伝香寺では、毎年7月23日に地蔵菩薩立像の衣服を脱がし、新しいものに替える「着せ替え法要」までおこなわれているのです。今回は世にも珍しい伝香寺の「着せ替え法要」をご紹介しましょう。
「奈良三名椿」の一つに数えられる「散り椿」のあるお寺としても知られる「伝香寺(でんこうじ)」は、奈良県奈良市にある寺院。本尊は釈迦如来坐像で、寺伝によると、鑑真和上の弟子・思託により、771年(宝亀2)に開かれたとされています。
伝香寺は、戦国時代末期、大和国の覇者となった筒井氏の菩提寺でもあり、現在の本堂は筒井順慶の母・芳秀宗英尼が順慶の菩提をとむらったことにちなんで再建されたものといわれています。
境内の一角には「筒井氏供養塔」と刻まれた、ご覧の大きな五輪塔も安置されています。
そんな伝香寺のもう一つの名物が、「はだか地蔵尊」の俗称でも知られる地蔵菩薩立像(国の重要文化財)です。
ご覧のように、「はだか地蔵尊」と記された大きな提燈が吊り下げられているのも、伝香寺ならではの光景であるといえるでしょう。
法要がはじまると、まずは唐招提寺から来られたお坊さまによって読経がなされます。そして、いよいよ地蔵菩薩立像の着せ替え作業がはじまります。
では、着せ替え作業の過程をご紹介しましょう。
まずは、2人のお坊さまが、両脇から地蔵菩薩立像の衣服を脱がしにかかります。手にしていた錫杖などがはずされ、上着から一枚ずつ衣服が脱がされます。
上着の下には、真白な下着を身につけていらっしゃいます。着せ替え法要では、こちらの下着も新しいものに替えられます。
下着が脱がされると、裸形の様子がはっきりわかりますね。
その後、下腹部を覆う腰巻もはずされますが、拝観者の面前で下腹部をあらわにするのはさすがに罰当たりとなるため、腰巻をはずす際は、布で目隠しをした状態で作業がおこなわれます。
そして、今度は新しい衣服を身にまとわせていきます。衣服を脱がしたときとは反対に、腰巻と襦袢を身につけていきます。
襦袢の上に着けるのは、「袈裟(けさ)」と「裙(くん)」。裙は下半身に巻き付けるスカートのようなものを想像していただければよいでしょう。
その上にさらに衣装を着せます。肩にかけているオレンジ色の衣装は「覆肩衣(ふくけんえ)」。文字通り、肩を覆うための衣服です。
最後に錫杖や光背などを取り付けると、完成です。
着せ替え作業の完了後のお姿は、こちら。
真新しい衣装と交換されましたが、衣装を身にまとった仏像というだけでも珍しいのに、このような珍しい作業はなかなかお目にかかれません。必見です。
法要後は作業にあたられたお坊さんが気軽に応じてくださいます。質問などがありましたら、ぜひお声をおかけし、いろいろ訊ねてみましょう。
法要の終了後は、お守りも授与していただけます。お守りのなかには、以前、身にまとっていた襦袢を細かく切った一片が入っているとのこと。
旅の記念にお求めになってみてはいかかでしょうか。
伝香寺の「着せ替え法要」がいかに珍しいものであるか、おわかりいただけたでしょうか。法要のとりおこなわれる7月23日は地蔵盆の当日ともなっており、境内には数多くの参拝者が詰めかけます。奈良の地蔵盆を楽しみながら、着せ替え法要を拝観しましょう。
なお、エアコンなどのない本堂内でとりおこなわれる法要ゆえ、熱中症にはくれぐれもご注意ください。
2024年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司
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